皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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makomakoさん |
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平均点: 6.17点 | 書評数: 875件 |
No.855 | 6点 | 先祖探偵- 新川帆立 | 2024/08/03 07:08 |
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先祖を探す専門の探偵とはなかなかユニークな職業のお話し。
主人公はちょっとクールな感じだが、どこか謎がある女性。 依頼人の先祖を探していくと同時に、この女性のルーツも探し出すといった連作です。 お話は一つずつが独立しており、この作者があまり描かなかったオカルチックなお話もあります。 はじめはこんなお話で大丈夫かと思ったのですが、作者は上手にストーリーを続けていきすらすらと読めました。 |
No.854 | 5点 | 剣持麗子のワンナイト推理- 新川帆立 | 2024/07/14 09:30 |
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この本によると弁護士さんはとても忙しく夜型の人が多いのだそうですが、こんなに徹夜ばかり続けていてよいのかなあと心配になるような内容。
短編集のようであるが最終的にはお話が続いている連作です。 主人公の弁護士は敏腕で頭が切れて少々冷たい、まさに秀才を通してきた女性にありがちなキャラです。でもなんだかんだといって依頼人に押し切られてやりたくもない相談にのってしまうところは、ちょっとかわいいかな。 お話の内容はまあこんなものでしょう。悪くはないです。 私にとってはちょっととがった秀才が書いた話といった感じがして、多少評価が下がりました。 |
No.853 | 3点 | 奇岩館の殺人- 高野結史 | 2024/06/27 20:25 |
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本格推理小説はトリックが話の重要な役割となることは間違いないのですが、トリックだけを突き詰めた形にすると無機質で殺人をお遊びとしてしか認めないところへいってしまう。
私は本格ものが好きですが、こういった突き詰めた形のお話はどうしても拒否反応が出てしまいます。 人をものとしてしか扱わず、それを楽しんでいる姿勢が嫌なのです。 本格ものの傑作はトリックにバラバラ殺人など残酷なお話もありますが、殺人事件そのものを登場人物が楽しんでみているというものではない。 この小説は古典的な本格ものを根底にしてひねった形を示してはいるのですが。こういった傾向のお話は好きになれませんでした。 |
No.852 | 6点 | 名探偵のままでいて- 小西マサテル | 2024/06/22 09:22 |
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名探偵がレビー小体型認知症のじいさんとは。なかなかユニークです。
私の父親も晩年この病気になり、また自分の職業上もこの病気の方とほぼ毎日付き合っている関係上興味深いものでした。 作者が並々ならぬ推理小説マニアであることから、お話の内に多くの推理小説のネタが出てきます。これがマニアにとっては面白い。読んだことがない小説もおるので、これを機会に読んでみようという気になしました。 小説の内容はまあこんなものかな。 推理内容はもちろんアームチェア探偵のものですので、ちょっとこじつけや無理があるのはまあ仕方がないところですが、まずまずでしょう。 さすがに介護が必要な爺さんがいくら昔とったきねづかでも、あっさ人犯人もねじ伏せてしまうのはやりすぎでしょうね。 私にとって一番衝撃的だったのは、なんといってもこの爺さんが私より年下であったことです。ああなんということだ。 私も覚悟せねばならないのかも。 |
No.851 | 6点 | 震える天秤- 染井為人 | 2024/05/05 08:56 |
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染井氏の作品は二度目ですが、これもかなり社会派的要素が強いお話でした。
