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赤朽葉家の伝説
桜庭一樹 出版月: 2006年12月 平均: 6.50点 書評数: 12件

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東京創元社
2006年12月

東京創元社
2010年09月

No.12 6点 zuso 2024/03/19 22:50
ミステリであると同時に「赤朽葉家」という旧家の女性たちの三代に渡る壮大な大河小説である。その豊饒な物語性は通常のミステリとは異質の強力な牽引力となって、未曽有の結末へと誘っていく。

No.11 5点 レッドキング 2023/11/11 06:10
「いつか採点しよ思ったまま数年過ぎた」作品その六。山陰地方を舞台にした、三部構成、女三代クロニカル。ミステリとしては、巻頭と終末の「人体ストップ映像」ドンデン返しに尽きるてのが、逆に凄い。※これも、オマケ点数。

No.10 7点 八二一 2021/03/27 20:49
時間のつながり、人のつながり、広がり、深まり、一つの物語になる今とは違う時、人生を感じながら読むことが出来た。

No.9 7点 風桜青紫 2016/01/25 20:49
文庫400ページちょっと鳥取の興隆と滅亡(してない)を描いたなにやら壮大な物語。たぶん『百年の孤独』のパロディだろうけども、万葉を主人公にした第一部は、荒唐無稽な光景を交えながら、未開の地・鳥取の不思議な魅力を体現している。桜庭一樹は冒頭で登場人物の(いろんな意味での)最期を暗示させるという戦法を好んで使うんだが、万葉の予知能力はその手法を見事に体現するものだろう。登場人物の不幸をあらかじめ知っているからこそ、その人物に妙な同情がうつり、なんとなく気になってしまう存在にさせてしまうのだ。なごやかな空気のなかでもどこかに不安を含んでいることが、絶妙なリーダビリティを生み出している。そんなわけで第一部は文句なしに面白いのだが、第二部から作者がノリノリに成りすぎたのか、変な方向性のとんでもストーリーが展開される。製鉄天使ってなんやねん。てか漫画家になりやがった……。荒唐無稽さばかりが目立ってしまって、どうも話に入り込みづらくなるのだが、まあ、桜庭一樹の楽しそうな筆致が楽しめたので良し。第三部は、瞳子のだらけたクズっぷりがなんとも笑える。ラブホで待ち合わせるニートwww。ミステリとしては弱いものの、作品の開始地点である人間飛行を、万葉のキャラクターとその人生に絡めてオチをつけるのは悪くなかった。まあ、楽しめる一作でした。

No.8 6点 makomako 2014/07/05 07:42
 これが推理小説の賞を受けたとは信じられないほど推理小説としての味は薄い。未来予知能力のある女の話やべらぼうに強い女の話や、自信が全くない女の話がしんなりねっちりと語られる。
 作者は男の名前だが内容はまさに女性の視点で、女性しか書けないようなお話でした。
 美人の姉さんの彼氏をパッとしない妹が寝取る、しかも寝取られた男は妹に骨抜きにされてしまうというのは男として全く解せないし、多分作者も分かっていないのでしょう。男から見れば女として素敵な女性というのは女性からは理解できないのかも。そうでなければ美人の彼女から乗り換えて骨抜きにはされないよね。この小説ではこういった女性の魅力などがすっぽりと抜け落ちています。
 まあ不覚にも男の作家だと思って読んだのが間違いだったのだけれどね。女性の名前で発表してくれれば印象は変わったかもしれない。

No.7 6点 tider-tiger 2014/06/01 14:10
万葉、毛毬、瞳子(とうこ)、赤朽葉家の三代の女性を描いた作品で、ミステリといえるのは第三部のみ。
第一部千里眼の万葉編は非常に良かったと思います。第二部暴走族にして漫画家の毛毬編は個人的にはあまり好みではありません。第二部の方が好きだという方もいらっしゃると思いますが。
そして、問題はミステリの第三部瞳子編。基本的な方向性は悪くないと思うんですよ。ですが、非常に粗雑な印象。特に気になったのは、最悪の事態を回避できないようにするため、強引な設定をねじこんで無理やり事件を成立させてしまった点でしょうか。変な設定で楽をせずに、もっと丁寧に作りこんでリアリティを持たせればいいものになったんじゃないかなあと。
第一部 名作
第二部 良作(好きではないけど)
第三部 平凡
結論、小説としては7~8点はつけたい。でも、ミステリとしては残念ながら5点が限界。なので採点は6点としておきます。

