皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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makomakoさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 861件 |
No.621 | 6点 | 双孔堂の殺人~Double Torus~- 周木律 | 2019/01/06 16:53 |
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眼球堂が好みの作品だったので期待していたのですが、これはちょっと。
難しい数学のお話は私には全く理解不能。放浪の数学者十和田は眼球堂の時よりさらにはるかにへんな人となり、これまた理解不能。第1作ではもうちょっとまともだったのになあ。これでは精神鑑定にかけられて無罪になりそうです。 語り手として登場の警察庁のキャリアが極めてやさしい普通の人で、これで何とかこの話がもっているのでしょう。 善知鳥神はこの作品でも感情が全く消失した殺人鬼としか思えない行動をとっていますが、作品の中では結構友好的な人物として描かれています。 要するに全く現実から離れたお話であることは間違いないので、あまり目くじらを立ててもいけないということなのでしょうかね。 堂シリーズはさらに変化しているとのことです。 ついていけるか心配ですが、実は次作五覚堂も一緒に買ってしまったので読んでみましょう。。 |
No.620 | 6点 | 狂人の部屋- ポール・アルテ | 2019/01/03 17:51 |
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アルテの最高傑作という評判もある作品で、このサイトの評価も高いようですが、私はそこまでとは思えませんでした。
ロマンチックで怪奇的であることに関しては今まで読んだアルテ作品の中で一番かもしれません。登場人物、ことに女性がとても素敵に描かれています。 そしてなんといっても怪奇趣味が非常に強い。死人がよみがえったり、棺桶を開けたり、そりゃもう大変です。 勿論最後にツイスト博士ともう一人の人物が見事解決するのです。たしかに理屈はまあ通っているのに、私としてはどうもすっきりしません。 以下ちょっとネタバレ。 その理由はなんといっても二つの殺人(といっておきます)が、偶然性が高すぎるのです。ことに第2の殺人では非常に大掛かりなトリックを使っているのですが、確実性が少なすぎる。これで成功したからよかったものの(お話ですから当然うまくいくのですが)こんな方法では強いダメージを与えることはできても殺人までは至らない可能性もかなりあるのでは。 もちろん大変な力作ですので、悪いというわけではないのです。 |
No.619 | 8点 | 眼球堂の殺人~The Book~- 周木律 | 2018/12/29 09:54 |
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こういったクローズドサークルでの奇想天外はお話は、好みがわかれるところだと思いますが、私は大好きです。
眼球堂というとんでもない建物が舞台です。島田荘司氏の斜め屋敷や綾辻氏の館シリーズなど、過去にもトリックのみに考え建てられたとんでもない建物はありますが、これはその中でもスケールが大きくすごい建物だと思います。建築を学んだ作者が考えただけあって、絶対無理そうな建築物だが、何となく納得して読ませてしまいます。 トリックは当然建物に由来することはほぼ誰でもわかると思います。鈍い私でもある程度は看破来ましたが、もちろん完全にわかったわけではなく最後の謎解きでなるほどと納得させられました。と思ったら、まだ残りのページが結構ある。 以下多少ネタバレ 印刷の形態も変わっておりこれは何かと読んでいくと、意外や意外。見事に騙されました。 おかしいと思っていたんだよね。重要な人物が全然登場してこないんだから。意外性では満点だが、ちょっとだまし方がずるいよね。 建物のトリックよりもっとありそうもない人物性格のトリックというべきなんでしょうが、いくら何でもこれは無理なんではないでしょうか。 でも全体としては久しぶりの夢中になって読んだ作品です。次作も読んでみます。 |
No.618 | 6点 | 科警研のホームズ- 喜多喜久 | 2018/12/29 09:27 |
