皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
makomakoさん |
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平均点: 6.19点 | 書評数: 850件 |
No.790 | 6点 | 殺しへのライン- アンソニー・ホロヴィッツ | 2022/10/29 07:23 |
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ホーソーンシリーズの3作目です。勿論今回も隠された謎と不可解な事件を取り扱う小説。
探偵と作者の分身たるホロビッツが島で行われる文芸フェスティバルに参加する。フェスにはそこにいろいろな人が集まり、それぞれのキャラクターや立場などが紹介されていく。事件はなかなか起こらずちょっと退屈。 そうしているうち、にはなもちならない大金持ちの夫婦が殺される。ようやくお話が面白くなります。今回もホーソーンの隠された過去が少し現れます。 犯人が指摘されこれでよいのかと思っているうちに何となく終了?。ページにまだ残りがある。こんなんじゃないよねと思っているとやはりどんでん返しがあります。 推理小説としては謎が一部残ったままで終了。ホーソーンの過去も彼が何をしたのかももう一つはっきりしません。 多分次作へのおたのしみといったところでしょうが、ちょっとすっきりしないな。 |
No.789 | 7点 | Iの悲劇- 米澤穂信 | 2022/10/09 08:10 |
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本の題名から人里離れた村に新しい住人が移って来て連続殺人が起きて――、と思って読み始めましたが、全然違ったお話でした。
以下ちょっとだけネタバレ。 一種の連作ものですが殺人などの血なまぐさい事件は全く起きません。 まじめな役人とちょっととぼけた新人女性が主として動き回り、その上司はやる気がなさそうだが突然鋭いところを見せる。 役人さんは本当に頑張って仕事をするが、どうしてもうまくいかず移住者は次々と去っていく。 まさにそして誰もいなくなった風なのです。 最終章はちょっとびっくり。完全にやられました。 |
No.788 | 6点 | QED 東照宮の怨- 高田崇史 | 2022/09/11 08:53 |
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久しぶりにこのシリーズを読みなおしています。
薀蓄が好きな私は殺人のお話などはすっかり忘れてタタルの薀蓄はまあおぼえていました。 結局はこういった薀蓄が楽しみで読んでいたということになるのかもしれません。 殺人の動機も犯人もすっかり忘れていたが、初読当時にもこれで殺人の動機となったとするのはちょっと無理があると思ったことだけは覚えていました。 意外な犯人と意外な動機そして歴史からくる謎など魅力的な内容ですが、それを結びつけるにはやはりある程度の無理があることは否めないのでしょう。 |
No.787 | 7点 | QED 六歌仙の暗号- 高田崇史 | 2022/09/05 18:51 |
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QEDシリーズ第2弾。
再読です。初めて読んだときも感じたのですが、このお話は作者が第1作よりさらに良い作品をといった努力がしっかり積み込まれた、まさに力作です。 こんな話は長く続けられそうにないなと思っていた時にこういった力作が出て感心したものでした。そしてこれが私が高田氏のファンとなっていった原点でもあります。 薀蓄がうっとうしい人にはまったく向きませんが、好きな人にはなかなかの魅力なのです。 |
No.786 | 8点 | 希望の糸- 東野圭吾 | 2022/09/03 07:11 |
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久しぶりに感動した東野氏の作品です。
氏は本来優しさと悲しみを本格推理小説としての形態で実に巧みに表現できる方と思っていますが、最近あまりにも多作で内容が薄まっているのが気になっていました。とにかく新作を発表すれば売れるのでどんどん書かざるを得ないのでしょうかね。作者の若い頃の作品は本当に素晴らしかった。リアルタイムで読んできたものとしては最近の傾向はちょっと心配な感じもしていました。 この作品は作者が初めから書き続けている加賀シリーズです。トリックとしてはさほどのことはないのかもしれませんので、がちがちトリック好きの方にはあまり評価されないかもしれません。 しかし人間のせつない望み、どうしようもないさだめや運の悪さ、それらから何とかもがいて脱出せんとする姿などを美しく描いている素敵な小説です。 |
No.785 | 7点 | QED 百人一首の呪- 高田崇史 | 2022/08/27 06:58 |
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高田氏の出世作にてQEDシリーズの第1作。
読んだのは20年以上前で今回再読です。 QEDシリーズはすべて読んでいますが、記念すべき第1作を読むとまだあまり付き合いが深くないナナちゃんとタタル、小松崎の3人が初々しく登場するのが楽しい。 初めて読んだときにも百人一首がこんなたくらみを含んでいる可能性があるなんてとびっくりしたものだが、これと殺人事件を結びつけるにはやはり大分無理はありますね。百人一首に関しては種本があるとの事ですが、本書の中にも触れており、参考文献にも上げてあるので私は問題ないと思います。 こういった薀蓄を読むのが楽しい人といやな人に分かれるのは当然でしょう。 私は大好きな方です。 |
No.784 | 7点 | 総理にされた男- 中山七里 | 2022/08/15 19:58 |
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お話の初めからとても興味深く、ぐいぐい読めてしまう。
