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[ サスペンス ]
さまよえる脳髄
逢坂剛 出版月: 1988年10月 平均: 5.67点 書評数: 3件

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新潮社
1988年10月

新潮社
1992年01月

集英社
2003年09月

No.3 7点 E-BANKER 2014/12/10 22:12
1988年発表のノンシリーズ長編。
発表当時は斬新なジャンルだった、いわゆる「サイコ・サスペンス」に分類される作品。

~精神科医・南川藍子の前に現れた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中突然マスコット・ガールに襲い掛かり殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始める・・・。人間の脳に潜む闇を大胆に抉り出す傑作長編ミステリー~

これはなかなか興奮させられた。
サイコサスペンスといえば、ちょうど「羊たちの沈黙」が同時期に発表され、当時は流行の最先端ともいえるジャンル。
美貌の女性精神科医が主人公というのも「羊たち・・・」と同様で、サスペンス感を盛り上げるためには最も適したキャラクターだと思う。
本作でも、脳に傷を負った男たちに執拗に狙われる存在として、なかなか淫靡な活躍を見せる。

そしてもうひとつのテーマが脳科学。
「脳」疾患について、精神学的アプローチと脳科学的アプローチが多種紹介される。
特に右脳と左脳の機能の違いについては非常に勉強になった!(今さらだけど・・・)
今となっては一昔前の話ではあるが、「脳」という存在は“大いなるミステリー”ということなのだろう。

本作の山場は終章。
藍子に訪れる大ピンチの連続。
そして解決と思わせた瞬間に判明するドンデン返し!
まさかこういうオチが用意されているとは思っていなかった。
(でもこれって伏線なかったよなぁ・・・)

他の方の評価は辛めだけれど、個人的には予想よりも面白かった。
さすがの力量という評価。

No.2 5点 メルカトル 2012/11/16 21:43
再読です。
昔読んだ時はなかなか面白かった記憶があるのだが、改めて読み返してみるとそれほどでもなかった。
歳のせいか、若かった頃に比べて感性が磨り減ってしまったのだろうか・・・
本作はいわゆるサイコ・サスペンスと呼ばれる作品だが、脳神経に関する薀蓄や、それに付随する殺人事件など、あれもこれもと詰め込みすぎて、まとまりがなくなっている感じを受けた。
面白いエピソードもあるにはあるが、全体として今ひとつ盛り上がらず、意外な真相なども皆無に等しく、期待したような仕上がりではなかった。
残念ながら再読するほどの作品とは言えないだろう。

No.1 5点 こう 2010/05/14 22:44
 作者得意分野の作品ですがサイコミステリというより脳神経学的ミステリといった趣きです。書かれている内容は興味深い所もありますがサスペンスとしての盛り上がりも小さく「水中眼鏡の女 」の様な作品を期待したのですが少々違いました。


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逢坂剛
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