皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
makomakoさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 861件 |
No.281 | 6点 | 赤い指- 東野圭吾 | 2012/07/21 07:52 |
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読んでいて楽しい小説ではないですね。特に前半は嫌になってしまう。まあそれだけ作者が上手に小説を書いているのですが。
だいたい殺人事件を現実的でシリアスの書けば書くほど嫌な感じがするのはある面で当然で、それを好んで読むかどうかは読者の選択ということとなるのでしょう。 東野氏の小説は時々こういった嫌な感じが表へ出てくるものがあり、そういった作品群は個人的には好みではありません。どこか冷たい感じがするのです。 登場の少年は商売柄ときどき似たようなヤツ(あえてヤツと呼ぶ)と遭遇します。自分がうまくいかないとみんなが困ると思っているのです。加賀と同じような感じを抱いてはいます。 いろいろあるけど本当は素直でいいやつなんですよ、といったところがないので読んでいるとつらいだけになってしまいます。そんなふうなところが少しあったらぐっと点数は上がったのに。 甘いかな。 |
No.280 | 4点 | ふたりの距離の概算- 米澤穂信 | 2012/07/20 06:26 |
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米澤氏の作品でも古典部シリーズは好きなものなのだが、これはいただけなかった。「インシテミル」のように生理的に受け付けない感じがするのではないのだが、はっきりいってあまり興味のない話でした。
まずマラソン大会で走りながら推理するというところから気に入らない。わたしはずっと運動部に所属していたが、何を隠そうマラソンが大嫌い。走りながら考えることはいつも後どれだけ走ればオシマイだからがんばろうだけでしたので、こんな設定は考えられない。 謎となっていることも小粒なことは古典部なのだから当然だが、大して興味がないし文章もさえない。 暇つぶしに読むのもちょっと苦痛ぐらいでした。 |
No.279 | 8点 | ビブリア古書堂の事件手帖3- 三上延 | 2012/07/20 06:14 |
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このシリーズは奇抜なトリックや殺人などは皆無なのだが、愛すべき登場人物と暖かい雰囲気が満ちていて読んでいて楽しい。
栞子さんは精神科医や心理からみればアスペルガーだというかもしれないが(本格ミステリーの登場人物はしばしば精神的に異常な人間が活躍するのであるが)、大変好きな探偵さんです。 たまたま海外旅行する飛行機の中で読んだのだが、時間が余って何度も読み返すこととなったが、やっぱり楽しく読むことができた。ストーリーやトリックを読んでいるのではなく雰囲気を楽しんでいたからなのでしょう。 シリーズ物はだんだん飽きてくることが多いのだが、このシリーズはだんだんすきになってきたようです。次が楽しみ。 |
No.278 | 7点 | ブラディ・ローズ- 今邑彩 | 2012/07/08 12:12 |
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少々ネタバレ気味です。
この作品を読んでいるとわたしのような年代のものには、やはりレベッカを想像してしまう。理想の女性と誰もが慕っていたレベッカを主人がI hated!といったのを聞いた衝撃は忘れられないのだ。 登場人物が少なくレベッカを想像すればある程度からくりは見えてきたと思って油断していると?ちょっと違う方向の結論が出てきたりして。 わたしのような単純な読者にはやっぱり完全な真相はそう簡単には見抜けないのだ。 途中深層心理描写などがめまぐるしくつづき、やや読みにくいところもあるが、全体としてはきちんとしたお話となっているのはさすがであると感心しました。 |
No.277 | 5点 | ベイ・ドリーム- 樋口有介 | 2012/07/08 11:54 |
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作者の小説は独特のユーモアと巧みな文章表現が楽しめるのだが、内容が政治的なものや環境問題を取り上げるようなものにはあまり向かないのかもしれない(わたしが好きでない?)。
この作品も環境問題をテーマとしているのだが、読んでいてどうもあまり楽しくないのだ。「楽園」が作者のひそかな代表作と本人の言葉にあったが、わたしにとっては「楽園」の次ぐらいにダメでした。 悪くはないのだけどね。良くもないのだなあ。 |
No.276 | 8点 | おやすみラフマニノフ- 中山七里 | 2012/06/30 18:00 |
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この作品を読んでいると自然に音楽が頭の中に流れてくる。ことに城戸が水害で避難した学校でバイオリンを演奏するところは感動的でした。曲はおなじみのチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。わたしがクラシックファンになった中学時代にもっとも好きで何度も何度も聴いた曲。どんな音だろう。完璧なハイフェッツ?、芳醇な美音のフランチェスカッティー?、ふくよかなオイストラッフ?。私には繊細で強さを秘めたミルシテインのバイオリンの音がふさわしいように思えたのですが、読みおえたあと巻末を見るとなんと参考CDはミルシテインのものではないか!。
さっそくミルシテインのCDを引っ張り出して聞きながらこの部分を再読して一人で悦に入っていた。 従って当然のことですがこの採点は甘いと思います。 |
