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[ 本格/新本格 ]
スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ
名探偵三途川理シリーズ/改題『スノーホワイト』
森川智喜 出版月: 2013年02月 平均: 5.71点 書評数: 7件

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講談社
2013年02月

講談社
2014年11月

No.7 6点 ミステリ初心者 2021/12/10 01:15
ネタバレをしています。

 本格ミステリ大賞作品ということで、期待しながら買いました(笑)。
 非常に明るい作風で、どちらかというとライトノベル的なノリもあります。テンポもよく、鏡のおかげでママエが推理放棄して速攻で解決します(笑)。テンポについては良い面と悪い面があると思うのですが(笑)。

 推理小説部分について。
 1話目の教師の話はマジックなのでアレですが、自転車を盗まれた少女の話はなかなかに面白かったです。意図的にではないにしろ、友人と一緒にいたことを話から省いてしまって、読者とママエとイングラムすべて情報が足りていない叙述トリックのような(そうじゃないような(笑))感じがしました。私は、 運動嫌いなのにスポーツショップに行くのが少しだけ引っ掛かりましたが、体育で使うなにかを買うのだろう…とスルーしてしまいました(笑)。それが悔しかったです。
 中盤から、頭のいい本物の探偵である、三途川と緋山が加わって頭脳戦が繰り広げられます。依頼人夫人の危機だったとはいえ、ママエがまた答えだけ聞いた論理性のないことを言ってしまい、窮地になります(笑)。
 終盤にはいると、后があらわれ、敵側に鏡を使った攻撃が始まります。三途川は頭の良さを自負しているだけあり、鏡の使い方が天才的です。誰の声でも偽装できるし、強力な爆弾にもなるとは思いつきませんでした。

 不満点。
 あまり読者に解き明かそうとはさせてない本です(笑)。どこか、頭のいい登場人物の推理バトルをながめているだけの感覚に陥ります(笑)。面白かったから良いのですが…。三途川の犯行をあらかじめ読者に提供し、それがなぜ成功しなかったかを推理する倒叙形式なら楽しめましたが、結局は三途川の作戦が失敗したのは運が無かったから(緋山が偶然ママエのところにくる・あほな后がべらべらしゃべる・偶然覚醒が間に合った緋山が鏡を壊す)であり、ミスが無いと倒叙形式も論理的には楽しめませんね。

 皆さんの書評やアマゾンレビューを拝見したところ、三途川が殺人計画を鏡に聞けばよいという意見がありました。なるほど!その通りですね(笑)。小説にはなりませんが、なぜか私は思いつきませんでした(笑)。しかし、鏡によるシュミレートは100%ただしい未来を映すわけでないですし、三途川がミスしたわけではありませんしね。鏡の指示通りであっても失敗する確率もあるわけです(ある…よな…?)

No.6 6点 風桜青紫 2016/01/27 02:41
yoshiさんのおっしゃる通り、本格ミステリとしての構造を破壊すれば、それが面白くなるというものでもない。モリカワの作品はどれもアイデアに富んでいるものの、謎を出してすぐに種明かしするようなスタイルは、正直面白いのかどうか疑問なのである。ところがモリカワ本人は作品としての面白さを演出するためにこの用法を採用しているらしいから面倒だ。魔法の鏡にデスノートのようなルールをつけていないのはその印だろう。言うまでもなく、「一定の条件下でなんらかの現象を起こす鏡」よりも「なんでも叶えてくれる魔法の鏡」を出した方がハチャメチャさが増して面白いのである。しかしその一方で、三途川が魔法の鏡に「解決策」を訊かないような理由について、「話の都合上です」ということを読者側が把握してあげなくてはいけないから、読む方も大変なのである。そういうわけで、どうにもモリカワという作家は才能がうまく生かせていないように感じる。でもそこがモリカワの特徴でもあるのよね……。

まあ、荒唐無稽なお笑いライトノベルとしては面白かった。三途川があまりにも外道すぎて笑えるし、ママエの投げやりな推理姿勢もなんか微笑ましい。どいつもこいつも魔法の鏡を好き放題に使ってくれる。つーか、もゆるくん死んだwwww。うーん、パーツひとつひとつを拾って見れば、間違えなく本格ミステリだけども、作品としてはギャグ小説として評価したい。どうもモリカワは判断がむつかしい作家だ。

