皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
nukkamさん |
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平均点: 5.44点 | 書評数: 2865件 |
No.465 | 8点 | エッジウェア卿の死- アガサ・クリスティー | 2014/08/29 15:38 |
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(ネタバレなしです) クリスティーはプライヴェートの問題(謎の失踪事件)の後、精彩を欠いていたともいわれますが1933年に発表されたエルキュール・ポアロシリーズ第7作の本書では完全に復調していると思います。どんでん返しの連続で容疑が転々とするスリリングな謎解きを堪能できます。ちょっとなじみにくい手掛かりもありますが全体の中では大きな問題ではありません。なお米国版(創元推理文庫版)は「晩餐会の13人」というタイトルで出版され、こちらの方が魅力的なタイトルではありますが13人をきっちり描き分けていないので地味ながら英国版の「エッジウェア卿の死」の方が適切なタイトルかと思います。 |
No.464 | 6点 | 死への落下- ヘンリー・ウエイド | 2014/08/28 19:08 |
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(ネタバレなしです) ウェイド後期の作品である本書(1955年発表)は、シリーズ探偵の登場しない本格派推理小説です。本格派ではありますが大勢の容疑者から犯人を絞り込むオーソドックスなタイプでなく、ある有力容疑者は果たして犯人なのかどうかが謎の中心になっています。サスペンスには乏しいし、終盤になると数字が沢山出てきてちょっと頭が痛くなりますが、それでも意外とテンポよく読める作品でした。登場人物の心理描写はそれほど細かくはないのですが、ちゃんとキャラクター分けができているところにウェイドらしい手堅さが発揮されています。意味深な最後の一行は賛否が分かれるかもしれません。 |
No.463 | 5点 | 死の信託- エマ・レイサン | 2014/08/28 18:06 |
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(ネタバレなしです) ニューヨーク・タイムズが「ウォール街のアガサ・クリスティー」と賞賛したエマ・レイサンは2人の米国人女性メアリー・J・レイティス(1927-1997)とマーサ・ヘニッサート(1929年生まれ)によるコンビ作家で、1961年に本書でデビューしてからレイティスが亡くなる1997年までに30冊以上のミステリーを書いています。二人とも専業作家ではなくレイティスは政府機関、ヘニッサートは民間企業に勤務し、しかも両者とも経済学に通じていたこともあってか創作の中心を占めるサッチャーシリーズ(24冊書かれました)は探偵役が銀行家という珍しいタイプの本格派推理小説です。各章のタイトルが「元利」に始まり「支払い請求書」に終わる経済用語構成だったのにはぎょっとしましたが物語の内容には全く関係ありませんでした。経済用語は使われてはいますが状況把握できないほど多くはないし、軽妙で洗練された文章のおかげで案外と読みやすいです。ぎりぎりまで真相を明かさないプロットになっていますが結末はやや唐突感が拭えません。サッチャーが真相にたどりつく決め手にしたと思われる、現場から持ち去られた手掛かりの正体を読者が事前に推理するのが難しいからではないかと思います。 |
No.462 | 5点 | テンプラー家の惨劇- ハリントン・ヘクスト | 2014/08/28 17:35 |
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(ネタバレなしです) ハリントン・ヘクストはイーデン・フィルポッツ(1862-1960)の別名義です。本書は1923年発表の本格派推理小説でフィルポッツ名義の「赤毛のレドメイン家」(1922年)との類似点もありますがテンペラー家の人々の描写にかなりのページを割いている点は本書の特色でしょう。もっとも内容は人生観や価値観の主義主張が多く、普通の意味での家族の会話を期待すると肩透かしを食らいます。国書刊行会版の巻末解説にもある通り、犯人当てとしてはアンフェアです。但し最後に残った容疑者数が少ないため犯人は当てやすいです。評論家がよく誉めている「風変わりな動機」は人によって感じるところは色々でしょうが珍しいことは確かです。kanamoriさんのご講評の通り、この内容で本格派推理小説として仕上げたのが作者の失敗かもしれません。 |
No.461 | 5点 | いつ死んだのか?- シリル・ヘアー | 2014/08/28 17:25 |
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(ネタバレなしです) 1958年、シリル・ヘアー(1900-1958)の死の年に発表された遺作の本格派推理小説です。結局長編ミステリーはマレット警部単独作品3作、ペティグルー単独作品2作、両者共演作3作、非シリーズ作品1作の9作のみしか残しませんでした。本書は両者共演作品でマレット警部は既に警察を引退しています。この作者らしくゆったりした展開で、そこにペティグルーの思い出のもやもや感が重なって前半はやや退屈でした。しかし法廷場面あたりから盛り返しています。作中で言及されているように某古典ミステリーのプロットを下敷きにしながらも更にもう一段仕掛けが用意してあるのが作品としての個性になっています。 |
