皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
makomakoさん |
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平均点: 6.17点 | 書評数: 876件 |
No.416 | 4点 | ミンコット荘に死す- レオ・ブルース | 2014/12/06 17:41 |
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2013年度本格ミステリ外部門で2位ということで読んでみたのですが、これは私には合いませんでした。残酷な描写やエログロではないのですが、とにかく登場人物がみんな感じが悪い。探偵もおせっかいはやかないなどといいながら、自分の興味だけで大いに他人のことに口を挟みうっとうしいやつでした。
ミステリーとしては伏線も張ってあり意外な犯人(ミステリーを読みなれた方ならあまり以外ではないかも)もありで、まずまずなのですが、生意気な生徒、頭が悪いのにうるさい女、支離滅裂なことをやたらしゃべるのに肝心なことは語れない男などなど。 とにかくイギリス人はこんなに自分のことしか考えない利己主義者ばかりなんだろうかと疑いたくなるような人物ばかりで不快でした。 |
No.415 | 6点 | 火曜クラブ- アガサ・クリスティー | 2014/11/23 14:41 |
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アガサクリスティーのポアロと並んで重要なキャラクターとなるミスマープルの短編集。多彩な登場人物と推理比べをするというなかなか興味深い内容でした。そしてしゃべっていると田舎の話題と混同してしまうような田舎のおばあちゃんたるミスマープルが抜群の推理量を発揮して勝利を収める。
個人的にはポアロの出てくる長編が好みなのですが、これはこれでちょこちょこ読むには面白かった。 もちろん今となっては成立しにくいものやちょっと無理な推理もあるにはあるが、読みやすくて楽しかった。 |
No.414 | 7点 | ゼロ時間へ- アガサ・クリスティー | 2014/11/12 22:23 |
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本作品は好みが分かれるようですが、私は好きです。推理小説の物語の進み方自体を考慮した作品なんてあまり読んだことがなく、なかなか良いと思います。
それにしても犯人は分かっているようで何度か背負い投げを食らわされ最後は---。だいたい再婚した相手と元の嫁を一緒に逢わせて楽しいわけないだろうとは思うのだが、やっぱりね。 クリスティーの小説は登場人物があまり多くなく、外人の名前を覚えるのが苦手な私にとってとても読みやすく楽しく読みました。 |
No.413 | 6点 | 永遠のディーバ- 垣根涼介 | 2014/11/01 21:46 |
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前作でもうこれはやめたほうがよいなどと印象を述べましたが、久しぶりに新作が出たらやっぱり買ってしまった。
最初の「勝ち逃げの女王」はこのシリーズの登場人物や構成を大分忘れていたので思い出すのに役立った程度の作品でした。 あーあ、やっぱりこのシリーズはネタ切れ風だなあと思っていたのですが、2作目の「ノー・イクスキューズ」でちょっともちなおしてこのシリーズに入り込むことができました。そして3作の「永遠のディーバ」は素晴らしく、感動しました。一途な人間がもう一度一途にやってみる姿勢とそれを助けるのが同じ青春を競った仲間という、ある意味くさい設定も私にはよかったです。 4作目の「リヴ・フォー・トゥデイ」もまあおもしろい。 全体として1作目のインパクトには及ばないが、2作、3作よりはかなり良かった。 |
No.412 | 6点 | マスカレード・イブ- 東野圭吾 | 2014/10/25 08:03 |
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マスカレードホテルでは連作風のエピソードを詰め込み過ぎて肝心のメインストーリーが薄められてしまったのの反省?からか、今回は連作でしかも分量も数なく、サクサク読めます。