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科警研というあまり聞いたことがない(私だけか?)警察の部門の分室に、3人の若き志願者とやる気のないが天才的ひらめきがありホームズとあだ名された室長のお話。4つの話の連作となっており、いずれもきちんとした推理小説です。どのお話にも科学捜査の最先端と思われる特殊な方法が使われますが、素人が読んでもちゃんと理解できるようになっています。
この室長、すごい才能があるが、一つのことしか興味を示すことができず、現在は大学の仕事に興味をおいていて、自分の部下の名前のみならず部下であることすら覚えられない。おお、これこそ今はやりの発達障害ではないかなどと思っていると、その割には事件の微妙な変化に気づき見事解決してしまう。まさしくホームズの名がぴったりなのです。 どの話も興味深く、専門的な解析を試みているにもかかわらずすらすらと読めました。 多分シリーズ化されるのではないかと思います。次作が出たら読んでみよう。 |
No.617 | 4点 | 見えない鎖- 鏑木蓮 | 2018/12/23 10:22 |
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鏑木氏の作品は初めて読みました。江戸川乱歩賞作家さんでした。乱歩賞作家や作品は以前はすべて読んでいたのですが、このところやや遠ざかっており鏑木氏の名前も初めてでした。
切なすぎて涙が止まらないと帯に書いてあります。切ない小説ですね。ことに悪くない人が悪くない人に殺されて、殺した本人も自殺。家族は壊滅状態なのに、本当の原因を作ったやつはののほんとして生きている。 ああたまらんなあ。 読み始めてすぐ主人公の女性の気の毒な境遇が延々と語られます。こんな目に合えば当然暗くなるのですが、それにしてもこの女性はずっとうじうじ。 さらにこの娘さんの外見上の描写はほとんどなし。顔がわからないのです。これではなかなか感情が入らない。 作者は絶対女性だと思ったのですが、男性の方のようです。 正義の味方の男性が出てきて、とりあえずお話は完結となるのですが、悪いやつはずっとそのまんまになり爽快感からはほど遠いのです。 かわいそうなお話が好きなら良いかもしれませんが、私はこういったお話は好みではありません。 |
No.616 | 8点 | 作家刑事毒島- 中山七里 | 2018/12/14 19:37 |
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これは面白い。とんでもない作家志望連中が大量に出てきて、しかも彼らはプライドが高く自分が無能なことを全く分かっていない。
こんな奴が文学賞に応募してきたり、自作を出版社に持ち込んだりしたら対応が大変です。当然不採用となるのだが、当の本人は自分の才能を信じて疑わず作品を不採用としたことはけしからんとのたまう。 文学賞への応募作品は大量にあるのだから、これを全部読むということはほとんど不可能なのでしょう。下読みといった人に読んでもらい、その中からよさそうなもののみを予選通過とする。従って下読みはとんでもない小説を大量に読まされることとなる。落とされた当人は最高の作品と思い込んでいるので、憤懣やるかたない。結果むちゃくちゃのねじ込みやこの小説にあるように殺人まで起きるということとなる。いやー、大変ですな。どうなることかと思っていると、作家刑事の毒島が快刀乱麻に解決する。めちゃくちゃ意地悪でプライドのみ高い作家たちを完膚なきまでにやっつける。 とっても爽快。 毒島は解説の知念さんの言葉からしても作者自身が色濃く出ているようです。さらに最後のページにはこの作品は完全にフィクションです。でも状態は悪化の一途をたどっていますと書かれています。すごいことですね。 |
No.615 | 7点 | 死が招く- ポール・アルテ | 2018/12/07 21:22 |
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これはなかなか面白い。殺人の設定が異常なので、こんなばかばかしい話には付き合いきれないといった人も出てくるとは思いますが、本格物が好きな私にはとても面白くどんどん読めました。
登場人物が少ないので犯人は用意の想像がつきそうだが、どっこいそうはいかなかった。意外な結果にびっくりでした。 密室ものとしてトリックもまあ何とかなっとくできうる状態です。こういった作品では挿絵などがあるとさらにわかりやすくなると思います。 本格物が好きなら楽しめると思います。 |
No.614 | 5点 | 静かな炎天- 若竹七海 | 2018/12/07 21:13 |
