海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

makomakoさん
平均点: 6.19点 書評数: 850件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.70 6点 男爵最後の事件- 太田忠司 2009/07/10 14:28
霞田シリーズの最終作という事でずいぶん期待して読んだ。このシリーズはいずれもストーリーや背景にこだわりのものが出てきてこれがまた楽しいのであるが、この作品にはそういったものはない。トリックもことになく淡々としたものだ。おなじみの人物がおなじみのように活躍して、多少のエンディング様のストーリーがあって、といったところか。ごひいきの作家の好みのシリーズの最後としては大分物足りない感じ。ちょっと残念。

No.69 5点 雪虫- 堂場瞬一 2009/07/10 14:20
主人公がいちいち他人の言葉にひっかかるいやなやつなのでよっぽど途中でやめようかと思ったが、読んでいくとストーリーはなかなかのもの。好みではない警察小説であるが、途中からはすんなりと読めた。
 でも最後はいただけない。こんな結論ではやりきれないではないか。
 これで次々とシリーズが発表できたものだと思うが。きっとこういったのが好みの人も大勢いるのだろう。

No.68 6点 あくむ- 井上夢人 2009/07/10 14:10
井上夢人の小説らしくとてもよく書かれていると思うのだが、内容があまり好みではない。読後感がすっきりしない。

No.67 5点 カンナ 天草の神兵- 高田崇史 2009/06/21 07:43
今回のカンナシリーズはQEDより執筆が早いが、その分内容も薄い感じ。QEDのようにやっていてはいずれ行き詰るだろうが今回の天草の神兵では歴史推理もいまいちだが、肝心の事件のほうがさっぱりだった。採点5点はひいきの作者であるからでそうでなければもう少し点数は下がる。ただ読みやすいことは読みやすく時間つぶしぐらいなら良いでしょう。

No.66 7点 the TEAM- 井上夢人 2009/04/29 22:05
面白かった。さらりと読めてさすが井上夢人の作品と思うのだが、同じ連作物の「風が吹いたら桶屋がもうかる」と比べると登場人物も物語の興味もちょっとおちるかな。

No.65 8点 朱色の研究- 有栖川有栖 2009/03/31 20:30
なんともロマンチックな作品。2重に絡んだトリックはぎりぎりの線で成り立っていて犯人もある意味ではすごく純粋であり、結果はそこはかとなく悲しい。火村先生の中では好きな作品。

No.64 7点 隠された帝- 井沢元彦 2009/03/29 13:28
私は歴史が好きなので天智天皇と天武天皇という日本古代史の代表人物に対する歴史推理はとても興味深かった。兄弟の間柄や暗殺に対する学校で習ったことからすればちょっとびっくりするような推論もなかなかのものだった。ただもう一方の現代における事件のほうがいまいちかなということでこの点数です。歴史推理が好きなら読んで損はないと思う。

No.63 7点 スウェーデン館の謎- 有栖川有栖 2009/03/29 12:26
美しい雰囲気の中で美しい人が登場して、となかなかムードが良い。トリックは小粒だがまあそこそこでしょう。国名シリーズのなかでは好きなほうの作品です。

No.62 8点 秘密- 東野圭吾 2009/03/22 09:33
ありえないようで何となくありえるようなお話を上手に読ませてもらった感じ。東野圭吾は時に冷たく説きに暖かいが、この小説は暖かい面が出ていて好感が持てた。

No.61 9点 女王国の城- 有栖川有栖 2009/03/20 18:00
学生アリスシリーズは大好きなのでこの本が出るまで本当に長く待たされた。ほとんどあきらめかかっていたときに出版されたので大変な期待のもとに読んだ。余り待たされると期待はずれとなることが多いのだが、この作品は期待にこたえ長さといい内容の濃さといいすばらしいと思う。久しぶりに長編本格推理小説を読んだなという感じ。読者への挑戦は双頭の悪魔では3回もあったが、本作品ではえらく控えめなのが一回あるのみだが、私にはぜんぜん犯人が分からなかった。本格推理小説としてよく出来ていると思うが、月光ゲームや孤島パズルでの学生らしいみずみずしさが少なくなっているのが残念。

No.60 9点 双頭の悪魔- 有栖川有栖 2009/03/11 19:57
学生アリスシリーズは大好きな推理小説。月光ゲーム、孤島パズル、と進んでこの作品は断然完成度が高い。本格物としても非常に優れていると思います。細部にいたるまで緻密に構成され隙がない。初めて読んだときは推理小説化としての有栖川の進歩と実力を思い知らされ感嘆したものです。再読してもやっぱりすばらしい。ただ本格物として完成してくると若き青臭さが減少してくる。青春小説として物足りなくなってしまうのだ。孤島パズルにあるみずみずしさが少なくなったのは残念である。こんなことを感じるのは年かなあ。
 さすがの有栖川もこれほどの作品を書くと次はなかなかかけない様で学生アリスは女王国の城まで10年以上待たされることとなったのはファンとしてはずいぶんつらかった。

No.59 8点 孤島パズル- 有栖川有栖 2009/03/04 20:38
月光ゲームより文章もお話もさらに良くなっていると思う。宝探し、不可能と思える密室、アリバイが全員ない殺人どれも実に面白い。人物も良く描けているし新たなヒロインのマリアも素敵だ。なのに月光ゲームと同じ点数をつけたのは密室の謎が結局すっきりしないのと(これでは密室の謎を解いたことにならないと思うのだが)魚楽荘の事件はかなりのアスリートでなければ無理そうに思うがその伏線が張っていないのが気になるからです。最初に読んだときは満点あげても良いぐらいだったのだがいろんな小説を読んでいてだんだん気難しくなったのかもしれない。学生アリスが好きで本格推理小説が好きな私にとってとても大切な作品です。

