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こうさん
平均点: 6.29点 書評数: 649件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.69 10点 血染めのエッグ・コージイ事件- ジェームズ・アンダースン 2008/05/22 00:10
 ジェームズ・アンダースンは日本で紹介されている作品はほぼ全て本格作品の作家ですが他の作家とちがうのは作品に漂う明るさで非常に好きでもっと訳してもらいたい作家です。ジェシカおばさんの事件簿のノベライズも三冊でていますがこちらは未読です。
 この作品は昔文春で血のついたエッグ・コージィのタイトルで紹介されておりこちらを読んだので今のものは訳がちがうかもしれません。
 田舎屋敷にあつまった客の中で殺人事件が起こり登場人物は変な人間ばかりで怪しく最後に探偵役が一室に登場人物を全員集めて真相を解き明かすという昔懐かしいスタイルを味わえます。
 最後の真相部分はとにかく長いですが一気に読ませます。また今まで見たこともない爆笑トリックが臆面もなく堂々と提示されこれは本当に笑ってしまいました。ヒントとして見取り図もありますが絶対わからないというか考えられないトリックを出しています。非常に面白い作品です。読んだ4冊はいずれも最高です。 

No.68 5点 Rのつく月には気をつけよう- 石持浅海 2008/05/21 23:46
 学生からの飲み仲間三人の所にゲストが一人加わりゲストが抱えている悩みを三人のうちの頭脳明晰な一人が解き明かすプロセスを仲間の一人称視点で語られるスタイルの短編作品集です。
 謎が提示された時点では読者に真相はわからず主人公が解き明かすところを読んで楽しむ形でしょう。厳密に唯一無二の正解とは限らないと思いますがプレゼンテーションがうまいのとゴールが決まっていて他の答えを会話で消しこんでゆくスタイルなので模範解答を見せられている感じもします。
 最終話にちょっとしたトリックが仕掛けられておりますがはじめからしっかり読んでいれば十分気付ける書き方をしておりますし注意して読んでいなければ慌てて前を読み直すことになると思います。
 読者が謎解きでカタルシスを得られるとすれば最後のトリックくらいかなと思います。

No.67 5点 賢者の贈り物- 石持浅海 2008/05/21 23:31
 短編集でしいていえば日常の謎?の範疇にはいると思います。登場人物の一人が悩み事をかかえていて本人もしくはもう一人の登場人物が論理的に解決するお話ですが、論理的な部分もその短編の主人公の主観、直感に基づいた推論が多いです。殺人事件が起きているわけではなく短編主人公の登場しない周囲の人間がどうしてそう行動したかを解き明かすスタイルなので論理的とはいえ予想と変わらないのも仕方ないと思います。 
 

No.66 3点 メドゥサ、鏡をごらん- 井上夢人 2008/05/20 00:16
 岡島、井上作品はほとんど全て読みやすいと思いますがやはり本格とはいわなくてもミステリ的な構成、結末を期待してしまいます。結末、分類すればホラーといえる構成も含めて個人的には好きではありません。話のまとまりは流石で一部の岡島作品失敗作よりまとまっていると思いますし本人がどの題材で書こうと自由なのでしょうがどうしても井上作品でも本格色の強い作品を期待してしまいます。

No.65 7点 三幕の殺人- アガサ・クリスティー 2008/05/20 00:08
 連続殺人ものです。毒殺ものでトリック、また犯行の動機も考えられていてクリスティーの中でも出来が良いと思います。
ただ個人的には一人目の殺人の動機はクリスティーは他でも使っていますが好きではありません。本格の枠の中では十分ありうる動機なのでしょうが実際にはやはりリスクもありどうかな、と思ってしまいます。客観的にいえば8~9点の出来とも思いますが、個人的には少し減点しました。

No.64 6点 暁の死線- ウィリアム・アイリッシュ 2008/05/20 00:02
 サスペンスの大家だけあって作品設定は非常にうまいです。殺人事件の容疑者にされそうな男女が翌朝までに真犯人をつかまえなければいけないという設定です。
 話はゴールが決まっていて、それにたどり着くようにという感じで進んでゆき御都合主義が目立ちますしサスペンスも今となってはまあまあといった所です。

No.63 7点 ドーヴァー1- ジョイス・ポーター 2008/05/19 23:54
 動機に焦点を当てた秀作のドーヴァーシリーズ第一作です。100キログラムを超えた巨漢女性が町一番の奔放な女性で彼女の失踪事件が起きて、という話です。読み進めてゆくうちに殺人であることが提示されるのですが何故彼女が殺されたのか、死体はどこにあるのか、という点への解決法が凄いです。問題点としては死体が見つかっていないのに殺人事件と断定する所が不可解な点と被害者の女性のキャラクター設定に無理があることです。(若いスレンダーな美女という設定でも同じ話が成り立つので)。結末は後発例もありますが衝撃があると思いますが逆にドーヴァーシリーズに対する予備知識があると簡単に殺人動機がわかります。自分は予想があたり衝撃も低かったです。

No.62 7点 一日の悪- トマス・スターリング 2008/05/19 23:42
 マイナーな作品ですがなかなか面白いです。死を控えた主人公が看取ってくれる人に全財産を送りたいという手紙を書き三人が集まった屋敷で殺人事件が起きて、という話ですが殺人の動機、また最後のどんでん返しと工夫がきいています。情報が全て提示されていませんので想像力が必要ですが。皮肉がきいていて面白い作品です。

No.61 5点 雲をつかむ死- アガサ・クリスティー 2008/05/19 23:36
 いわゆる地の文章(独白)の騙りの初体験した本でした。クリスティはそして誰もいなくなったなどで騙りを頻繁に使っていますが雲をつかむ死の方がわかりやすいです。
 殺人事件自体は他愛のないものでクリスティとしては標準作だったと思います。