それぞれの話も語り上手で、それなりに興味をひき一気に読んでしまいました。 だからとても感動したとかすごいといったことはありませんが、読んで不快というものでもなく一般的に言えばまあ良かったということでしょう。 しかし私としては作者はもっと才能ある方と思いますので、こういった薄い作品を多量に書くのはそろそろやめて、じっくりと重厚な作品を書いてほしいのですが。 |
No.411 | 6点 | マスカレード・ホテル- 東野圭吾 | 2014/10/21 19:47 |
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さすが東野氏は語りがうまい。一つ一つのエピソードがなかなか興味を引くのです。でも味が薄い。どうなることかと思えるようなシチュエーションを設定してくれるので、読むには退屈しないのですが、最終的にはえらくうまくいってめでたしめでたし。まあそれでも良いのですが、話を長引かせるために巧みに小話を追加したようで。
売れっ子作家は色々と大変なのでしょうが、もう少し腰を据えて作品の質を高めてほしい。長編小説なのだが、連作集のような感じです。そのためメインの話がずい分薄められてしまい、心に響かない。 それなりに面白くかけているのは才能でしょうが、作者が持っている冷たさが透けて見えてしまいます。初期の作品のような一途さを求めるのはもう無理なのでしょうか。 |
No.410 | 6点 | モップの精と二匹のアルマジロ- 近藤史恵 | 2014/10/19 10:54 |
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初めは平凡そうな展開なのですが、途中からかなり変わったお話となりどういう結論となるのか想像ができませんでした。
なるほど女性ならではの目の付け方に関心するとともに、男にとっては肝心なところが抜けているようにも感じました。男女間の感覚の相違なのでしょうね。 嫌味な小説ではないので読後感は悪くない。でももう一つ物足りない感じはありますね。 |
No.409 | 5点 | 147ヘルツの警鐘- 川瀬七緒 | 2014/10/11 07:50 |
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本シリーズの2弾、3弾は登録されているのになぜか第1弾となった本書がないので、登録しました。
ただし、うーんこれはねえ。出だしがあまりにもグロい。ここまで書かなくてもよいのに。推理小説では時々法医学者が探偵となっている小説を見かけるけど、法医学ってこの小説のような感じのことは実はあるようです。 昔学生時代に法医学の講義を受けましたが、豊富な写真や時に実物などを見せられげんなりしたことを思い出します。 さらに昆虫や蛇などを網でとるシーンはいやですね。虫も蛇も嫌いなんです。 よっぽどここで読むのをやめようと思ったのですが、解説に、初めを我慢すればあとはすらすら読めるとあったので続けて読むこととしました。 その後は確かにまあ面白かった。だから初めのところをもう少しおさえて書いてもらえばもっと評価は上がったと思います。 でもこういったグロテスクなのが好きといわれる方もいるでしょうからこれでよいのかも。 |
No.408 | 8点 | ヴァイオリン職人の探求と推理- ポール・アダム | 2014/10/06 07:46 |
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あまり聞いたことのない作家で翻訳題名も中身そのものの。なんだか垢抜けない題名としたものだが原作そのものの小説名だったら読まなかったかも。
確かに推理小説ですががちがちの本格物ではなく、感じのよいヴァイオリン職人のジャンニがヴァイオリンの専門知識と人脈とそして適度にイマジネーションを働かせて解決へいたるお話です グァルネリやストラディバリなどヴァイオリンの名器の値段や売買はこんなふうにされているのだと大いに驚きました。真贋も偽物を作った本人が鑑定していればどうしようもない。なんということでしょう。 クラシック音楽に興味がなくても十分に楽しめると思いますが、興味のある人間にとっては演奏者やヴァイオリンの名前が出るとその演奏が耳に頭に響きより心地よいのです。 海外ミステリーにありがちな異常性格の探偵ではなく、心あたたかで超一流の職人という素晴らしい名探偵の出現に乾杯! |
No.407 | 5点 | 天使はモップを持って- 近藤史恵 | 2014/09/23 08:20 |
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話が軽いのですらすら読めるが、特別に面白かったり感動したりというものではないようです。