No.275 | 5点 | サマー・アポカリプス- 笠井潔 | 2012/06/24 08:50 |
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とても読みにくい小説でした。重厚で複雑なないような上に、登場人物はカケル以外は外国人ばかり。全く興味のない宗教的薀蓄を航も長々とやられては読むほうが苦痛になる。もうすこしさらっと書けないものか。二転三転とする犯行の結論はある意味で非常によく考えられたように見えるが、その間に長々と哲学的(に見せかけた?)お話を読まされては興味半減となる。
カケルの態度もはらだたしいばかりかほとんど共犯ではないか。まあ大体の探偵は似たような行動をとるのだが、初めから真相が分かっていたのに自分にとってはたいした問題ではないといって次の殺人を見逃すのはいくらなんでもひどすぎるでしょう。もうちょっと違う設定はなかったものかねえ。 まあ内容は充実しており話もよく考えられているので、これをもっとコンパクトに分かりやすくしたら素晴らしい傑作が出来上がったの思うのですが。 わたしの感想としては、評論家はあくまでも評論家であり、その人に実践させるとうまくいかず弁明だけが上手といったところでしょうか。 |
No.274 | 5点 | 紅楼夢の殺人- 芦辺拓 | 2012/06/17 10:06 |
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中国のお話なので名前に普段使わない漢字が多いのは仕方がないが、複雑な家系に似た様な名前が連なり読みにくかった。
原作を読んでいる方は多分これでよかったのだろうが、登場人物が平坦に書かれているため、ことにきれいなお嬢様各人のインパクトが少なく、なんかお人形さんがたくさん出てきた印象を受ける。 お話の結論も意外と言えば意外なのだが、どうも共感がもてない。 皆さんの評価が高いようですが、そして作者の新しい分野への切込みには敬服しているが、この作品はわたしにはあまりあわなかった。 |
No.273 | 6点 | 傍聞き(かたえぎき)- 長岡弘樹 | 2012/06/04 20:36 |
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どの作品も必要十分の内容でありきちんと出来上がっているのだが、だからとても面白いというものでもない。
短編なのだから当然不要な内容はできるだけそぎ落としたほうがしまった話となるし、そしてここに収められた作品はいずれもスリムでピシッとした作品でちゃんと落ちもついているのだが。うーんどうもそれほど面白くないのだ。 なんだか機械的で情緒に乏しい。そうすると内容が込み入ってくるほど楽しいというよりうっとおしくなる。短編だから読み通したが、長編だったら嫌になってしまいそう。 |
No.272 | 8点 | グラン・ギニョール城- 芦辺拓 | 2012/06/04 20:25 |
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作中作をうまく盛り込んであり、なかなか楽しめました。作者があとがきで書いているようにわたしもある程度のおあぞびは楽しむのですが、現実をあまり離れてしまったり、登場人物が非人間的であったりするようなものはどうもなじめません。その点この作品は適度の遊び心と推理と幻想がうまくミックスされて、私にとってちょうどよい。ただ二番目の事件ははなかなか大掛かりなトリックなのに、最初のはしょぼいなあ。こんなのあり?。
でもまあ全体としてはとても楽しめましたよ。 |
No.271 | 6点 | 張り込み姫- 垣根涼介 | 2012/05/03 09:00 |
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久しぶりの君たちにシリーズの第3弾。
第1作はとても面白かったが、第2弾3段とだんだん新鮮味がなくなってきた。主人公の村上のキャラクターもだんだん揺れてきているように感じる。 やはりこういったお話は作者に若さとパワーが必要なのかもしれない。 4つのお話のうち「みんなの力」がよかった。これだけだったら私の評価は8点か9点ぐらいのなのだが、他の作品が平凡なので全体の評価はこのぐらいかな。 以前の垣根氏の圧倒的なパワーに期待したいのですが、本作はどうも力が感じられない。このシリーズはもうおしまいとしたほうがよいかもしれませんね。 |
No.270 | 5点 | 完全なる首長竜の日- 乾緑郎 | 2012/05/03 08:45 |
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どちらかというとあまり好まない作品だが、読みやすい文体で最後まで読むのに苦痛は感じさせなかったのは立派というべきでしょう。
本格者で作者に混乱させられることは好むが、こういった幻想的な要素で読者を巻き込んで混乱させられるのはどうも好みではない。こんな作風が好みの人にとっては相当面白いのかもしれないが、私にはずっとまじめな話をしていて今のは全部夢でしたなんていわれているような感じ。 こんな話ならそりゃあどんな風にでもできるでしょう。安易だなあ。結末もすっきりしない。不完全燃焼のような感じでした。 |
No.269 | 5点 | 風少女- 樋口有介 | 2012/04/21 18:45 |
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樋口氏のデビュー2作目の作品。最近発表された加筆修正版を読みました。
作者は文章がうまく魅力的な会話が楽しめるのであるが、この作品はそういったところがやや乏しい。それほど長い話ではないが比較的登場人物が多く、人物の描きわけがもう一つうまくいっていないのが残念です。 |
No.268 | 7点 | 鳴風荘事件- 綾辻行人 | 2012/04/21 18:30 |
