皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
マニアさん |
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平均点: 6.04点 | 書評数: 169件 |
No.18 | 6点 | 白と黒- 横溝正史 | 2009/02/03 23:27 |
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設定は1960年、舞台は高度経済成長期の集合住宅と、当時の時勢が窺えて面白い。特に、そこで暮らす少年少女の心の葛藤の描写は面白かった。
物語はかなり緻密に構成されていて感心できるのだが、細かすぎてテンポが悪くなってしまっている感じがする。特に、最初の事件から2番目の事件が発覚するまで長すぎて、少し退屈だった・・・。 それでも、複雑に絡み合う関係者の人間関係と思惑。そして、それらを紐解いていった結果、明らかになった意外とシンプルな真相。 やはり、楽しめた! |
No.17 | 8点 | 仮面舞踏会- 横溝正史 | 2008/12/30 01:43 |
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ミステリとして、また1つの力強い物語として十二分に楽しめた!
横溝作品としては、身も凍るような猟奇殺人も、目も背けたくなるようなエログロも、おどろおどろしい雰囲気も無く、いやにあっさり事件が進んでいくなぁ・・・と思っていたら・・・。物語も佳境に入ってくる辺りから、畳み掛けるように胸くそ悪くなるような戦慄の真相の数々が暴露され、結末に雪崩れ込んでいく迫力には正直圧倒された! 少々解決に強引な憶測のような箇所も見られるが、流石に構想10年!無駄なく良くできている。ただ、物語が長すぎて、途中でダレてしまうのが惜しい。 犯人も恐ろしいけど、最も恐ろしいのはやはりあの人物でしょう・・・。 |
No.16 | 4点 | 悪魔の百唇譜- 横溝正史 | 2008/12/20 02:24 |
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ドロドロした人間の、どす黒い部分をベースとした猟奇犯罪を描く横溝ワールドはこの作品でも楽しめる。
現在進行の2重殺人事件と1年前の殺人事件の関係やそれに関して暗躍する脅迫者、そして事件の真相と、これらの問題を解決する終盤の金田一の推理には勢いがあって良かった。 しかし、警察関係者の登場人物が多すぎて把握しきれないのと、それにより重要な容疑者の影が薄くなっているような感じがして読みづらかった・・・。なので、犯人も意外と言えば意外だが、「ふ~ん」という感想に止まってしまった。 短いが、結構退屈な作品だった。 |
No.15 | 6点 | 悪魔の寵児- 横溝正史 | 2008/12/18 00:06 |
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とりあえず後味がかなり悪い・・・。でも、結構好きな作品かな。ストーリー展開は氏の『幽霊男』に似ているかも。しかし、物語を通じて「ベシャベシャと降る」と表現される雨が陰鬱な情景を演出しているのが面白い。
事件はかなりエグい。人間のどす黒い部分のオンパレード。犯行のえげつなさでは金田一シリーズでも上位に入るのでは?中だるみが気になるが、意外な犯人とそれに説得力を与える伏線は上手いと思った。 しかし、関係者がバタバタ殺された上に犯人に狙撃されて重傷を負うって・・金田一さん・・・。 |
No.14 | 3点 | 七つの仮面- 横溝正史 | 2008/11/30 18:15 |
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小粒な作品が多い。横溝氏の没作品集のような印象を受けた。横溝作品に特有なおどろおどろしい雰囲気は影を潜め、ロジカルな作品が多いが、真相解明が結構いいかげんで・・・。
しかし、「雌蛭」は横溝氏得意の人物入れ替わりトリックが効果的に使われていて面白い。 また、「薔薇の別荘」の真相は、密室トリックに関してはあまり評価の高くない著者の作だが、推理する側の盲点を突いていて非常に出来の良いものだと思う。この作品だけなら「8点」の高得点かな!でも、金田一がパーティに招かれた理由は?? |
No.13 | 5点 | 三つ首塔- 横溝正史 | 2008/11/05 21:49 |
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美しい女主人公・音禰が謎の男に導かれ、莫大な遺産を賭けた戦いと、愛の逃避行に巻き込まれていくというサスペンスが中心。それゆえ、ミステリ分は極めて低い。金田一の出番も最初と最後にちょっとだけで、物語のほとんどが音禰視点で描かれている。
自分的にはあまり好みの設定ではなかったが、莫大な遺産に群がる怪しい登場人物や、おどろおどろしい怪奇趣味、エログロなど横溝特有の世界観も散りばめられていて、やはり面白かった! |
No.12 | 9点 | 悪魔の手毬唄- 横溝正史 | 2008/10/13 19:16 |
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外界から隔離されたように佇む寒村で、その地に伝わる手毬唄になぞらえた戦慄の連続殺人が・・・!!23年前の惨劇が!地元出身の女性スター歌手の凱旋!突如、謎の老婆が現れ殺人劇の幕を切る!一癖ありそうな登場人物達・・・誰が犯人か!!