ビル掃除はほとんどおばさんがやっているものと思っていたので、こんな設定はびっくりするとともに何となく違和感があります(私が古いのかもしれませんが)。 でもこのお話を読むうえでは許せてしまう範囲でしたが、主人公の大介の優柔不断さと、女性目線からのストーリー展開がどうもなじめませんでした。 |
No.406 | 4点 | 人形の部屋- 門井慶喜 | 2014/09/21 08:31 |
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専業主夫と中学生の娘が中心のお話で、心温まる家庭推理小説ということのようだが、どうも私には合わなかった。別に嫌いというわけではないのですが(そういった類の話ではない)、登場人物に心が動かないのです。
連作集なので一つの作品はそれほど長くはないのですが、薀蓄が長くてくどい。最後の「お子様ランチで晩酌を」にいたっては大体話が結論づいてからくどくどと凡長な会話が続きいやになってしまう。 以下ネタバレが多少あります。 タイトルの「人形の部屋」はなかなかの推理なのだが、証明がむちゃくちゃでしょう。このお父さんの性格でこんな思い切ったことはきっとしないでしょ。だいたいもし間違っていたらどうするの?すごく違和感がありました。知り合いのレントゲン技師か医者に頼んでレントゲン撮影でもしてからなら話は分かるんだけど。 |
No.405 | 6点 | 検事の本懐- 柚月裕子 | 2014/09/13 20:09 |
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法曹物はどちらかというとあまり好きではないのだが、この連作集は面白く読みました。どの話もかなり興味深い。
ことに第4話の拳を握るでは特捜班に派遣された佐方が尋問する相手にあらかじめ上から作った書類にハンコを押すように強制することを押し付けられるシチュエーションにはびっくしました。 検察の特捜班は花形と思いますが、この小説のように取り調べる人の都合など全く無視で自分の作ったシナリオに合わせることのみを考えているとしたら、誤認逮捕なんていくらでも出るのでしょう。本書の最後に元検事から監修をいただいたとあるから、本当にこんな組織なのでしょうか。かなり考えさせられるお話でした。 |
No.404 | 6点 | エデン- 近藤史恵 | 2014/09/13 19:58 |
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サクリファイスの続編。サクリファイスを読んでから読まないとだいぶん興味が薄れると思います。ミステリーとしての要素は少ないのが、稀有な自転車ロードレースのお話とすれば相当によかった。謎解きといわずに読んでいればあと2点ぐらいあげてもよいと感じています。 |
No.403 | 7点 | サクリファイス- 近藤史恵 | 2014/08/27 07:30 |
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はじめ自転車ロードレースのお話ということでどうかなと思ったのですが、全く問題なく十分に楽しめました。
本サイトの書評では高評価とそうでないものの差が大きいようですが、私には十分によかったと感じています。 本格推理としてみれば確かに肝となる性格がほとんど描かれていないことが問題といえるかもしれませんが、あの人、実はこんなこと考えていたんだなんてことは現実にもありうることだと思います。私にはあまり違和感なく受け取れました。 |
No.402 | 2点 | 開かせていただき光栄です- 皆川博子 | 2014/08/23 07:40 |
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皆さんの評価が高いのですが、私にはこれはちょっと--。
冒頭から死体解剖のシーンが出てくる。こんなの読んでて楽しいのでしょうか? 文章が良いのか読んでいると屍体のにおいが感じられてとても嫌な雰囲気となり、これ以上読み続ける気がしなかった。実際にこんな匂いを嗅いだことがない方はまあ良いのでしょうかねえ。 |
No.401 | 6点 | 片思いレシピ- 樋口有介 | 2014/08/17 14:09 |
