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古書ミステリー倶楽部
アンソロジー(ミステリー文学資料館編) 出版月: 2013年10月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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光文社
2013年10月

No.1 6点 kanamori 2015/05/26 18:22
古書・古本にまつわるミステリを集めたアンソロジーの第1弾。最初のページに、乱歩がデビュー前に本郷の団子坂(D坂)で2人の弟と営んでいた「三人書房」(=明智小五郎の初登場作「D坂の殺人事件」のモデルとなった古書店)の自筆イラストが配されているのが洒落ている。

いずれも古書を題材にしたミステリということで、切り口が似ているものがあって、(a)古本の中の書き込みや挟まれていた紙片から隠された事件が炙り出される謎解きもの、(b)偏執狂的な蒐集家にまつわる奇譚 という2つがこのビブリオ・ミステリ集の定番かなと思います。
収録作のなかで、松本清張「二冊の同じ本」や甲賀三郎「焦げた聖書」、都筑道夫のキリオン・スレイものの1篇が典型的な(a)のタイプ、戸板康二「はんにん」も日常の謎ながら同じタイプといえます。
一方、(b)に分類されるのは、梶山季之のせどり男爵シリーズの1篇、早見裕司「終夜図書館」や紀田順一郎「展覧会の客」で、とくにラスト近くで異様な展開を見せる「終夜図書館」を本書のベストに推します。
そのほか印象に残ったのは、女性のみの同人誌サークル内の確執が凄まじい石沢英太郎「献本」、子供モノなのに作者らしくない後味の悪さが強烈な仁木悦子「倉の中の実験」あたり。