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[ 短編集(分類不能) ]
キス・キス
ロアルド・ダール 出版月: 1960年01月 平均: 6.50点 書評数: 4件

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早川書房
1960年01月

早川書房
1974年09月

早川書房
2005年10月

早川書房
2014年05月

No.4 7点 クリスティ再読 2023/07/05 14:40
「あなたに似た人」の次の短編集。いや読んでの感想は

ダールって男性的な作家だなあ

というあたり。男性から見た女性の不思議さ・不可解さが大きなテーマになっているわけで、それがたとえば捕食者的な「女主人」というかたちをとったり、夫への復讐譚「ウィリアムとメアリー」(SF仕立て)、「天国への道」(オーソドックスな日常の悪意)、ガチの男女闘争譚を、策士策に溺れるの洗練された騙し合いに持って行った「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」、やはりSF仕立てにした「ロイヤルゼリー」「勝者エドワード」、今でいうインセルの奇想小説の「ジョージ―・ポージー」と、手を変え品を変え同一テーマに固執しているわけだ(だから「おとなしい凶器」もそう読むべきなんだって!)。
だから逆に「クロードの犬」からのボンクラ三人組活躍譚(「牧師の愉しみ」「世界チャンピョン」)はカラー違いのホモソーシャルな「男らしさ」の小説になってくるのだろうな。結構ヘミングウェイの世界に近いと思っているよ。

というわけで本当は「あなたに似た人」の路線をさらに純化・強化した短編集が「キス・キス」ということになるんだろうと思う。
ごめん「来訪者」とか読んでない。そのうちやろう。

No.3 5点 虫暮部 2020/07/21 11:52
 間抜けな人物ばかり登場するが、それが“愛すべき~”と言う感じではないのでイライラした。「豚」「天国への登り道」以外は、期待し過ぎたせいで相対的に物足りない。だって『チョコレート工場の秘密』の作者だよ。何かもっと物凄いものを期待しちゃった私を誰が責められるだろうか。

No.2 7点 mini 2014/05/19 09:56
先日に早川文庫からロアルド・ダールの『キス・キス』が刊行された、異色作家短篇集からの新訳文庫化である
ちょっと前のジェイムズ・サーバー『虹をつかむ男』も旧訳のままで文庫化されたが、あれは映画とのタイアップ的特殊事情が有ったわけで、今回のダールにはそうした連動企画的意味は無い
別に今後も次々に全集からの文庫化予定も無さそうだし、単に新訳に合わせてという理由だろう、先行して『あなたに似た人』も新訳となり『キス・キス』と合わせて両者新訳揃い踏みというところか
『キス・キス』は既に書評済だけど一旦削除して再登録

ダールの短篇集というと『あなたに似た人』だけした読まれていない風潮だが、その最大原因は『あなたに似た人』はかなり以前から文庫版で簡単に入手可能であるからだ
しかしダールには両者2トップと言うべきもう1つの重要な短篇集が存在する、それが『キス・キス』である
『キス・キス』があまり読まれていないのは何故か?決して内容が『あなたに似た人』に劣るからではない、答えは簡単、その原因はこれまで文庫化されて無かったからだ
全集で読んだ身としては安易な文庫化は残念だが、今回の文庫化でダールの2大短編集が公平平等に読まれる事を期待したい

ダールはMWA短篇賞を2度受賞している、短編集『あなたに似た人』と短篇単体として「女主人」である
MWA短篇賞は初期には短編集にも贈られる賞だったが、途中で単独の短篇に贈られる事に規約変更されている、1度目が短編集で2度目が短篇単体受賞なのはそれが理由と思われる
したがって冒頭のMWA賞受賞作「女主人」を含む『キス・キス』の短編集としての評価が割り引かれる事はないだろう
実際に『キス・キス』は素晴らしい短編集で、『あなたに似た人』と比べて劣るどころか後発だけにむしろより洗練されてスマートになっている
『あなたに似た人』だけ読んで『キス・キス』を読まないとうのは、「Yの悲劇」だけ読んで「Xの悲劇」が未読みたいなものだ(無理矢理な比喩でした‥笑)

解説は阿刀田高、嵌り過ぎだけど(笑)ダールならこの人しかいないよな

No.1 7点 蟷螂の斧 2013/06/22 11:58
このところ、サスペンス中心だったので、少し毛色の変わったものをと思い、書棚より本書を取り出し、20数年ぶりの再読。11編の短編集です。「奇妙な味」(ブラック・ユーモア)の世界で、おもわずニヤリとさせられます。簡潔な文章で読みやすいです。著者は、映画「007は二度死ぬ」(日本が舞台、ショーン・コネリー、丹波哲郎、浜美枝の各氏)の脚本を手がけていますが、「外人から見た日本」が諸出しで、あまり良くなかった思い出があります。なお、著者の児童文学書「チョコレート工場の秘密」は映画化<邦題「チャーリーとチョコレート工場」(ジョニー・デップ氏)>されていますね。


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ロアルド・ダール
2005年10月
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1960年01月
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