海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 警察小説 ]
エミリーの不在
アラン・バンクスシリーズ
ピーター・ロビンスン 出版月: 2006年06月 平均: 5.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


講談社
2006年06月

No.1 5点 nukkam 2016/07/24 06:35
(ネタバレなしです) 2000年発表のアラン・バンクスシリーズ第11作となる警察小説で本格派推理小説の推理要素がほとんどないのは個人的には残念。でも非常によくできた作品だと思います(私の好みのタイプではないので評価点は低いのですが)。序盤でバンクスがまるでハードボイルド小説の私立探偵みたいな活動をしているのが印象的です(派手なアクションシーンはありません)。中盤からはいつもどおりに警察官として活躍しますがどうも本書はハードボイルドでありながら内省的なロス・マクドナルドの作品を彷彿させます。マクドナルドがハードボイルドらしく人間をドライに描いているのとは対照的にロビンスンはきめ細やかな心理描写が特徴で、そのためか事件の悲劇性ややるせなさは息苦しいほどです。(ネタバレ防止のため曖昧な書き方になりますが)バンクスが最後にある人物に対してああいう態度をとるシーンの何と重苦しく悲痛なことでしょう。講談社文庫版が上下巻で出版されるほどの長大なボリュームを感じさせないストーリーテリングは見事ですがここまで救いの少ない物語は読者を選ぶかも。でも本書の講談社文庫版巻末解説によると後年作にはもっと気分が落ち込みそうな作品もあるようです。


キーワードから探す
ピーター・ロビンスン
2009年07月
余波
平均:5.00 / 書評数:1
2006年06月
エミリーの不在
平均:5.00 / 書評数:1
2004年07月
渇いた季節
平均:6.00 / 書評数:1
2001年11月
誰もが戻れない
平均:5.00 / 書評数:1
1998年08月
水曜日の子供
平均:5.00 / 書評数:1
1994年08月
夢の棘
平均:6.00 / 書評数:1
1992年06月
必然の結末
1991年06月
夏の記憶
平均:6.50 / 書評数:2
1991年02月
罪深き眺め
平均:5.00 / 書評数:2