高齢者のお運転するトラックがコンビニに突っ込みコンビニの店長が死亡する。加害者は認知症とされているが、本当のところはわからない。 ライターの主人公がこの事件を取材すると、実に意外なことが次々と判明してくる。 被害者はとんでもない奴で、その父親も実にいやなやつ。 加害者やその弁護士はなかなか本当のことを語ってくれない。 調べていくと埜ヶ谷村という孤立した村の関係者が何らかの関係があることがわかるが、この村の人達はみんな何かを隠している。 この謎がなかなか解けずに主人公は苦労するのですが、とにかく被害者たちがとても嫌な感じで、何か隠しているらしい村の人たちは善良な人たちのようだ。 真相が明らかになるにつれちょっとやりきれない感じがするが、主人公の元奥さんが裁判官で、これがユーモラスなのが救い。 嫌味な被害者が出てくる作品は好みではないのですが、これはひきつけられて最後まで一気に読みました。 こういった作品が非常に好きな方もきっとおられると思いますが、私はまあこんな評価です。 |
No.850 | 8点 | 白鳥とコウモリ- 東野圭吾 | 2024/04/14 08:41 |
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まったく悪意のない評判の良い人が殺されて、それを自供した犯人と思われる人も好い人で、といった松本清張の砂の器を思わせるようなお話で始まっていくのですが、それにしてもずいぶん残りのページが多い。
東野氏の作品ですから、当然ひとひねりふたひねりしてあると思って読み続けていくと興味深い事実が次々と出てくる。 ところが司法関係者たちは裁判に勝つことが最優先で、自供があるのだからとほとんど受け付けない。そのうち犯人とされた男の息子と被害者の娘が親しくなってきて---。 こんな話は下手に描いたら全くの絵空事となりそうですが、作者は巧みに描くので、共感できてしまいます。 このお話の中で、法曹関係者には裁判で勝つことが一番で、裁判に勝つことの障害となるなら実際に弁護を依頼した人の都合などは後回しといった考えがあることがよくわかります。きっと作者がそういった経験をしたまたはそういった話を聞いたことがあるのでしょう。 それにしても久しぶりに東野氏の素晴らしい小説を読ませていただきました。 |
No.849 | 4点 | 変な家- 雨穴 | 2024/04/09 07:31 |
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何度も家の構造が出てきて、分かりやすいといえば分かりやすいのですが、実際に読むところが極めて少ないお話です。どっちかというと謎の絵本のような感じ。
読み始めればあっという間に読めてしまい、中身が薄い。 お話の内容もちょっと悪意的であまり気分がよくない。 こういた感覚の小説があることは認めますが、私の好みからいうとダメでした。 |
No.848 | 7点 | 黄土館の殺人- 阿津川辰海 | 2024/03/17 08:11 |
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大胆な殺人方法と意表を突くトリックを名探偵が解決していくといった、本格推理物は常に過去のトリックではない新しいものを考え出す必要があるので、半島に意表を突くような話を作ることが困難になっていると思われます。
そういった高いハードルを越えるためには過去のトリックの複合化、パロディー化、一部SFの要素を入れる、昔の時代の話とするなど、作者は常に工夫を凝らしていると思いますが、これほど大胆な殺人方法を提示して合理的に解決に結びつけるとは。ちょっとびっくりです。 凄い話です。 作者は親切にも込み合った話となってくると、まとめを読者に示してくれます。 まさに数学の試験問題の提示のようです。 解決も実に精緻に検討されたうえで(一人の探偵は犯人に憑依するようにして解決へ導くのですが)示されます。 こういった展開は本格物が好きな私にとっては実に面白いのですが、作者の頭についていけないところがあって、全部がきっちりと把握できたとは言えません。最後は試験の解答を教えて頂いたような感じが伴いました。 でもこの作者は目が離せません。 新作が出たらきっと買ってしまいます。 |
No.847 | 6点 | 自由研究には向かない殺人- ホリー・ジャクソン | 2024/03/11 20:59 |
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イギリス版青春ミステリーといったところなのでしょうか。
他の方の評にもありましたが、主人公以外は描写が平坦で誰が誰だかわからないことが多かった。女性の作家なのでカラで月などに対する具体的な描写が少ないことも原因かもしれない。 主人公にピップでさえスタイルはどんなのか、ボインなのか、髪は何色でどんな具合なのかなどといった具体的な描写がほとんどない。それ以外の人物は推して知るべし、なので登場人物のインパクトが薄れてしまう。 それでもお話はそれなりに面白かった。 イギリスの高校のコンパ?は酒は飲むは大麻はやるはセックスもするはと、なかなかすごいですね。 |
No.846 | 6点 | 推しの殺人- 遠藤かたる | 2024/02/28 20:01 |
