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「ぷろふいる」傑作選
幻の探偵雑誌
アンソロジー(ミステリー文学資料館編) 出版月: 2000年03月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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光文社
2000年03月

No.1 6点 kanamori 2012/06/16 18:02
戦前の探偵小説専門誌といえばまず「新青年」が思い浮かびますが、昭和初期は”探偵小説の第一次黄金時代”といわれ、発行期間は短いながらも他にも多くの専門誌が出ていたようです。そういった雑誌掲載作品のアンソロジー「幻の探偵雑誌」シリーズ全10巻の第1弾、昭和8年創刊の「ぷろふいる」の傑作選です。

本格派に分類されるのは、二人の大学教授の数奇な因縁と悲劇に、理化学トリックを絡ませた甲賀三郎「血液型殺人事件」、デビュー作で骨太のアリバイトリックものの蒼井雄「狂燥曲殺人事件」、バカミス風の誤認トリックが楽しい大阪圭吉「花束の虫」、遊女の拷問道具と大観覧車のトリックを結びつける奇想がハンパでない小栗虫太郎「絶景万国博覧会」など。
なかでも、もっとも印象に残ったのは、西嶋亮「鉄も銅も鉛もない国」。無国籍の寓話小説風でありながら不可能トリックものの本格ミステリといえなくもない不思議な読後感を与えてくれた作品。