※この作品は「道祖土家の猿嫁」坂東 真砂子 (著) の影響が色濃いのではないかと睨んでいます(パクリだと言っているのではありません)。なんとなく似ているなあと感じていたのが確信に変わったのが登場人物の名前。
万葉の孫にして語り手は瞳子(とうこ)
「道祖土家の猿嫁」の主人公蕗の孫で後日譚を語るのは十緒子(とおこ)

No.6 8点 シレン 2012/01/06 22:58
他の方の評価の通りだと思います。
読み物としては素晴らしい。
ミステリーとしては…。

No.5 5点 あびびび 2011/11/01 11:58
赤朽葉家から見た昭和から現代の世相、時代の流れ。語り手の祖母である万葉という女性が千里眼で、さまざまな未来の死を予言し、それにまつわる事件性が後にミステリーの展開となるが、これは締め括りの部分を強調しただけのように見える。

千里眼と来た時点で放棄したくなったが、意外とテンポよく読めた。読後感は悪くない。

No.4 5点 isurrender 2010/06/12 13:11
小説としては文句なしで高評価できるんですが
ミステリとしては迷いますね
ミステリとして読まない方が楽しめると思います

No.3 5点 touko 2009/07/01 21:33
日本版「百年の孤独」だと前評判が高かったので、期待しすぎてしまったようです。

確かに百年の孤独をまんま元ネタにしているし(同じ百年の孤独元ネタ作品でも寺山修司の「さらば箱舟」のようにひねりもなくストレートに)、日本人には読みやすくなっているのはいいんですが、ちょっと軽すぎ、説明調に傾きすぎではないかと。
週刊誌や新聞の社説のような、あまりにも俗っぽい類型的な解釈とラノベ調の文体等が、個人的には辛かったです。
フェミニズム版プロジェクトXみたいで(笑)、ウケそうではあるし、企画もの商品としてすぐれているのはわかるんですが、電通みたいで、G・マルケス好きだった身としてははなんだかなあ、と。

(……ところで、不良少女伝説は花のあすか組や下妻物語あたりとして、ビューティフルワールドはもしかして山田ないとが元ネタ!?)

ラストにミステリ要素も出てきますが、これも別にあってもなくてもって感じでした。

No.2 9点 あるびれお 2009/06/13 05:02
物語る力の凄さというのを、久々に感じさせられた読書体験だった。エンタテイメントって、こういうことなんだろうな。本を読むことにこんなに没頭させられたのはいつ以来だろう。これでミステリ面がもうちょっと強かったら無敵なのだが。

No.1 9点 ロビン 2008/10/26 19:19
鳥取県の紅緑という架空の村に存在する赤朽葉家。そこに住む千里眼奥様、万葉。その不良娘、漫画家の毛毬。その娘、普通の女の子、瞳子。その母娘三代にまつわる物語。
形式としては、瞳子の一人称で、祖母や母から聞いたそれぞれの時代の話が丁寧な描写で綴られていく。三部作となっていて、最後の瞳子の話になってから、突如この物語はミステリに変貌した。強引に枠に括ろうとするならば、「手記もの」(残された手記を読んだ探偵が、その矛盾点をつき、隠れた真実が露見する、みたいな)になると思う。
ミステリとしては弱いかと。あくまで小説として、美しい物語。「ようこそ、ビューティフルワールドへ」本当にそう思わせてくれるのは、そのミステリの部分があってこそ。涙を誘う感動とはまた違う。深く届く、余韻の残る本当に美しい物語です。


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