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発表されてすぐ読んだときは綾辻氏の作品としてはだんだんつまらなくなってきたといった印象でしたが、今回再読してみると結構面白かった。私の常ではあるがトリックや犯人は記憶しておらず、そういった意味でも面白く読めた。
作者からの挑戦があるが、カンで犯人を指摘することはできても論理的に証明することは私にとっては全く無理でした。もちろん最初に読んだときもぜんぜんダメだったことのみは覚えているのです。これが論理的に指摘して方法も分かったなんて方は本当にすごいですねえ。 初読より面白く読めたのは多分ミステリーの中毒症状が悪化したからなのでしょう。 |
No.267 | 8点 | 刺青白書- 樋口有介 | 2012/04/12 21:56 |
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なかなかよかった。主人公のスズメ君はいじめられていたことすら気がつかなかったという極めてのんびりしたキャラクターなのだが、だんだん読んでいくとこの娘とてもかわいらしい。作者もこんな女の子がいたらいつでも嫁にもらってやるなどとのたまっているが、同感ですなあ。
柚木シリーズではあるが、いつもの憂鬱さが少なく名探偵ぶりを発揮しているのもよろしい。 ストーリーはなかなか興味深く、私なんぞは登場する若者たちはとても考えられない(同年の作者はいつも私の考えられないような世界を描いてくれて非常に楽しい)のだが、こういった世界もあるのだろう。 終わりは実に気分が良い。 樋口先生へ。スズメ君の再度の登場はちょっと無理ですか?ぜひ読みたいのですが。 |
No.266 | 6点 | 今夜は眠れない- 宮部みゆき | 2012/04/08 19:27 |
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宮部氏の小説は久しぶりに読みました。初期の作品は大好きで夢中になって読んでいたこともあったのですが、作者の描く世界が広がるにつれ多少の違和感が生じたせいかこのところ遠ざかっていました。
最初は大金が突然転がり込んできたらあんまり幸せではないといったどこかで読んだことのある出だしなので、こんなことで大丈夫なのだろうかとちょっと心配でしたが、最終的には意外な展開が待ちうけており、この点さすが宮部みゆきです。 ただ主人公が余りよくないかな。 |
No.265 | 5点 | 美しき凶器- 東野圭吾 | 2012/04/08 19:15 |
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タランチェラなる女がやたら強く、簡単に人殺しを続けていく展開に納得できるかどうかで評価が分かれそう。
ただただ陸上競技だけのためにサイボーグとなっていた女性が、どうして関係ない人間でもあっさり殺せるのかと思ってしまうと、もうこの小説にはついていけそうもない。 ヒットメーカーの作者だけにたくみに読みやすくストーリーを展開してくれて入るのだが。 私は最後まで読むのがちょっと苦痛でしたが、読み終わってみると美しき凶器とはタランチェラだけではないかもしれない様に感じられ、多少良い印象となりました。 |
No.264 | 7点 | 名探偵の呪縛- 東野圭吾 | 2012/03/31 18:50 |
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前作「名探偵の掟」ですら最後にはちょっと長すぎたなあと思っていたのでまさか続編が出るとは意外でした。まあこんな切り口もありなんでしょう。さすがは東野圭吾、色々仕掛けてくるねえ。
作者の本格物に対する考えや変貌した理由などがわかってそれなりに興味深い。最近の作品では謎がなくなったのではないのだが、本格志向が全くといってよいほどなくなってきている理由も分かるような気がしました。 本格ものを書いている作者たちがしばらくして行き詰ってしまっていくのを尻目に、作者が話題作をどんどん発表できているのもこういった変革があってのことなんだと妙に納得しています。 でも無邪気な本格物のファンとしては、初期に書いていたような作品をもう一度書いてくれないかなあと願うばかりですが。無理ですかね。 |
No.263 | 7点 | 名探偵の掟- 東野圭吾 | 2012/03/25 09:36 |
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なるほど推理小説作家はこんなことを考えて書いているのだ妙に納得して読みました。私もここで語られているようないい加減な読者なので、きちんとした本格ものではほとんど犯人もトリックも分からず、だいたいは名探偵の推理に感心してしまう。作者にとっては実にありがたい読者なのです。
この小説パロディーとしても面白いのだけどちょっと長すぎて、最後のほうになると息切れがしてくる。この三分の二ぐらいのところで終わっていたらもっと面白かった。 |
No.262 | 7点 | 殺人方程式- 綾辻行人 | 2012/03/21 18:11 |
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久しぶりに再読。やっぱり本格物としてとてもよく出来た作品と再確認しました。物理トリックは何となく覚ええていたのだが、犯人は意外だったのにコロっと忘れていたので、またしても楽しく読みました。
こういった作品では好き嫌いが出やすいとは思いますが、私はゲーム感覚で殺人をあつかうような登場人物が出てくるものよりははるかに好きです。 実によく考えてあり、キズも少なく、トリックも無理がなく、犯人も意外で、どなたかが書いておられたように教科書的な本格推理小説だと思います。 館シリーズより受けなかったせいか2作しか書かれていませんが、綾辻先生もうちょっと書いてくれないかなあ。 |