とんでもないお話です。無理でしょ、こんなのと思いつつお話の痛快さに留飲を下げてしまいます。 政治の仕組みや経済の仕組みなど全く無知な私でも、巧みに説明してもらえるので難なくついていけました。 政治的に必ずしも賛成というばかりではないのですが、そんなことは考えずに読んでいけるところが作者のすごいところなのでしょう。 |
No.783 | 7点 | 金魚姫- 荻原浩 | 2022/08/14 17:02 |
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なかなか面白かった。
題名から当然人魚姫を連想しますが、大分違った設定です。 ダメな暮らしをしている主人公がひょんなことから金魚すくいで琉金をすくう。 家で飼っていると金魚が美しい女性になってあらわれる。 なーんだありふれたお話ではないかと思いつつ読み進むと、これがなかなか一筋縄ではいかない。 金魚の美女はなかなか魅力的だし、謎もきちんと設定されている。 最終的にはどんでん返し的な展開となる。 読後感もとてもよく、推理小説が好きな方が読んでも楽しめると思います。 |
No.782 | 7点 | 西郷隆盛の遺書- 伴野朗 | 2022/08/08 19:34 |
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ずいぶん昔に読んだものの再読です。
当時伴野氏の小説が好きで見つかり次第読んでいました。 このサイトで氏の小説があまり出てこないので、追加したこともありました。 久しぶりに読むとやはり氏の話のうまさと興味深さにひと時、時を忘れました。 ある評論家は伴野氏はあまりのうまく歴史を描くため、ほとんどファンタジーのような内容なのに読者が実際にあったことと間違えてしまいそうになることがいけないといったことを述べていたことを思い出します。 西郷さん本当に遺言を残した? |
No.781 | 6点 | 呪いと殺しは飯のタネ- 烏丸尚奇 | 2022/07/31 10:01 |
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このミス大賞の最終選考候補を改修したものとのことです。
全体としてかなり粗削りで、トリックも大胆だが無理も多少あるように思えますが、読んでいてなかなか興味深く、一気読みしました。 新進作家の第1作として期待できる作品と思います。 次作に期待しましょう。 |
No.780 | 3点 | ゆるキャラの恐怖- 奥泉光 | 2022/07/09 19:37 |
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私はユーモアあふれる本格推理小説が好きなのですが、こういった脱力系の小説は波長が合わないと単なるばからしいお話となってしまいます。
私にはこの小説はあいませんでした。波長が合えば楽しめるのかもしれません。 |
No.779 | 7点 | 早朝始発の殺風景- 青崎有吾 | 2022/07/09 19:31 |
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私はこんな小説が好きです。
確かに殺人事件などはなく、ありふれた日常の謎、しかも初めは謎とも思わないことを少しずつ追及して最終的に解明する。これって本格推理小説そのものですよね。 青春小説でもあり、登場人物も感じがよい。 読後感もよく感じのよいお話でした。 |
No.778 | 5点 | 密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック- 鴨崎暖炉 | 2022/07/05 20:44 |
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この作品は読者を選ぶものと思います。とことん合わない人からこれほどまでの密室を次々と堪能できるのは素晴らしいと思う人と。
ある意味で本格推理小説の結晶とも言えます。 出てくる人間はだでたらめ、探偵は中学時代に親殺ししたけど密室が破られなかったために無罪となったとんでもないやつ、もちろん爪の垢ほどの反省もない。密室請負人(こんなのもいるのだ)は、これまた全然反省なく次々と人を殺していく。 それを見ている閉じ込められた人々も恐怖はなく淡々と殺人を観察している。 あり得ないよね。こんな話が好きだと言ったらとんでもないやつだと思う人はいっぱいいるでしょう。 本格小説はある意味こういった危うさから成り立っているため、ある程度隆盛期があっても最後には感情のない人間が奏でる殺人ゲームとなり、多くの人から眉をしかめられてしまうことになるのでしょう。 そしてもっと人間味のある推理小説がでてくるが、こちらはトリックとしては当然限界があるのでこれまた行き詰まる。 私は本格推理が好きではあるが、ここまで登場人物がひどいとちょっとついていけない。ただこれだけ密室を作って結晶のような小説とした作者の努力と才能はすごいとは思います。 |
No.777 | 5点 | 星詠師の記憶- 阿津川辰海 | 2022/07/02 20:48 |
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これは読者を選ぶ小説だと思います。
現実はともかく、精緻な推理と複雑なトリックを楽しむ方ならとても楽しめるでしょう。このサイトに評価も多くが本格物が好みの方が多いと思うので、評価は高くなるものと思います。 私も本格物が好きなのですが、これはあまりにもこみいりすぎで、一度読んだだけでは鈍い私の頭では、真相を解明されてもなかなかついていけませんでした。 さすが東大出の作者が考えた小説といったところでしょうか。登場人物もみんな東大へ行っています。このあたりエリート感が漂っていてちょっと嫌味な感じがしないでもない。 なんといってもお話の地盤がありえないものなので、そのうえに立った砂上の楼閣のようなお話とも言えます。 まあ本格推理の多くが多かれ少なかれあり得ないお話ではありますが。 |