No.5 8点 平和マン 2015/08/11 17:40
 本作の面白味は「なんでも教えてくれる鏡」の機能でいかに遊ぶかというところにある。作者がラストシーンまでとことんこのガジェットの機能を拡張させていき、自らその課程を楽しんでいることはテキストからよく伝わってくるだろう。そしてこのガジェットを楽しんでいるのは本作の名探偵・三途川理も同様なのだ。その喜びを共有できる人間にこそ、本作は楽しむことができる。本作に関して「おれなら鏡をもっとうまく使用できる。おれは三途川はより頭が良い」などとうそぶく人たちに私はいいたいが、君は「三途川が自分で事件の解決法を思いつくことに快感を覚える人間」だということを理解できていない時点で、小学生レベルの読書能力しかないのである。

No.4 2点 名探偵ジャパン 2015/03/12 13:47
文庫版の法月綸太郎の解説によれば、本作は「謎と論理の探偵小説の構造を組み替えていく可能性」を「真正面から追求する」作品ということだ。解説でも引用している笠井潔の言葉と合わせると、要は「複雑な構造でページを戻って内容を確認しながら推理するようなミステリはもう古い。若い世代には受け入れられない。もっと手軽に、考えなくても答えが分かるようなミステリがこれからは必要なんじゃね?」ということらしい。
確かに法月、笠井の言いたいことは分かる。私もあまりに込み入った話は苦手だ。しかし、本作がそれらに代わる新世代のミステリだとは、どうしても思えない。

鏡に万能性を持たせすぎている。計画、立案まで出来てしまうというのは、あまりにやりすぎ。この機能を使えば、yoshiさんの書評の通り、あっという間に話が終わってしまう。
これだけなら、ただの「バカミス」として片付けてしまえるのだが、問題は、本作が「本格ミステリ大賞」を取ったということ。
審査員の方々は、本当にこれが「本格」「ミステリ」「大賞」に相応しいと思ったのだろうか?
本格ミステリが複雑化して、新規お断り、みたいな状況に填り込んでいるのは間違いないだろう。だが、それを打開するのは、「何でも答えてくれる魔法の鏡」では決してないはずだ。

No.3 2点 yoshi 2015/03/08 21:48
特殊設定を使うのはいいが、それならばその設定に穴はないのか、
作者はちゃんと考えてから書いてもらいたい。

第一部はママエが鏡に、
「真実は何? そしてその真実を、依頼人に不思議がられずに伝える方法を教えて」
と訊けばいいし、
第二部は三途川が鏡に
「誰にも疑われることなくママエを殺す方法を教えろ」
と訊けばいいだけの話だ。鏡の特殊な考え方を思いついた三途川は、
作中では頭がいいことになっているが、実はものすごく頭が悪い。

いずれも鏡に万能性を持たせ過ぎたが故の結果で、
あまりにも穴だらけな論理は語るに値しない。
これが本格ミステリ大賞を獲ったというのは、愕きの一言だ。
大賞受賞作品は全て読んでいるが、これほど怒りを覚えた受賞作は初めてだ。

No.2 6点 kanamori 2015/02/20 18:09
〈なんでも知ることのできる鏡〉を持つ女子中学生の襟音ママエは、こびとを助手にして探偵事務所を構え、依頼人が持ち込む日常の謎を安楽椅子探偵きどりで”解決”していた。そんなある日、〈あっちの国〉の王位継承を謀る御后ダイナが、悪辣名探偵の三途川理にママエの暗殺を依頼ししてきた---------。

毒入りリンゴや七人の小人など、童話「白雪姫」をモチーフにし、なんでも知ることができる魔法の鏡という、謎解きミステリにとっては掟破りのアイテムが重要な役割をする異世界風の特殊設定ミステリ。
謎解き以前に真相が分かってしまう装置という点では、「さよなら神様」とコンセプトが似ている(=魔法の鏡が、神様・鈴木太郎の役割)が、結論だけでなく推理の過程まで質問すれば何でも答えてくれるという設定がなんとも異端。これでどうやって謎解きミステリを展開していくんだろうと思っていたら、第2部では鏡の機能を最大限に利用した謀略戦の様相になってしまった。(これはこれで面白いですが.......)
法月綸太郎氏の文庫解説で気が付いたが、全知全能の神様の麻耶雄嵩、魔法の鏡の本書、Yahoo!知恵袋を悪用したカンニング事件と、似た発想がみんな京都大学つながりなんだなw

No.1 10点 tgtg 2013/07/31 00:28
キャラクターと設定が噛み合った傑作


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