No.58 8点 月光ゲーム- 有栖川有栖 2009/03/02 21:05
アリスの記念すべき最初の長編。人物が多すぎる。一人ひとりがあまり描けていない。ダイイングメッセジもはきりいって無理がある。あきらかに青臭い。でもこの作品は大好きです。何度読んでも好きなものは好き。学生アリスはどれもロマンチックで本格派で私の好みにぴったりなのです。孤島パズル、双頭の悪魔とさらに文章も内容も良くなっていくところが実にすばらしい。探偵の江神さんは数ある名探偵のうちでも最も好きな探偵さんです。火村先生も良いのだが、私は江神さんのほうが好きです。学生アリスもっと書いてくれないかなあ。

No.57 7点 本廟寺焼亡- 井沢元彦 2009/02/22 12:54
猿丸のすぐ後に出た作品で、当時作者に注目していたので出版後すぐ読んだ。この頃は自分の家が浄土真宗にもかかわらず宗教のしくみなど全く無知であったためかもうひとつぴんとこなかった。今回再読してみたが、これはずいぶん含蓄を含んだお話であることが大分理解できた。多少でも仏教関係に興味があればなかなか面白く読めるが、そうでない人にはちょっと意味不明のところがあるかもしれない。私としては猿丸よりは落ちるが六歌仙よりは上といった評価です。

No.56 8点 はじまりの島- 柳広司 2009/02/22 12:44
この作者の作品としてはじめて読んだものだが、読み始めると表現や文体が翻訳文のようだという印象、でも翻訳文よりはるかに読みやすい。ダーウィンが探偵となってヴィーグル号で訪れたガラパゴス諸島でおきた事件を解決していくストーリーは興味津々。すごいトリックがあるわけではないが(ガラパゴスならではのトリックはある)、十分に楽しめる。

No.55 7点 六歌仙暗殺考- 井沢元彦 2009/02/13 19:55
六歌仙の歌仙絵が作品のキーとなって進行していく物語はかなり面白い。こういった話にありがちな薀蓄やおどろおどろしい場面はあまりない。かといって派手なトリックなども無いのだが物語のテンポはよくそれなりに楽しめる。ただ物語の最後が不完全燃焼の知りきれトンボみたいになってしまっているのがちょっと興ざめ。

No.54 4点 ジェシカが駆け抜けた七年間について- 歌野晶午 2009/02/09 22:35
「葉桜」で見事にだまされ、その次に書いた作品ということで期待して読んでみたが残念ながらいまいち。トリックももうひとつわかったような分からないような。不愉快な作品ではないが、面白くも無いといったところか。

No.53 7点 五十万年の死角- 伴野朗 2009/02/07 21:28
江戸川乱歩賞をとった伴野朗の出世作で、得意の中国ものミステリー。初めて読んだときはハードボイルドの要素が強いと感じたが、30年ぶりに再読した今回はほとんど違和感なくよく出来たミステリーとして楽しめた。ただ長く中国にいた作者としては地名人名は中国読みでないといった考えからか、漢字に中国読みのかなが振ってある。日本読みになじんだ者としてはちょっとうっとうしい。伴野朗の作品はどれも読みやすく面白いものが揃っているのだが、なぜかこのサイトには名前が無かったので追加しました。中国物が好きな人には十分に楽しめると思います。

No.52 6点 奇想、天を動かす- 島田荘司 2009/01/21 21:27
作者が力を入れていることは良く分かりますが、このトリックはちょっと無理があるでしょう。吉敷は正義感あふれているのは良いのだが、こんな勝手が通るの?上司の反対を押し切って北海道まで行ってしまうし(この間の仕事は無いのかね)タクシーは乗り放題だし。いっそ金持ちの道楽息子が警察へ入っている設定にしたほうが無理がなさそう。そういった矛盾だらけではあるが作者のやさしさや力いっぱいの迫力は伝わってくるので私としてはこのぐらいの評価としました。

No.51 8点 隠蔽捜査- 今野敏 2009/01/12 18:35
警察小説はあまり好みではない。キャリア官僚は好きでない。がちがちの原則主義者も困ったものだ、この主人公はきっと馬鹿なのだろうと思いつつこの小説を読んでいた。作者は読者がこういった感情を抱くであろうことを想定して書いており、それが途中から強い意志をもった立派な官僚、人間としてもなかなかいいやつではないかという感じになってくる。最後は家族もうまくまとまってきて感動的だし読後感も大変に良い。
 多少減点したのは主人公がはじめは普通の人間なら分かりそうなことまで全く理解できないぐらいへんな人間なのに後半では結構普通っぽくなってくるのがちょっと違和感があるため。

キーワードから探す
makomakoさん
ひとこと
歴史ミステリーや、本格物が好きです。薀蓄も結構好き。変人が登場するのは嫌いではないが、冷たい人間が出てくるのは肌に合いません。外国ものは登場人物が理解不能であったり翻訳文が合わないことが多くあまり得意で...
好きな作家
鮎川哲也、山田隆夫、綾辻行人、法月綸太郎、高田崇史、伴野朗
採点傾向
平均点: 6.19点   採点数: 850件
採点の多い作家(TOP10)
高田崇史(34)
樋口有介(30)
有栖川有栖(29)
アガサ・クリスティー(29)
東野圭吾(27)
太田忠司(27)
東川篤哉(25)
北森鴻(24)
米澤穂信(17)
今邑彩(17)