No.776 | 8点 | 野良犬の値段- 百田尚樹 | 2022/06/19 07:55 |
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この作品は非常に興味深い内容を含んだ、エンターテイメントと思います。
作者はマスコミやSNSなどでずい分話題になったことがありますが、その経験をもとにSNSによる犯罪や影響、そして大新聞社やテレビ局の偽善、欺瞞などをじつに分かりやすく描いているものと言えます。 誘拐、身代金要求など卑劣な手段を取ること自体全くよろしくないのですが、社会のある意味でごみ扱いされているホームレスが自分たちを不当に陥れた社会へ挑戦する姿を見ていると痛快になってくるのように描かれています。それに対してマスコミやSNSの建前主義の対応。そしてホームレスたちは神のような予測能力で見事に手玉に取ります。こんなすばらしい能力があったらホームレスにならないような気もしますが、まあ小説なのですから。 人を感情だけで不当に陥れることができるような構造となっている現代社会への作家たる作者の反論とも感じられます。作者のすごいところはこの小説が実に面白く読みやすくかけているところなのでしょう。読後感もとても良い。 |
No.775 | 7点 | 正体- 染井為人 | 2022/05/21 07:22 |
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染井為人氏の小説は初めて読みました。かなり長いお話ですが、途中からは興味深々で読むのに大変ということはなく十分楽しめました。
お話の内容としてはいってみれば連作もののような体裁です。 殺人犯の容疑で少年ながら死刑が確定している若者が、脱走を図りその経過にいろいろな人たちとかかわるといった筋立てです。一つずつのお話が独立しているが、最後にそれが結び付いて結末となります。 詳しくはネタバレとなるので述べませんが、力作であることは間違いありません。 登場人物もあまり嫌味がなく、読んでいくと主人公がだんだん好ましく思えてきます。ただ主張ある作品なので読む人によっては好まないところがあるかもしれませんが、私は好ましく思いました。 作者のほかの作品も読んでみよう。 |
No.774 | 4点 | 女王はかえらない- 降田天 | 2022/05/12 21:36 |
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このサイトでは比較的高評価のようですが、私にはこの作品は合わなかった。
第1部での陰湿ないじめや、いやになるほどの登場人物のうじうじが我慢できない。 第2部になるとどうもおかしな展開。絶対騙そうとしているのがまるっとわかるので、どうも読み心地が悪い。 第3部、真相では凝ったトリックではあるがこれって小説でしか通用しないでしょ。こういったトリックはほかでも読んだ覚えはありますが、あまり好みではありません。 作者の作品では「すみれ屋敷」は良かったが、これはちょっといただけませんでした。 |
No.773 | 6点 | QED 神鹿の棺- 高田崇史 | 2022/04/18 21:24 |
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このシリーズはまた出たところをみると終わっているのではなく、時々出版されるということなのでしょう。ただし登場人物の年代は必ずしも出版順ではないようですが。
今回もタタルとナナちゃんと小松崎の三人組の旅行中の事件です。 お話の始まりはやっぱりタタルの果てしない薀蓄の間に一見無関係のような事件が起きます。まさにこのシリースの定型といってよい構造です。 お話に出てくる鹿島神宮や香取神宮は行ったことがなくタケイカズチノカミやフツヌシノカミは何とか知っていたのですが、タケハヅチノカミは全く聞いたこともなかったので興味深く読みました。 それにしても実際に人が死に、それが実は古来からの隠された歴史の結果であり、それを薀蓄から解決するといったお話で出来上がっているQEDシリーズは創作するのが大変なのでしょうね。でも楽しみにしているので途切れ途切れでもよいから次巻の発行を期待しています。 |
No.772 | 6点 | スワロウテイルの消失点- 川瀬七緒 | 2022/04/11 20:48 |
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このシリーズはまず初めに死亡した被害者の法医解剖から始まる。これがいつもグロイのだが、今回はひときわグロイ。さらにその場面で顔にウジをつけたまま顔を洗おうともしないで調査し続ける赤堀はさすがに異常です。
その後はいつものように聞いたこともない昆虫が出てきてひどい目にあいながら最終的にはほのぼのとした解決となる。 全く同じパターンなのです。最後が気分がよく終わるのも同様。 これで何作も続くのはひどく異常なところをもつ赤堀が本質的には好感が持てる女性であることと、ほかの人物も変なやつが多いのに何故か良いところがあるためなのでしょう。 それにしてもいつも初めがグロイのはあまり好みではないので、全体として好印象な割に私っとしての評価は少し低くなってしまいました。 |
No.771 | 6点 | ハッピーアワーは終わらない- 東川篤哉 | 2022/04/02 22:12 |
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かがやき荘のアラサー女子3人が謎を解いていくという設定は前作と変わりない。
本作品では3人の個性がはっきり出てきた結果、謎を解くのは小野寺葵だけであとの二人はおはなしをにぎやかにしているだけといった風になってしまっているのはちょっと残念なところです。 作者特有のユーモアはまあまあといったところでしょう。 なお本作品は改題されているので現在は「かがやき荘西荻探偵局2」ということとなっています。 |