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この短編集は評判が良いようです。確かに話の作りがきちんとしているし、短編の中に複雑な内容がぎっしり詰まっているといった感じなのです。
私は人の名前を覚えるのが苦手で、最近は年のせいでさらにその傾向が強くなり、本作品のように名前だけが出てきて、その人の外見や特徴の描写が少ないと誰がどうなのかがわからなくなってしまうのです。せっかく凝った内容なのに何が何だかわからなくなってしまいました。 葉村晶についてもなかなか魅力的なキャラクターなのですが、容貌がどんな感じなのか、スタイルはどうなのか(多分あまりすぐれないようなのですが)胸はどうなのか、足の形は良いのだろうかなど男にとってはかなり気になるところが、ほとんど述べられていませんので彼女の具体的なイメージがややわきにくいのです。 私の記憶力が悪いのが原因と思いますが、せっかくの作品があまり楽しめませんでした。こんなに濃い内容なら長編にして、人物の描写をもっと加えてもらえたらずっと楽しめたと思います。 |
No.613 | 8点 | カササギ殺人事件- アンソニー・ホロヴィッツ | 2018/11/25 19:56 |
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久しぶりによい本格物を読んだという印象です。かなりの長編で2部構成となっており、作中作である第1部が唐突な終わり方をして、あれれと思って下巻(文庫本では上下2冊の構成なのです)を読むと、作中作は終わって急に現代のお話となってしまう。複雑なお話となってくるのですが、最終的には作中作も現代のお話も結論がちゃんと述べられている。なかなか面白いですよ。
上巻は作中作のお話で、最初は無害な田舎の人物ばかりのように思えていたが、実はほとんどの登場人物が怪しげで、犯人の資格ありということとなったところで、名探偵は犯人を指名するといった心躍る場面に差し掛かった。ところが解決編が何者かに隠しとられている。この解決に下巻の大半が消費されるのです。これだけ長く話が続いていると鈍感な私でも犯人を推理してしまうのです。 名探偵は意外な人物を犯人として指摘して、その理由をきちんと述べます。ああなるほどと思うのですが、この結末はほかの人が犯人でも十分に書くことができそうです。つまり名探偵の指摘は可能性を述べているだけで、その人以外は犯人であり得ないといったところが抜けているように思います。 非常に面白いお話でしたが、多少減点としたのはこの理由によります。 |
No.612 | 6点 | カーテンの陰の死- ポール・アルテ | 2018/11/05 21:12 |
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ツイスト博士シリーズの中ではちょっと評価が低いようですが、私は結構楽しめました。全く不可能と思われる殺人事件が、時代を大きく過ぎて起きてしまう。どんなに考えても絶対無理そうなシチュエーションでの殺人事件です。確かにトリックを語られると、ああそうですか、ううーん。とはなるのですが、少なくても赤ひげ王の呪いよりは良いです。
絶対無理そうな犯罪を見事に?解決しているのですからまあ良しとしましょうよ。 こういったお話は好き嫌いがはっきりと分かれると思いますが、私は好みですね。 |
No.611 | 6点 | 錆びた滑車- 若竹七海 | 2018/11/03 08:13 |
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葉村晶シリーズの最新作。このシリーズは次々と発行されるわけではなく、ぽつぽつとでも途切れることなく発表されています。地味目ですがファンがしっかりいるのでしょう(私もその一人です)。
相変わらず葉村は貧乏で男の姿は見えません。素敵な女性なのにねえ。運は悪く今回はことにひどい。けがをして病院へ運ばれることも1度ならずあり、探偵の報酬より余分にお金を取られ、ぼろぼろのままで仕事に戻らざるを得ない。それを周囲にたたかれ、まことにお気の毒です。 最後には真相に至るのですが、実に複雑なお話です。きちんと伏線も張ってある立派な本格物です。こういった本格物は登場人物、ことに探偵が異常な性格であることが多く、これが殺伐としたお話なのに現実感が乏しく、話として楽しめる一つの要素なのかもしれない。 ところがこのシリーズは本格物なのに実に普通の女性が探偵なので、スラスラと読んで作者が工夫を凝らした(と思われる)伏線を読みとばしてしまう。再読にたえる良い作品と思います。 |
No.610 | 5点 | 赤髯王の呪い- ポール・アルテ | 2018/10/27 07:35 |