No.60 8点 水平線の男- ヘレン・ユースティス 2008/05/18 00:57
 ネタバレあります。
60年以上前の作品で作風は古臭いですがおそらくミステリのあるジャンルの先駆的作品と読了後にわかりました。この犯人のアレンジは現代では珍しくなく国内にもあるため途中で犯人の見当がつきましたが当時では衝撃的だったと思います。とても面白かったですがもっとビギナーのうちに読みたかったというのが正直なところです。

マクロイ作品を読んで1点減点しました。

No.59 6点 消えた犠牲(いけにえ)- ベルトン・コッブ 2008/05/18 00:45
 ある本格のトリックをそのまま使用している珍品。ただ内容としては現代では通用しないというかアンフェアな書かれ方をしています。本家ほどの衝撃もないですが読んで損はないかと思います。

No.58 7点 パコを憶えているか- シャルル・エクスブライヤ 2008/05/17 22:48
 連続殺人物の意外な秀作です。意外な犯人もあり作品も短く一気に読ませますが50年前の作品とはいえ最後にわかる真犯人が警察につかまらずに連続で殺人実行可能かどうかは疑問符がつくのとストーリ上効果を上げている脅迫状が真犯人とは全く無関係でありうまく話しをつなぎあわせてる感も否めません。結末は皮肉が効いており個人的には面白かったです。

No.57 7点 燃える地の果てに- 逢坂剛 2008/05/17 22:37
 逢坂作品ではスペイン物が有名ですがこれは他の作品とは違う味わいがある作品です。上下巻で長いですがリーダビリティの高さで一気に読まされました。
 叙述トリックは素直にだまされる快感がありました。あとトリックとしてのサプライズエンディングではありませんが最後の一行の衝撃もあります。

No.56 8点 あした天気にしておくれ- 岡嶋二人 2008/05/17 22:29
岡島作品の競馬物三作の中では一番出来が良いです。倒叙形式から後半一転する展開も良いですし、身代金受け渡し(?)の部分も良いと思います。本人のエッセイによるとこの部分のトリックに前例があるために乱歩賞を逃したらしいですがはっきり言って受賞作の焦茶色のパステルより断然上だと思います。

No.55 9点 オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー 2008/05/17 22:18
 犯人をネタバレしてから読んだので驚きはなかったですが知らなければ感動したと思います。一回きりのアイデア勝負の作品ですがミステリ好きなら読んでおいて損はないかと思います。ただ実際の誘拐事件(リンドバーグ)を明らかにモチーフにしており不謹慎な気はしますが。

No.54 6点 邪悪の家- アガサ・クリスティー 2008/05/17 22:14
 この作品は手紙が小道具として使われていますが日本人にはそこからポアロの様に犯人を当てる推理は出来ないと思います。(但し直感的に犯人の見当はつきますが)ポアロ物では多いですが推理も直感的でロジックとして光るものはありません。
 評論でクイーンの災厄の町との類似性を指摘しているものがありましたが手紙の使い方は災厄の町の方が上でしょう。まあクリスティーとしては並な部類かと思います。

No.53 2点 ビッグ4- アガサ・クリスティー 2008/05/17 22:05
 クリスティーは本格以外の作品も書いていますがこれは唯一ポアロ物で書いたスリラーです。スリラーとしては大したことなく読者がポアロ物に期待する小説では全くありません。初期作のため仕方ないのかもしれませんがポアロ物にすべきではなかったと思います。

No.52 7点 私という名の変奏曲- 連城三紀彦 2008/05/17 22:01
 いかにもな連城節炸裂の作品。ただ実際に見破られずに七回死ぬことが可能かどうかはひっかかりますが。またその殺人の動機と個人的には好きではないトリックのための殺人にもひっかかります。ただストリーテリングのうまさは相変わらずで読んでいる間は最後まで一気に読まされました。最近は恋愛小説にシフトしてしまい読んでいませんが連城節炸裂した以前のような推理小説を書いてほしいです。

No.51 9点 災厄の町- エラリイ・クイーン 2008/05/17 21:55
 国名シリーズ以降の作品の中で一番気にいっている作品です。殺人トリックは実現可能かどうか疑問ですが、小道具の手紙の使い方はうまいと思います。ロジック一点張りの国名シリーズと違う硬質ではないエラリーもよいです。
 以前テレビでアレンジされた日本国内を舞台にした作品を見た覚えがありますがそれも秀作だった記憶があります。

No.50 10点 十角館の殺人- 綾辻行人 2008/05/14 22:28
 今更ですがこの作品がでるまで占星術などは例外で本当に国内の作品を読む気がしませんでした。館物というか本格自体海外の古典でもない限り読むことはできず今では想像できませんでした。 
 作品自体はそして誰もいなくなったを読むと更に楽しめると思います。個人的にはそして誰もいなくなったの方が上ですがこの作品が世にでた事だけでも10点の価値があると思います。 

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こうさん
ひとこと
 私の採点で10点は単なる好みです。10~20年前の初読時の印象で不当に高いのもありますが気にしないでください。トリックものは古臭くても昔初めて触れたトリックだったら高得点の傾向が高いです。
 ガイド...
好きな作家
泡坂妻夫、有栖川有栖、東野圭吾、岡島二人、梶龍雄 
採点傾向
平均点: 6.29点   採点数: 649件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(60)
有栖川有栖(32)
岡嶋二人(24)
折原一(22)
連城三紀彦(20)
泡坂妻夫(19)
石持浅海(17)
梶龍雄(17)
法月綸太郎(12)
パトリック・クェンティン(11)