皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 日常の謎 ] 今日のハチミツ、あしたの私 |
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寺地はるな | 出版月: 2017年03月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 2件 |
![]() 角川春樹事務所 2017年03月 |
![]() 角川春樹事務所 2019年03月 |
No.2 | 6点 | メルカトル | 2025/03/08 22:28 |
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蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなる──。
「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生のころ、 碧は見知らぬ女の人から小さな蜂蜜の瓶をもらった。 それから十六年、三十歳になった碧は恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いを始めることに。 頼りない恋人の安西、養蜂家の黒江とその娘の朝花、 スナックのママをしているあざみさん…… さまざまな人と出会う、かけがえのない日々。 心ふるえる長篇小説。 Amazon内容紹介より。 正直、冒頭のエピソードを読んだ時感動しました。その後も読み易く、個性の強い人物が次々と登場し、とても楽しめました。それぞれの人物像も鮮やかに描かれておりいささか感心しました。この作者は読者を作品の中に引っ張り込む術を、本能的に分っているのではないかと思い、天賦の才能に感じ入りました。 本作は文芸作品ですが、適度に刺激的で、短い中にも中身がギュッと詰まった充実の秀作だと思います。主人公の碧の恋の相手である安西に、何故そこまで惹かれるのか疑問ですが、男女の中というのはそういうものなのかも知れません。駄目な男とどういう訳か離れられない女心までは想像するしかありませんけれど、この作品のテーマはそればかりではありませんので、問題ありません。何故なら知らぬうちに碧に感情移入してしまう様に出来ているからです。その時に力強く、時に優しい描写力や文章力に打ちのめされた私なのでした。 |
No.1 | 8点 | take5 | 2024/12/22 09:36 |
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「もし明日人生が終わるとしたら、
きっとわたしは、喜ぶ。」 という主人公の碧の物語。 ラスト、 「まぶしく光っている方向を目指して、 ゆっくりと自転車を漕ぎ出した。」 まで、 こうやってネタバレしても構わないほと、 綺麗事とは対極の人物描写。 「あさのはちみつ」がキーアイテムで、 誰の?何処の?何故そのネーミング? これらが230ページあまりで見事に 描き切られます。 書き下ろし。 私も今朝ははちみつりんごトーストを 食べました。 |