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「第4の窓」が面白かったのでさっそく違う作品をと、読んでみましたが、これはちょっと外れでした。
はじめに、悲惨で複雑なアルザスの歴史が語られ、そこの中での不可解な出来事が赤ひげ王の呪いとして出てきます。いずれの事件も真相は究明されておらず、謎となっている。絶対解けそうもないものばかり。これをツイスト博士はちょっと聞いただけで、あっさりと解いてしまいます。 以下多少ネタバレです。 その内容たるや実にばかばかしくまじめに考えて損した気分となります。さらに主人公にかかった疑惑もあっさり解消。いくら何でもこんなに簡単に事件解決では拍子抜けしてしまう。その後のお話はまた一転急展開。フランス人のドイツ人への嫌悪感があふれ、アルザス地方のフランスから見た世界が広がります。ドイツの友人は全く違う見方をしていたなあ。アルザス出身の友人もまた全く違う見方だったなあ。などと思いながら読みました。 |
No.609 | 3点 | 去年の冬、きみと別れ- 中村文則 | 2018/10/27 07:21 |
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こういった小説は登場人物にある程度の親和性がないと、全く楽しめないと思います。
私には全然ダメでした。 短い小説なのに、とても長く感じられ最後まできちんと読む気がしませんでした。 |
No.608 | 7点 | インド倶楽部の謎- 有栖川有栖 | 2018/10/20 20:26 |
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国名シリーズは短編集が多いようですが、これは長編小説です。読みごたえは十分にあり、最近の作者の充実ぶりを裏切らない出だしです。
全体によくできた小説と思いますが、私にとっては信じがたい理由での解決、名探偵火村自身も全く信じていない理由による解決には違和感を感じました。 すべての可能性を否定しないのが科学的といえるとは思うのですが、ここまでとなるとちょっとねえ。 でも力作であることは間違いなく、かなり楽しめました。 作者への希望。 これほど力が充実しているのですから是非学生アリスシリーズの完結編をお願いしたいですね。 |
No.607 | 7点 | 白の恐怖- 鮎川哲也 | 2018/10/14 08:50 |
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鮎川氏は若い頃に推理小説の魅力を教えてくれた方で、新作が発表されるごとにほとんどの作品を読んだと思っていましたが、この作品はたまたま読む機会がなかったものです。今回新しく文庫化されたのでさっそく読みました。
ああ懐かしいなあというのがまずの印象。 私にとってはとても読みやすい。 いかにもといった設定でいかにもといったお話がくりひろげられます。昔の私なら犯人は想像もつかないところですが、長く本格物を読んだひねくれものとなってしまったので、犯人は容易に推定できました。 当然作者もそのことは分かっているため、最後はほとんどの読者がびっくりするような仕掛けをしています。ただしこれは話の本筋から言うとおまけのようなもので、おまけで本体の評価はできないでしょう。 懐かしい作家さんなのでちょっと評価は甘いです。 |
No.606 | 4点 | 盲目の理髪師- ジョン・ディクスン・カー | 2018/10/06 07:49 |
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この作品は私には合いませんでした。ドタバタ劇があまりにばかばかしく、かなり非現実的で一体何が起こっているかすら不明な展開。
これが謎に満ちたお話なら良いのですが、語っている本人が何もわかっていない状況で、それを聞いただけで名探偵がこの場の中からの推理を行うといった設定。 こんなことってありえます?事件の次第を話している人がいろいろな人のしゃべった言葉を一字一句間違えずに覚えていて、名探偵がそこの細かい言葉から犯人を推理するなんて。 安楽椅子探偵ものはこういった要素は必ず含まれるものですが、個々の表現から(ご丁寧にしゃべったところのページまで記載してありました)、といっても普通内容全体のことなら納得できますが、しゃべった単語からの推理となると無理がありすぎでしょう。 |
No.605 | 4点 | 牧神の影- ヘレン・マクロイ | 2018/09/22 08:36 |
