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[ 警察小説 ]
アイアムハウス
由野寿和 出版月: 2024年09月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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幻冬舎
2024年09月

No.1 7点 メルカトル 2025/02/27 22:18
世界遺産・藤湖のまわりを囲むようにそびえ立つ、静謐な佇まいの十燈荘。
晩秋、秋吉一家がそれぞれの“趣味”にまつわる形で惨殺され、息子・春樹だけが一命を取り留めた。
静岡県警の深瀬が捜査を進めると、住民たちの微妙な距離感、土地独特のルールが浮かび上がる。
そして実は深瀬は、16年前の「十燈荘妊婦連続殺人事件」にも関わっていて――。
犯人は一体誰か。なぜ秋吉家が犠牲となったのか。春樹だけが生き残った意味とは。
結末に驚愕必至のミステリー傑作。
Amazon内容紹介より。

力作だと思います。まず勘違いしてならないのは、十燈荘とは建物の名前ではなく土地の名前である事です。それはすぐ判明するので良いでしょう。
物語はいきなり凄惨な猟奇殺人現場から始まります。そして死神と呼ばれる孤高の刑事深瀬と、その相棒の良識的な笹井が地道な捜査を開始します。その道中で登場する容疑者たちは誰も彼も怪しげで、誰と誰が関係しているのかも容易に掴むことが出来ず、じりじりした焦燥を誘います。

それ程長くないのに、ちょっと詰め込み過ぎではないかとの、若干の不安はあります。もう少し長尺にして容疑者候補の人物像を掘り下げるとかがあっても良かった気がします。出来ればメモをしながら読み進めるか、一気読みするかどちらかを選択するべきかも知れません。
真相が明らかになるにつれて、過去の妊婦連続殺人事件や深瀬の身に何があったのかなど、様々な要素が繋がって来てある種のカタルシスが生まれます。ラストも素晴らしく、読後感も最高です。


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由野寿和
2024年09月
アイアムハウス
平均:7.00 / 書評数:1
2022年12月
再愛なる聖槍
平均:7.00 / 書評数:1