No.460 | 5点 | 殺意- ビル・プロンジーニ | 2014/08/28 16:56 |
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(ネタバレなしです) アメリカのビル・プロンジーニ(1943年生まれ)は名無しの探偵シリーズで有名なハードボイルド作家ではありますが謎解きにも配慮した作品もいくつかあるそうで、1973年発表のシリーズ第3作の本書は作者自身も出来栄えに満足した初期代表作とされています。私は本格派推理小説を偏愛していてサスペンス、ハードボイルドを敬遠している読者なので、本書を読んだのも謎解きに配慮した作品だからという、いささか不純な理由です。もっとも本書に本格派推理小説を期待するのはやはり誤りで、古い(架空の)探偵小説の手掛かりがなかなか魅力的に映りましたが、結局推理に頼らずに解決されてしまいました。犯人当ての謎解き伏線は用意されているとはいえ、やはり本書はハードボイルドだと思います。暴力シーンがほとんど描かれないので、ハードボイルドをアクションスリラーと(勝手に)思い込んでいる自分にはそれなりに新鮮でした。 |
No.459 | 6点 | 切り裂かれたミンクコート事件- ジェームズ・アンダースン | 2014/08/28 16:32 |
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(ネタバレなしです) 「血染めのエッグ・コージイ事件」(1975年)の続編にあたる1981年発表の本格派推理小説です。前作のネタバレはありませんが登場人物の一部が共通しているので先に前作を読んでおくことを勧めます。前作のような大トリックこそありませんが黄金時代の本格派推理小説を髣髴させる、絢爛たる謎解きが楽しめるのは本書も一緒。名前だけながら先人作家の名探偵が作中で引き合いに出されるぐらいですから。ユーモアも健在で、23章の終わりでは思わず笑ってしまいました。 |
No.458 | 5点 | チベットから来た男- クライド・B・クレイスン | 2014/08/28 15:54 |
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(ネタバレなしです) クライド・B・クレイスン(1903-1987)は米国本格派推理小説の黄金期に活躍した作家の一人で、わずか6年の間に10作のウェストボロー教授シリーズを残しましたが1938年発表の本書はその代表作とされるシリーズ第5作の本格派推理小説です。トリックメーカーとして評価されているようですが、トリックメーカ-として名高いジョン・ディクスン・カーやクレイトン・ロースンが犯人当てを補完するためのトリックであることが多いのに対して本書は犯人の正体については駆け足気味に説明が終わり、密室トリックの解明にクライマックスを持ってきているのがユニークです。結構大掛かりなトリックで苦心の跡がみられますが、感銘するかは読者によってまちまちかもしれません。チベットにまつわる知識が豊富に盛り込まれ、異国情緒と神秘性に溢れているのも特色になっています。ただ雰囲気演出はいいのですが物語としての起伏に乏しく人物描写も上手くないので読みやすくはありませんでした。 |
No.457 | 6点 | 百万長者の死- G・D・H&M・I・コール | 2014/08/28 13:09 |
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(ネタバレなしです) 経済学者としても有名でその方面の著書もあるG・D・H・コール(1889-1959)と、その妻で労働研究所やフェビアン協会(100年以上の歴史を持つ、イギリス労働党に影響の大きい社会主義団体)などで働いたマーガレット・コール(1893-1980)は本格派黄金時代に夫婦共著で30作近いミステリーを発表しました(デビュー作の「ブルクリン家の惨事」(1923年)は例外的に夫の単独執筆単独名義です)。夫婦名義の第1作となる本書は1925年に発表されたウィルスンシリーズ第2作で、代表作とされています。kanamoriさんの講評通りで、舞台がロンドンからフランス、ポーランド、シベリアと色々変わるのですが旅情を感じさせる描写になっていません。展開が遅い上にウィルソンが目立たない第一部は少々退屈です。事件が経済界に与えた影響やそれを巡っての駆け引きが描かれているのは作品の個性ですが、一般読者受けするかというと微妙な気がします。第二部は充実しており、サスペンス豊かとは言えませんが複雑かつスケールの大きな事件背景は独創的です。それ以上に結末のつけ方はマニア読者向けかと思えるほど異色でした。あとウィルスンが本書で警察を辞職して私立探偵になるというのも驚きで、レオ・ブルースのビーフ巡査部長やピーター・ラヴゼイのダイヤモンド警視の先駆けだったのですね。 |
No.456 | 7点 | セイレーンは死の歌をうたう- サラ・コードウェル | 2014/08/28 12:16 |