自分の最も好きな舞台設定の連続でドキドキワクワクしっぱなしだった。 事件を大きく・恐しく・戦慄なものに見せるためのエンターテイメント性を追求する描写の仕方に関しては、国内では横溝正史に並ぶ作家はいないと思う。特に本作中にある、葬儀の席上において、五百子刀自が参列者の前で事件の核心となる手毬唄の存在を明かす戦慄の場面は、横溝作品名場面ベスト3に入る程の見所! ミステリ的には不満なところもあるけど、そんなものはふっ飛ぶほどの素晴らしい小説世界を提供してくれた。優しいラストも好き! |
No.11 | 5点 | 首- 横溝正史 | 2008/10/08 01:12 |
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シュウさんのおっしゃる通り、当時の社会状況や風俗がよく描かれていて面白いですね。
「生ける死仮面」は男色・死体凌辱・性転換・腐乱死体・バラバラ死体などが次々出て来る強烈なエログロ風味作品。真相は強引すぎる感じ・・・。特に性転換のくだりがよく分らなかった。 「花園の悪魔」は本作で一番面白かった。死姦や全裸死体放置などの猟奇的な謎が、鋭いロジックで解き明かされていく。 「蠟美人」はプロットやロジックは優れているのだろうが、真相はもう少し丁寧に説明してほしかった。復顔術に目をつけた点はグッド。 「首」は本作で一番普通のミステリ。ロジックの切れ味は鋭い。 全体的に謎の解答が不丁寧なのが残念。ちょっと分かり辛い。 |
No.10 | 6点 | 女王蜂- 横溝正史 | 2008/10/06 03:24 |
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絶世の美女にして生粋の女王智子が、20年前の月琴島での惨劇と、現在の彼女の周りで起きる血みどろの連続殺人劇を通じて、少女から背伸びした大人の女性へ、そして再び無垢な少女へと回帰していく成長物語はそれだけでも楽しめる。
しかし、動機、トリックを含めた真相は強引すぎたり納得できないものもあり、ミステリとしてはちょっと拍子抜けしたかも・・・。特に犯人の動機はいきなり突拍子の無い感じが否めない・・・。 でも、とても美しい情景を想像できるエンディングはかなり好き。 |
No.9 | 6点 | 幽霊男- 横溝正史 | 2008/10/01 00:09 |
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金田一VS幽霊男の対決面白かった!!金田一キレすぎ(笑)
横溝氏得意の猟奇的な装飾殺人の連続でエンターテイメント性は非常に高い。噂ほどグロくなかったけど、死体の「装飾」に対する犯人の徹底ぶりには確かに薄ら寒くなるような怖さがある・・・。 ミステリとしては、トリック、動機ともに強引すぎるのでは?と思うところもあって苦しいが、恐怖系娯楽作品としては大いに評価し得るレベルにある。 個人的にこの事件の犯人は、自分が読んだ全ミステリの犯人のうち「下衆な犯人」ベスト3に入るほどの下衆さ!! |
No.8 | 4点 | 迷路荘の惨劇- 横溝正史 | 2008/09/23 21:45 |
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ストーリーも真相もゴテゴテとしていて分かりづらい。無駄な装飾を物語に付け加え過ぎた感じ。
なので、魑魅魍魎の巣食う迷路荘の「抜け穴」や「洞窟」の魅力的な冒険譚も心から楽しむことはできなかった。残念だけど、横溝作品の中では質の低い部類だと思う。 でも、ラストは好きだな。金田一の優しく人情味のある人柄が描かれていて、読後感は良い。 |
No.7 | 5点 | 夜歩く- 横溝正史 | 2008/08/11 22:21 |
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非常に採点しにくい作品。
最後に、それまでの小説世界をぶち壊す大技!横溝作品でこれをやられるとは思わなかったが、それについては自分にとって明らかにアンフェアでミステリとしては評価できない。しかし、極端な怪奇趣味と昼ドラを遙かに凌駕するドロドロとした人間関係、鬼気迫るド迫力の解決編は読み物としては間違いなく楽しめる。 今回の金田一は珍しく天才(笑) |
No.6 | 7点 | 人面瘡 - 横溝正史 | 2008/08/04 02:03 |
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短編でも、おぞましい横溝ワールド全開!
