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[ パスティッシュ/パロディ/ユーモア ] 半導体探偵マキナの未定義な冒険 |
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森川智喜 | 出版月: 2014年06月 | 平均: 4.67点 | 書評数: 3件 |
文藝春秋 2014年06月 |
No.3 | 2点 | yoshi | 2015/03/13 00:30 |
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「スノーホワイト」が全然ダメだったので、
口直し(?)のつもりで読んでみたが、 やはり期待は裏切られた。 前半でマキナが謎を解いていくのはマキナの特殊能力のゆえんであり、 そこには全く推理が介入していない。 スノーホワイトの例の鏡もそうだが、どうもこの作者は、 そこらへんで楽をする癖があるようだ。 後半は謎の焦点が変わって、 マキナの兄姉たちの「壊れっぷり」を推理することになる。 ここでようやく「推理」が登場するのだが、 ここにあるのは論理ではなくあてずっぽうに使い。 この人を高く評価する人もあるようだが、どうも実力がわからない。 一度特殊設定・特殊能力なしで書いてもらいたい。 |
No.2 | 4点 | アイス・コーヒー | 2014/10/06 11:53 |
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祖父の発明した四体の探偵ロボット。彼らは人間を越える身体能力とロボットならではの捜査能力で事件を解決していく名探偵だが、肝心の祖父の死によって三体にエラーが発生してしまう。残る一体、マキナに協力を要請された俺こと坂巻正行は探偵捜しに奔走する…。
「天才モリカワ」として注目を集める著者の長編ミステリ。本作最大の特徴は「名探偵の行動はどこで間違ったか」というあまり前例のない疑問をテーマにしているところにある。 エラーを起こした探偵ロボットたちが町で引き起こす珍行動の理由を探っていくわけだが、できればもう一工夫くらい欲しかった。ロボットを登場させるならロボット三原則くらい持ち出してネタを掘り下げても良かっただろうし、「ロジックの誤り」の真相も少し安直だ。 また、著者の作風は良くも悪くも新本格初期の香りを漂わせていて本格に対する愛は感じるもののストーリーが適当すぎる。それでいて事件解決のロジックが弱いところも減点対象だ。このやり方で今後勝負していくのは難しいだろう。 はっきりいって一番面白かったのは「INCLUDE」に登場する現金盗難事件で、それ以外の「COFFEE BREAK」は全部二番三番煎じに感じた。 |
No.1 | 8点 | 虫暮部 | 2014/08/15 15:37 |
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法月綸太郎や麻耶雄嵩のように、きっとこの作者もミステリの成立条件について自覚的に考えながら作品を書いているのではないだろうか。その結果、ああいった大技ではなくて可愛らしいスキマを見つけ出した。
所謂常識的な論理からの逸脱を“探偵ロボット”という小道具で見事に具現化している。謎を解くのではなく真相の見つけ方を問うという「coffee break」のアイデアも秀逸。一見軽い読み物だが、というか軽い読み物であることは間違いないのだが、論理展開はかなりのオリジナリティを誇ると思う。 |