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(ネタバレなしです) 前作「黄泉の国へまっしぐら」(1984年)から5年ぶりの1989年に発表されたティマー教授シリーズ第3作です。900万ポンド以上の財産を巡って管財人ばかり揃って肝心な受益者不在(不明)という珍しい設定で物語が始まります。信託財産に税法という私には難解な専門知識になじめませんでしたが、それは些細な問題でした。ユーモアと冒険色の濃厚なストーリーの流れに身を任せるとあっという間に読み終えました。特にカントリップの叔父さんが実にいい味を出していて、痛快極まりないです。kanamoriさんの講評の通りで、ミスディレクションが効果的な謎解きにも満足できました。 |
No.455 | 5点 | ドリームタイム・ランド- S・H・コーティア | 2014/08/28 12:06 |
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(ネタバレなしです) 日本ではほとんど無名に近いシドニー・ホブスン・コーティア(1904-1974)はあのアーサー・アップフィールドと共にオーストラリアの本格派推理小説家の雄と評されています。1959年発表のヘイグ警部シリーズ第2作の本書はオーストラリアの先住民の神話の世界を再現するテーマ・パークを舞台にしての事件捜査を描いた本格派推理小説です。犯人当てとしてはちょっと気に入らない点がありますが神秘的かつ原始的な雰囲気が独特の個性を生み出しています。 |
No.454 | 6点 | チャイナ蜜柑の秘密- エラリイ・クイーン | 2014/08/28 11:35 |
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(ネタバレなしです) 発表当時はかなり激賞され、作者も出来栄えに自信を持っていたらしい1934年発表の国名シリーズ第8作の本格派推理小説です。シリーズ前作の「シャム双生児の秘密」(1933年)では使わなかった「読者への挑戦状」が本書では復活しています。「あべこべ」の謎がクイーンの作品としてはかなり派手で、それと大胆なトリックが評価が高い理由でしょうね。(名無しの)被害者の素性をメインの謎の一つとして最後まで引っ張っているのも異色です(後年のパット・マガーの「被害者を探せ!」(1946年)とは趣向が異なる謎です)。一方でミステリーに読みなれている読者からは厳しく評価されることも珍しくありません。「あべこべ」にした理由は一般的な日本の読者には推理しづらい理由だし、もっと他にやり方はないのかと突っ込みを入れたいところもあるでしょう。成否の評価は別としてクイーンとしては新しい試みに取り組んだとは言えると思います。映画化もされたそうですがこれはちょっと見てみたかったですね。 |
No.453 | 5点 | 狂った殺人- フィリップ・マクドナルド | 2014/08/27 19:31 |
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(ネタバレなしです) 1931年発表の本書はゲスリン大佐シリーズ番外編のスリラー小説です。ゲスリンは会話の中で1回登場するのみ、「個人より組織の仕事」ということでアーノルド・パイク警視たち警察が無差別殺人犯を追跡するプロットになりました(もっともその後のシリーズ作品ではゲスリンが組織的捜査に参加しているのですけど)。第8章や第15章では犯人絞込みのための推理をやっているのですが本書は本格派推理小説には分類できないと思います。犯人の正体をどうやって突き止めたのか全く説明されないまま解決されるので謎解きとしては不満が残ります。ちょっと記憶にないほどあっけない幕切れでした。 |
No.452 | 6点 | 骨の城- アーロン・エルキンズ | 2014/08/27 18:57 |
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(ネタバレなしです) 2006年発表のギデオン・オリヴァー教授シリーズ第13作の舞台は「断崖の骨」(1985年)以来の英国。作中でギデオンがそのことを回想している場面もあります。骨が謎解きの鍵になるのは毎度のことですが本書は骨の分析、骨の捜索、また骨の分析と骨エピソードがいつにも増して多いのが特色です。そのため専門用語も多いのですが、個性的な人物たちとの軽妙な会話を巧みに混ぜて物語の流れはスムースです。作者が70歳過ぎての作品ですがその筆力は若さを失っていません。オリヴァー夫妻も相変わらずアツアツです(笑)。 |
No.451 | 6点 | 事件当夜は雨- ヒラリー・ウォー | 2014/08/27 18:26 |
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(ネタバレなしです) 1961年発表のフェローズ署長シリーズ第3作でこのシリーズの特色の一つである、捜査の手詰まり感をひときわ感じさせるプロットの警察小説です。地道かつ丹念な捜査が描かれていますが容疑者を絞り込むどころか可能性が拡大するばかりで20章が終わっても五里霧中。ここを辛抱できるかどうかで読者の評価も分かれそうですね。24章での犯人逮捕はフェローズの直感による唐突な解決にしか思えませんが、謎解きとして面白くなるのは実はここからです。ネタバレしないように説明するのが難しいですが、「どちらが?」を巡ってフェローズが推理を披露し、ウィルクス部長刑事が反論し、フェローズが更なる推理でその反論を埋めていくという展開は本格派推理小説好き読者としてはたまりません。全部を読み終えて真相を把握してからもう一度27章を読むことを勧めます。 |