各短編に共通するテーマはズバリ「狂気」。人間の内に秘められたどす黒い狂気にとり憑かれた犯人たちが「狂人の理論」により恐ろしい犯罪を犯していく。個人的にはいきなり一発目の「睡れる花嫁」で背筋を凍らせられた・・・。怪異的雰囲気を持つ他作と比べると異色だが、「蛞蝓と蝙蝠」の切れ味鋭いロジックも好き。 「狂気」をテーマにしているため、謎解きに多少強引なところも見受けられるが、ご愛敬か。 |
No.5 | 10点 | 犬神家の一族- 横溝正史 | 2008/02/26 22:51 |
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未だにこの大傑作を超える作品には出逢えないでいる。それほど自分にとって偉大な作品。
戦後間もない旧家を舞台にした遺産相続を巡る殺人というベタな展開だが、全く古臭く感じない。それよりも、立て続けに起こる血なまぐさい見立て殺人と、立て続けに明らかになる衝撃的な新事実に、戦慄を感じながら頁をめくったのを覚えている。 そして、クライマックスの「大団円」を読んだ時の、感動とおぞましさから出た鳥肌・・・。 映画も傑作だけど、小説のおどろおどろしさには敵わない。 |
No.4 | 8点 | 悪魔が来りて笛を吹く- 横溝正史 | 2008/02/09 09:04 |
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まず、ミステリ以前に読み物とし出色の作品。物語全編を通じて、金田一耕助が感じるどす黒い悪意が嫌というほど伝わってくる。どこか狂気めいた登場人物たちも魅力的で物語世界に読み手を引き込んでくれる。
そして、厭というほどドロドロとした人間の内面を思い知らせれる解決編!『悪魔が来りて笛を吹く』という曲の真相が明らかになるラストの戦慄!一気に読める! 天銀堂事件の真相はちょっと拍子抜けしちゃったかも・・・。 それでもやっぱり傑作。 |
No.3 | 9点 | 八つ墓村- 横溝正史 | 2008/01/27 00:26 |
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落ち武者の祟り、津山事件、古い因習の残った山村、名家の後継ぎ問題、洞窟、一癖も二癖もある登場人物などなど・・・雰囲気を楽しむ自分にとってはまさに満漢全席の様な作品。
雰囲気だけでなく、導入⇒起⇒承⇒転⇒結のストーリー展開もバランス良く秀逸! 決して色褪せることのない傑作!! |
No.2 | 7点 | 本陣殺人事件- 横溝正史 | 2008/01/05 04:41 |
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日本本格ミステリの古典をそのトリックと雰囲気の両面から楽しめた。
トリックには少し実現するのに無理があるかな、と思いつつもその論理の展開にシビれ、山村の雪深い情景も堪能でき小説としての完成度も高い。純和風ミステリの金字塔だね! |
No.1 | 8点 | 獄門島- 横溝正史 | 2008/01/04 17:19 |
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時代が変わろうとも、決して色褪せることのない不朽の名作!
凝った舞台設定、大胆にして緻密なトリック、練りつくされたストーリー展開、本格ならではの雰囲気は平成の世でも十二分に楽しめる。横溝ワールドの真骨頂! |