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マクロイの代表作の一つとされているそうです。この小説は暗号解読とサスペンスと推理が盛り込まれた力作です。というととてもよさそうに思えましたので読んでみたのですが、うーん確かに暗号は飛躍的に進歩したようです。ポーのような暗号では現実として簡単に解読されてしまうのでしょう。だからこのような複雑な暗号作成が必要であることは認めますが、普通の読者にとってあまりにも専門的で複雑すぎます。さらに解いた暗号が当然英語になるのですから日本人にとっては二重の暗号みたいになります。英語が母国語の人なら多少はましかもしれない。
実際何ページにもわたる暗号表が出てきて、これを複雑にいじって、となるとほとんどの人がお手上げとなりそうです(もちろん私もその一人)。途中から暗号解読のところは読み飛ばしてようやく読破となりました。 これを読むと暗号小説は現代の時代設定では読む側がよほどのマニアでないと無理なのだとわかります。 鉄道や飛行機を使ったアリバイ崩しなども、専門家が見たら一目でわかるし、最近のアプリならすぐ検索出来てしまいそうですが、お話の世界としての約束事みたいなものですから楽しく読めるのでは。 主人公はこんな怖くて辺鄙なところにどうしてたった一人で何日も住むのか。私なら一日で帰ってしまいそうですが。 丁寧に書いた作品なのだと思いますが、暗号のマニア以外はお勧めできそうもないと思います。 |
No.604 | 8点 | 第四の扉- ポール・アルテ | 2018/09/15 07:28 |
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ポール・アルテは初めて読みました。フランス人でカーのファンという触れ込みどおり、怪奇趣味や、密室がてんこ盛り。
やー、これって大好きなお話だなあ。ワクワク感いっぱい。おもしろい。 読んでいてこれで本当にちゃんと解決できるかと心配になるほどでしたが、まあある面で解決しており、これはこれで良しとすべきなのでしょう。 以下少しネタバレを含みます。 ただ密室の謎の一部はちょっとインチキだなあ。もともと解決していたとすべき状態をそうでないように見せかけてやっぱりことに謎ではなかったというのは どうかと思います。さらに最後のどんでん返しはちょっとびっくりしたのですが、登場人物の最後の行動や行く末がはっきりしないところがあり、この辺りがすっきりすれば最高の点数を差し上げたいところです。いずれにせよ久しぶりに出会った本格推理小説で、作者のほかの作品も是非読んでみます。 |
No.603 | 6点 | 文豪Aの時代錯誤な推理- 森晶麿 | 2018/08/26 17:03 |
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森氏の小説は初めて読みました。題名から見て本格推理小説と思って購入しましたが、内容はファンタジーに近い作品なのでしょう。
芥川龍之介が自殺したが、その後現代にタイムスリップしたような設定です。 羅生門が絡んだお話が展開しますが、羅生門を読んでいなくても困ることはなく、十分楽しめると思います。 推理小説としてはちょっと甘いですが、ファンタジーの中での推理ということでしたら十分許容範囲と思います。 読んでいると芥川の時代の人が現代に飛び込むとなるほどこんなことになるのだと納得しつつ、当時の男性と女性の関係は現代と大きく違っているのだなあと再確認されます。 ただひとつ。最後のほうで多分河童の話のようなところが出てきますが、これは唐突で余分でしょう。 |
No.602 | 7点 | そしてミランダを殺す- ピーター・スワンソン | 2018/08/13 20:13 |
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お話としてはとんでもない性格の女が次々と殺人をしていく。相手の女もとんでもない性格。主人公の女は二人ともサイコパスのようです。通常は理解不能と思われるのですが、この二人の女性が魅力的に描かれており、馬鹿な男どもは見事に引っかかり、殺しの道具とされたりさっさと殺されたり。よく考えるとひどい話なのですが、読んでいるときはあまり嫌な感じがしません。どちらかというとサイコパス的女性の考えが何となく理解できるような感じになってしまいます。
しかも主人公は最終的にうまく切り抜けてしまうと思わせるのですが、何とな陽がいっぱい」風の終わり方をしてしまいました。いくら何でもこれで幸せに暮らしたらいかんでしょう。 主人公に共感ができるということには決してならないと思いますが、嫌悪感を抱かずに読めてしまう不思議な小説でした。 |