No.450 | 6点 | ペンション殺人事件- イェジイ・エディゲイ | 2014/08/27 17:12 |
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(ネタバレなしです) まだ共産圏国家だった頃のポーランドのイェジィ・エディゲィ(1912-1983)は弁護士稼業のかたわら短編ミステリーなどを発表していましたが、1961年からは弁護士を辞職して作家業に専念し30作以上のミステリー作品を発表してポーランドのみならずソ連や他の東欧諸国でも人気が高かったそうです。しかしよく日本に翻訳紹介されましたね。本書は1969年の作品ですが英米の黄金時代の本格派推理小説を髣髴させる内容でとにかく謎解きに徹しています。第二次世界大戦中の戦争犯罪エピソードは時代性を感じさせますが、それもミステリーのプロットから浮き上がってません。決着のつけ方もまた黄金時代風です(リアリティー重視の現代ミステリーでは大胆過ぎて難しいでしょう)。 |
No.449 | 5点 | 名探偵ナポレオン- アーサー・アップフィールド | 2014/08/27 16:30 |
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(ネタバレなしです) 日本に初めて翻訳紹介されたシリーズ作品だからでしょうか、1953年発表のシリーズ第17作の本書は「Murder Must Wait」という英語原題を持っていますが邦題は探偵役の名前をそのまま使っています(しかしこれではフランス皇帝が活躍する歴史ミステリーと誤解されなかったでしょうか?)。大自然描写こそありませんが、スケール感のある舞台描写や原住民描写はこの作者ならでは。人物描写も細やかでクライム・クラブ版の古い翻訳も気にならないぐらい読みやすいです。乳児の連続誘拐事件を扱い、殺人犯探しより乳児発見を優先させたプロットなのが珍しいです。一応ボニー警部は誰よりも早く殺人犯の正体も見抜いたようですが、推理説明が十分でないのは残念です。 |
No.448 | 5点 | 歌麿殺人事件- 水野泰治 | 2014/08/27 15:30 |
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(ネタバレなしです) 高橋克彦の「写楽殺人事件」(1983年)に刺激を受けたかはわかりませんが、1984年発表の本書は現代の謎解きと歌麿の謎解きを扱った本格派推理小説になっています。高橋作品では写楽を芸術家として、本書では歌麿を大衆画家(通俗画家?)として描いているのが対照的です。どちらかといえば現代の謎解きに重きを置いているのは美術が苦手の私には好都合です。とはいえいきなり3人の男女の屈折した人間関係描写で始まる導入は、作品中の表現を拝借すればまさに「野卑」です。作中人物に「3、4人の男女が一緒に住んで、セックスと仕事や金銭を共有する生活は、ロシア革命直後のソ連でも流行してね、ちっとも新しくないんだよ」と語らせていますが、新しかろうがなかろうが小説題材としての魅力を感じませんでした。この屈折描写(三角関係が3組もあります)をちゃんと謎解きプロットと関連させているし、本格派推理小説の伏線の張り方は高橋より巧妙だと思いますが。 |
No.447 | 6点 | 殺人者はまだ来ない- イザベル・B・マイヤーズ | 2014/08/27 13:34 |
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(ネタバレなしです) イザベル・B・マイヤーズ(1896-1980)は米国の女性作家で、デビュー作の本書はあのエラリー・クイーンの「ローマ帽子の秘密」(1929年)と雑誌社の賞金コンテストで競合した本格派推理小説です。雑誌社の倒産問題もあって紆余曲折あったようですが、最終的には本書が賞金を獲得して1930年に出版されました。同じ本格派といっても都会風なクイーンとはかなり作風が違うので比較はあまり意味ないかもしれませんがサスペンス豊かで人物関係が整理されていて読みやすい点では勝っています。一方でゴシック・スリラーに通じるような雰囲気は好みが分かれるでしょうし、催眠術による自白場面などは当時の作品としても古臭さかったのではないでしょうか(但しちゃんと推理説明で解決しています)。個人的には起伏に富んだストーリー展開を楽しめました。意外だったのは光文社文庫版の翻訳者が山村美紗だったこと。 |
No.446 | 5点 | 死は深い根をもつ- マイケル・ギルバート | 2014/08/27 13:20 |
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(ネタバレなしです) ヘイズルリッグ主任警部シリーズ第5作と紹介されることもありますが、ヘイズルリッグは出番が少なく番外編というべき作品です。「ひらけ胡麻!」(1949年)でも脇役でしたが一応最後は重要な役割が与えられていたのに対し、本書では全く活躍していません。重厚な法廷スリラーとサスペンス豊かな冒険スリラーを交互に組み合わせたプロットがなかなかユニークです。拡大解釈された「密室」の謎解きもありますが推理説明が十分でなく本格派推理小説として期待してはいけないと思います。 |