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makomakoさん
平均点: 6.18点 書評数: 861件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.81 7点 密室の鍵貸します- 東川篤哉 2009/08/23 09:21
 これはしっかりした本格推理小説なのでしょう。きちんと伏線も張ってあり複雑な推理もあってなかなか面白かった。おどろおどろしい雰囲気として本格好きをひきつけることも出来る内容なのに、ユーモア仕立てとしたところが作者の個性なのでしょう。こういった雰囲気は嫌いではない。
 登場人物が少ないのも、人の名前を覚えるのが苦手な小生には好感がもてる。ただ私は後のシリーズを読んでいたため、怪しげな人物が犯人でないことが分かっており犯人探しとしてはちょっと興ざめであった。この作者の作品を読むなら、まずこの作品からはじめるべきでしょう。
 なお違う作品に作者はプロットやトリックを考え抜いてから書き始めるのではなく書きながら作っていくほうだといっているが、この作品を読むかぎりよほど考え抜いてから書いたとしか思えないのですがね。

No.80 7点 交換殺人には向かない夜- 東川篤哉 2009/08/16 09:28
 へんてこりんな地名やギャグを止めればもっと本格好きが喜ぶといった評もありますが、私はしんねりどろどろといった感じよりこちらのほうが好きです。
 ちょっとやりすぎのところもありますが、まあ許しましょう。ことにこの話に限ってはこの軽いタッチがないといくら伏線が張ってあるとしても無理を感じてしまう。
 こんな人間って本当にいるのと思うより、軽い話だからまあいいかで成り立っている本格物といったところか。
 

No.79 7点 名探偵に薔薇を- 城平京 2009/08/09 09:11
 人によって評価が分かれているようですが、私は好きなほうです。
 まず登場人物が少なくてよい。しかもあまり変な人が出てこないのも好感が持てる。本格物として一応のラインを保っていると思います。こんな展開は確かに過去に読んだことのある物を流用したような気もするが、この程度なら良いのでは。
 気になるのは探偵の言葉使いで、もちろん作者は意図的にこんなしゃべり方をさせているのだが、警察と探偵の会話なんかは何様の態度であるかと思ってしまう。悲しい経歴を抱えているため名探偵でしかいられないなら、丁寧なしゃべりのほうがより悲しいと思うのだが。

No.78 6点 ロートレック荘事件- 筒井康隆 2009/08/02 09:00
 こういった話は絶対映像化されない小説の世界のみで成り立つもので、ちょっと考えると登場人物たちにとっては現実にはほとんど推理することなどないことになる。
 まあそれでも見事にひっかかり犯人が分かったときにはちょっとびっくりした。
 その後実に丁寧に犯人自身の説明がある。私の読んだ文庫本では証明のためのページと行数まで記載があり、いかに作者が苦心して書いたが分かるとともに、こんなトリックはアンフェアではないかという読者に対して弁明しているようでもあるが、あまりに長くちょっとくどい。
 せっかくロートレックの写真まで沢山組み込んであるのだからもうすこしロートレックが絡んだ話となったらもっとよかったのに。

No.77 7点 カンナ 奥州の覇者- 高田崇史 2009/07/31 19:06
カンナシリーズはついにアテルイの話となった。QEDシリーズより中身が薄い気がするが、今回は個人的に興味を持っている歴史の話が含まれているので面白く読めた。続きもののストーリーなのである意味ずいぶん長い話ではある。これで終了かと思ったがまだ全貌が解明されておらず次回へ持ち越しとなった。もうそろそろおしまいでもよさそうなのだが。

No.76 4点 殺戮にいたる病- 我孫子武丸 2009/07/31 18:54
こういったエログロはどうも好みでない。トリックには見事に引っかかったが、そこへいくまで変体風な話を読まされるのは苦痛だ。いろいろな意見があるようだが、こういったトリックを書くのに何もこんなエログロにしなくてもいくらでも話は出来そうに思うのだが。

No.75 8点 七回死んだ男- 西澤保彦 2009/07/19 16:09
 設定はSF的だがすんなりと読んでいける。SFにあまり興味ないものが読んでももともと非現実的なお話であることを忘れさせてしまうほど。作者が聖典としている「生ける屍の死」よりもこちらのほうが私は好きです。
 こういった設定だといろんな仕掛けが多方向から組み込めるため、ひとつの事件に対していろいろな角度からの「現実」が提示され、読み進むにつれてだんだん違った展開となってくるところが新鮮で面白い。読み始めたら止められなくなり一気に読んでしまった。
 ところで。
 私がこんな体質をもしも受け継いだなら、すぐに競馬に行って第9周に当たり馬券を買ったりして、なんて考えるのは下種根性でしょうね。

No.74 7点 完全犯罪に猫は何匹必要か?- 東川篤哉 2009/07/19 10:12
 なかなか面白かった。ちょっとジョークがやりすぎぎみではあるが、それなりに笑わせてもらった。本格派が好きなものが読んでも結構いけると思う。ただ後の殺人の凶器はちょっと無理なんじゃないかな。
 まあナンセンスミステリーならこれでいいか。だいたいこの題名では本格好きの読者は手にとらないかも知れないし。
 好みからいえばもう少しギャグを減らして本格度を上げたような作品が良いのだが。

No.73 8点 ゲッベルスの贈り物- 藤岡真 2009/07/16 07:57
 作者が仕掛けた小技はほとんどひっかかり(私はたいていの仕掛けにはきちんと引っかかるおめでたい読者であります)最後に見事に背負い投げを食わされた。
 さえない中年男がやたら強かったり、冷静な殺人屋が急に素人のような失敗をしたり、実にうそっぽい展開。それをおもしろく最後まで読ませてくれた。なかなかのものだと思う。