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柚木草平シリーズの番外編。このシリーズを読んでなくても十分楽しめるとは思いますが、やはり一つでもこのシリーズを読んでからのほうが楽しみは大きいと思います。途中で「木野塚探偵事務所だ」の話なんかも出てきて笑わせます。
推理部分は大分隅に追いやられ、パパがちょっと動いたらたちまち解決。少し物足りない。 まあこのシリーズのファンが読めば楽しいことは間違いないです。 |
No.400 | 6点 | 薫大将と匂の宮- 岡田鯱彦 | 2014/08/10 08:57 |
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源氏物語は何度もチャレンジしましたが、どうしても最後まで読み切れない。宇治十帖までたどり着けずに降参してしまう。このお話はそのまた後の出来事としての設定なので、当然ながら「源氏」を最後まできちんと読んでいない者にとっては分かりにくいところがあります。勿論そのためにあらすじを書いてくれているのですが、これが源氏物語の文章をそっくり写しているような感じなのでまあ読みにくい。人物の呼び方も何通りもあり、うっかりすると誰のことかわからなくなってしまう。
それでも何とか読み通しましたが、途中からは本格推理小説といってよい内容となりなかなか面白かった。紫式部が清少納言の推理の挑戦を受け、苦戦の末に--。 高校時代に習った紫式部日記の「清少納言こそ」や、自分が男だとよかったと両親に言われたといった自慢話などから式部はかなりいやな女の印象があったのですが、本作品ではもっと優しい感じに書かれており式部に対する私の感じ方を変えてくれたように思いました。 もう一回源氏物語を読んでみようかな。 なお私の読んだ昭和ミステリー秘宝には雨月物語や竹取物語なども収載されておりむしろこちらのほうが面白かった。ことに新釈雨月物語の妖奇の鯉魚は良かった。 |
No.399 | 4点 | 倒立する塔の殺人- 皆川博子 | 2014/08/03 07:32 |
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ずい分古めかしいお話で女学校の経験がある方には懐かしいかもしれないが、私にはただ退屈な話でした。執筆者が変わる書物というのも読みにくく、はっきりいって読み通すのに努力がいりました。
小説の題名はなかなかよさそうだったのにがっかり。 |
No.398 | 6点 | ともだち- 樋口有介 | 2014/07/27 08:50 |
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登場人物それぞれのキャラクターは立っているのだが、もうひとつインパクトが少ない。助平な剣豪爺さん、恐ろしく強い女子高生、絵の天才男子高生、ちゃらちゃらだが実は財閥のお嬢様などなどサービス満点、しかも意外な展開で終了と読んでいて面白いはずなのだが、どうもいまいちピンと来ない。
作者は人物をそれとなくしかも巧みに描く名手と思っているが、本作品の登場人物はどうもうまく絡んでいない。剣豪女子高生のさやかだけが際立って目立ったいるように感じます。しかも強すぎ。ここまで強いと漫画チックに思えてしまいます。 樋口氏は「どうせ」という言葉をよく使います。ことにこの作品にはこの「どうせ」が多い。主人公が中年のシリーズでは極めて良い効果があるのですが、高校生が主体の作品にこれ程「どうせ」がでてくるとえらく虚無的になってしまい、若者たちのキャラとマッチしなくなってしまう。 文句を色々つけましたが読んで不快な作品ではなくまずまずの出来なのです。ただファンとしては作者にはもっと素敵な作品が書けるに違いない。期待しているのです。 |
No.397 | 6点 | 天才たちの値段- 門井慶喜 | 2014/07/21 17:16 |
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まず出だしで本物だと甘みを贋作だと苦みを感じるというとんでもない設定の神永美有が登場し度肝を抜かれるが、案外まとも?で美術講師の佐々木とともに美術品がらみの事件を解決していく。最初は佐々木がワトソンの役割かと思っていたが、意外とそうでもなく神永と二人で解決していくようなお話となっていた。
まあこのほうがよいね。 登場人物の中にはエキセントリックな学生や主人公のおばさんなども出てくるが、なんとか許せる範囲でしょう。 美術に興味がなくても十分読んで楽しめる設定ですが、逆に相当の美術趣味でないと美術に関する推理を先取りして楽しむことは難しいかも。 |