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どこをとってもまあまあの作品でした。
あまりぱっとしないアイドルグループがとんでもない殺人事件に巻き込まれる(起こしてしまう)。ある程度やむを得ない事情もあるが、でも殺人はやり過ぎなので必死に隠蔽する。その過程で今まであまり仲が良くなかったグループが一蓮托生の仲間となる。最終的に事務的と思われた職員が実は懸命に主人公たちを救おうとしていた半面、カッコよくて面倒見がよい男性が豹変する。 これだけみるとなかなか感動的なお話となりそうですが、読んでみるとそれほどではない。 主人公たちのキャラが立っているという評もあるようですが、外見などの描写が表面的で、セクシー度に欠けるので、あまり魅力を感じないのです。 書き方が変わればもっと魅力的な小説となりそうなのですが。 |
No.845 | 2点 | 奇譚蒐集録 弔い少女の鎮魂歌- 清水朔 | 2024/02/27 19:41 |
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ホラーとミステリー、そして民俗学が好きな人へといった帯がついています。
民俗学とミステリーは私の好みなので読んでみたのですが、私はホラーといってもこういったグロテスクで気持ち悪いものは全くあいません。 途中でやめようと思ったが、やめると余計気持ち悪くなりそうなので我慢して最後まで読みました。 ああダメだったなあ。 救いは主人公の二人が気持ちのよい青年であったことのみ。 |
No.844 | 7点 | 聖乳歯の迷宮- 本岡類 | 2024/02/21 21:41 |
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最初はとても面白い。キリストの乳歯が見つかった。キリストが幼少時暮らした後の遺跡からキリストの時代に一致した乳歯が見つかり、ミトコンドリアの遺伝子を調べたら現代人のゲノムと異なっていた。現代人とは違った人種であり、これが神の証拠なのだということとなった。
凄い発想です。 どうなることかと思って読んでいくと、探偵役主人公の同僚の死亡(殺人か?)、妻の浮気?実はカルト宗教にのめり込んでいた、など色々出てくる。絶海の孤島青ヶ島のお話も絡む。 登場人物は少なく、殺人としたら犯人は誰か、キリスト教がべらぼうに発展してきてしまうのがどうなるのかが、全く分からないのに残りページが少なくなってくる。これで解決するのかと思いきや意外な反転でお話は解決してしまう。 一応話が解決し、犯人もその意図も分かるのだが、どうもすっきりしないのです。 以下ネタバレ 普通に見える人間がその奥に異常性を秘めているということは、本格推理ならむしろ普通にある設定ですが、このお話では探偵が長い付き合いのある犯人の異常な性格が今まで全く分からなかったというのはちょっと腑に落ちないのです。とんでもないやつなんですから、長く付き合っていれば絶対わかりそうなものですがねえ。 |
No.843 | 7点 | 硝子のハンマー- 貴志祐介 | 2024/02/09 18:46 |
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出だしからして本格推理小説ですといった感じ。
泥棒が探偵というとんでもない設定と若く美しい弁護士がとても無理と思われる密室殺人の謎を解いていく。 その過程がなかなか面白い。弁護士さんの、とんでも推理なども出てくるが、泥棒探偵さんはすごく精緻な謎解きを行っていく。 全然犯人がわからない、密室の謎解きも分からないままに、突然犯人と思われる人のお話が始まる。 あれこれ何?どういうつながりなのと思っていると、最後は見事につながって解決となります。 その間複雑な過程をひとつづつときあかしていくのですが、私にははっきり言って全部分かったとは思い難い。 でもきっと正しいんだろうなあと思いつつ読みました。ひょっとしたらとんでもないトリックかもしれないけど、でもそうなんだと納得させてしまうところがすごいです。 |
No.842 | 7点 | 孤島の来訪者- 方丈貴恵 | 2024/01/27 21:03 |
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一定の条件を付けたうえでの本格推理小説ということでは前作と同じですが、こちらのほうがまあ馴染みやすいようです。
本格物もネタが出尽くしてしまっているので、大胆なトリックはとんでもないものか、こういった条件付き状況によるものとなってくるのはやむを得ない。 ただこういった作品は最初の条件が受け入れられる人にのみ価値があるのでしょう。受け入れられない人にとってはまことにばかばかしいお話となってしまう運命にあります。 設定を受け入れさえすれば緻密な論理やどんでん返しの連続があり、なかなか面白く読めます。 |