No.72 6点 毒草師 白蛇の洗礼- 高田崇史 2009/07/10 14:58
毒草師の第2弾。カンナよりは歴史推理ががっちりしているが、事件の推理に問題がある。推理小説の面白みのひとつは困難な事件をいろいろ探索していってもどうしても解決できず、そこで名探偵が登場してさっそうと解決に持ち込むところにあると思う。この間に作者が仕掛けたトリックや伏線がたくみに仕込んである。私などはたいていはだまされて探偵さんのご意見を拝聴して唖然とする。この小説では名探偵が快刀乱麻を断つといっても、ほとんど事件のことを知らない赤の他人がみんながわからないことをあっという間に解決してしまう。解決までの回り道など全くしないし伏線等もほとんどない。これでは複雑怪奇にみえた事件の最後に一部始終を見ていた目撃者が出てきて解決しましたといっているのとあまり変わりないではないか。もっと面白くなりそうなシリーズなのでもう少しがんばってもらいたいのだが。

No.71 5点 カンナ 吉野の暗闘- 高田崇史 2009/07/10 14:35
カンナシリーズはQEDの安易版なのであろうか。今回は役小角の話が中心となっているが、歴史推理も殺人事件のほうもかなり手抜きの感じ。読みやすくはあるが、中身はだいぶ薄い。これで大丈夫なんだろうかとファンとしてはちょっと心配になる。でも新しのが出るとやっぱり買ってしまうだろうな。

No.70 6点 男爵最後の事件- 太田忠司 2009/07/10 14:28
霞田シリーズの最終作という事でずいぶん期待して読んだ。このシリーズはいずれもストーリーや背景にこだわりのものが出てきてこれがまた楽しいのであるが、この作品にはそういったものはない。トリックもことになく淡々としたものだ。おなじみの人物がおなじみのように活躍して、多少のエンディング様のストーリーがあって、といったところか。ごひいきの作家の好みのシリーズの最後としては大分物足りない感じ。ちょっと残念。

No.69 5点 雪虫- 堂場瞬一 2009/07/10 14:20
主人公がいちいち他人の言葉にひっかかるいやなやつなのでよっぽど途中でやめようかと思ったが、読んでいくとストーリーはなかなかのもの。好みではない警察小説であるが、途中からはすんなりと読めた。
 でも最後はいただけない。こんな結論ではやりきれないではないか。
 これで次々とシリーズが発表できたものだと思うが。きっとこういったのが好みの人も大勢いるのだろう。

No.68 6点 あくむ- 井上夢人 2009/07/10 14:10
井上夢人の小説らしくとてもよく書かれていると思うのだが、内容があまり好みではない。読後感がすっきりしない。

No.67 5点 カンナ 天草の神兵- 高田崇史 2009/06/21 07:43
今回のカンナシリーズはQEDより執筆が早いが、その分内容も薄い感じ。QEDのようにやっていてはいずれ行き詰るだろうが今回の天草の神兵では歴史推理もいまいちだが、肝心の事件のほうがさっぱりだった。採点5点はひいきの作者であるからでそうでなければもう少し点数は下がる。ただ読みやすいことは読みやすく時間つぶしぐらいなら良いでしょう。

No.66 7点 the TEAM- 井上夢人 2009/04/29 22:05
面白かった。さらりと読めてさすが井上夢人の作品と思うのだが、同じ連作物の「風が吹いたら桶屋がもうかる」と比べると登場人物も物語の興味もちょっとおちるかな。

No.65 8点 朱色の研究- 有栖川有栖 2009/03/31 20:30
なんともロマンチックな作品。2重に絡んだトリックはぎりぎりの線で成り立っていて犯人もある意味ではすごく純粋であり、結果はそこはかとなく悲しい。火村先生の中では好きな作品。

No.64 7点 隠された帝- 井沢元彦 2009/03/29 13:28
私は歴史が好きなので天智天皇と天武天皇という日本古代史の代表人物に対する歴史推理はとても興味深かった。兄弟の間柄や暗殺に対する学校で習ったことからすればちょっとびっくりするような推論もなかなかのものだった。ただもう一方の現代における事件のほうがいまいちかなということでこの点数です。歴史推理が好きなら読んで損はないと思う。

No.63 7点 スウェーデン館の謎- 有栖川有栖 2009/03/29 12:26
美しい雰囲気の中で美しい人が登場して、となかなかムードが良い。トリックは小粒だがまあそこそこでしょう。国名シリーズのなかでは好きなほうの作品です。

No.62 8点 秘密- 東野圭吾 2009/03/22 09:33
ありえないようで何となくありえるようなお話を上手に読ませてもらった感じ。東野圭吾は時に冷たく説きに暖かいが、この小説は暖かい面が出ていて好感が持てた。

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makomakoさん
ひとこと
歴史ミステリーや、本格物が好きです。薀蓄も結構好き。変人が登場するのは嫌いではないが、冷たい人間が出てくるのは肌に合いません。外国ものは登場人物が理解不能であったり翻訳文が合わないことが多くあまり得意で...
好きな作家
鮎川哲也、山田隆夫、綾辻行人、法月綸太郎、高田崇史、伴野朗
採点傾向
平均点: 6.18点   採点数: 861件
採点の多い作家(TOP10)
高田崇史(34)
樋口有介(30)
有栖川有栖(29)
アガサ・クリスティー(29)
東野圭吾(28)
太田忠司(27)
東川篤哉(25)
北森鴻(24)
今邑彩(17)
米澤穂信(17)