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古書ミステリー倶楽部Ⅱ
アンソロジー(ミステリー文学資料館編) 出版月: 2014年05月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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光文社
2014年05月

No.1 6点 kanamori 2016/09/06 23:23
古書にまつわるミステリを集めたミステリー文学資料館(=新保博久氏)編のアンソロジー第2弾。
名作の誉れ高い坂口安吾「アンゴウ」と、ケッサク冗談小説の皆川博子「猫舌男爵」が抜きん出て面白いですが、既読の作品が多かったこともあり、総体的には前作よりやや落ちるラインナップという印象。

坂口安吾「アンゴウ」は、自身の蔵書に挟まれていた暗号文を解読した主人公が、戦時中の妻の不倫を疑う話。クロフツの「樽」を想起させるような”2冊の同じ本”の複雑で錯綜した動きに気を取られていると、ラストで予想外の着地をみせる。ミステリの謎解きで得られるカタルシスを超越した感動的な作品。
皆川博子の「猫舌男爵」も、ある意味ミステリを超越している、というか、これは全然ミステリじゃないw 山田風太郎の忍法帖に心酔したポーランドに住む大学生を巡る冗談小説で、勘違いによる徹底したお馬鹿ぶりが笑える。書評家の日下三蔵、千街晶之両氏の特別出演も愉しい。
横田順彌の「姿なき怪盗」は、古本屋から本の付属物だけが次々と万引きされる話ですが、”ホワイ”の真相はともかく、万引きのトリックが明示されていないのはミステリとして消化不良。(巻末解説で、新保氏が作者に代わってトリックを解明?しているのが素晴らしいw)
そのほか、泡坂妻夫「凶漢消失」(バカミス?)、乾くるみの蒼林堂古書店シリーズの一編(日常の謎)、逢坂剛の御茶ノ水警察署のずっこけコンビ・シリーズの一編(ユーモア・コンゲーム風)などが収録されています。