No.841 | 7点 | 深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説- 辻真先 | 2024/01/24 21:05 |
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第2次世界大戦前の名古屋を舞台とした推理小説です。
この頃の名古屋を知っている人はまずいなくなってしまった。私のような生粋の名古屋人の爺さんでもほとんど知らなかったことがたくさん述べられています。 私としては「たかが殺人じゃないか」よりもこのほうが好きです。 ただちょっとグロイ所があるのはちょっと好みではないのですが。 結局とてもロマンチックなお話なのです。 そしてとんでもないトリックなどが出てきてある意味愉しいのです。 もっと多くの人に読んでほしい小説ですね。 |
No.840 | 8点 | ミステリークロック- 貴志祐介 | 2024/01/18 20:22 |
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このサイトではあまり評価が高くないようですが、私は久しぶりに大胆かつ壮大なトリック(ことにコロッサスの鉤爪)を楽しみました。
大胆不可能型のトリックはたいていははっきり言って全く無理でしょうという感じが免れないのですが、本作品は全く無理そうなまではいかない、うまくいけばあるかもしれないレベルに収まっているように思いました。 なかなか面白かった。 |
No.839 | 4点 | 七月のクリスマスカード- 伊岡瞬 | 2024/01/12 19:18 |
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一度読み始めてあまりの内容の暗さに中断しましたが、再度挑戦。何とか読み通しました。
こういった小説が好きな方のおられると思いますが、私としては暗くて陰気なお話で、ちょっとやりきれない。 最後は何とかハッピーエンド風なのですが、とにかく全体を覆う暗さが好きではありませんでした。 |
No.838 | 7点 | たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説- 辻真先 | 2024/01/11 20:02 |
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この作品はどうしても個人的に思い入れが入ってしまいます。
まず昭和24年は私が生まれた年、そして舞台は私が生まれ育った名古屋、学校は後に私が通うこととなったナンバー中学。 出てくる地名は毎日私が通勤に通っているところでもあります。 物語としては本格推理で、トリックもなかなかなのですが、探偵が話を聞いただけで謎を解いてしまうといったちょっと推理の過程を楽しむといったところが欠けているように思いました。 なにか問題が出て答え合わせをしているといった感が否めません。 |
No.837 | 7点 | ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人- 東野圭吾 | 2024/01/02 17:38 |
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結構な長編だが、スラスラと読みやすい。
さすが東野圭吾。話のツボはきちんと心得ておられます。 こういった語り口のうまさがあるので、ちょっとしたお話でもそれなりの小説に仕上げてしえるのでしょう。 推理小説は常に新しい発想やトリックが求められるのに、これほど多くの作品を書き続けられること自体がすごい。 更にこの小説では新しい探偵が登場。 マジシャンが探偵というのはそれほど珍しいものではないと思いますが、性格がかなりユニーク。 頭は切れるが、ケチで嘘つきで、目的のためなら手段は選ばない。こう書くとむしろ悪役みたいですが、これがいちおう探偵でそれなりに良いところもある。 次作も期待できそうです。 |
No.836 | 4点 | 古本屋探偵の事件簿- 紀田順一郎 | 2023/12/30 17:21 |
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これはミステリーではありますが、殺人や誘拐など殺伐とした事件は起きません。古本に対する執念を持った人間が関係したお話です。
あっと驚くようなトリックがあるわけではないので、内容が興味深いとか登場人物のキャラクターの好き嫌いなどが評価に大きく影響することとなります。 残念ながら私はここに登場してくる人物たちが好きになれませんでしたので、このお話に対する評価は低い。読んでいてあまり感じがよくなかった。 |