海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ サスペンス ]
夜の闇の中へ
ローレンス・ブロックの補筆
コーネル・ウールリッチ 出版月: 1988年07月 平均: 7.50点 書評数: 2件

書評を見る | 採点するジャンル投票


The Mysterious Press
1988年07月

早川書房
1994年11月

No.2 7点 蟷螂の斧 2021/03/09 17:54
裏表紙より~『あなたが果たせなかったことを、わたしが成し遂げてみせる…拳銃自殺に失敗し、誤って見知らぬ女性を死なせてしまったマデリンは、その女性、スタアの身代りとなって生きようと誓う。マデリンはスタアの過去をさぐり始め、彼女が生前に、自分の人生を破壊した人々への復讐を決意していたことを知る―サスペンスの詩人が遺した未完原稿を、実力派作家ブロックが補綴。若い娘の憎悪と情熱、愛と復讐を描く幻の遺作長篇。』~
ラストはローレンス・ブロック氏が補綴。よって、その部分はウールリッチ氏らしくないのかも。あと真相にはビックリ。著者がこの手のものを使うとは思っていなかったので・・・

No.1 8点 Tetchy 2008/10/20 21:17
ウールリッチの未完原稿をローレンス・ブロックが後を継いで完成させた本書。
とはいえ、全然両者の文体には違いが見られず、どこからどこまでがウールリッチで、どこからがブロックか、全く解らなかった。
解説では冒頭と結末の方をブロックが補綴し、中間はほとんどウールリッチの手になるものだとのことだったが、私は読書の最中、ブロック自身が、物語のムードを継承しつつ、自身の作家としての矜持も保ちながら書いていると思っていた。違うとなれば、ほとんど区別がつかないわけで、ブロックの練達の筆巧者ぶりに全く以って脱帽である。

プロットとしては最後の一撃については結構驚かされたものの、読み進むにつれ、いささか使い古された手法であったと気付く。しかしそこはブロック。前に散りばめた布石を固め打ちして、設定の弱さを上手くカヴァーしている。

特に冒頭の一文、「はじめに、音楽があった」に呼応する形で終わる、これが非常に巧い!!はじめにある音楽と最後に聞く音楽は全くその意味が異なり、相反するものである。この冒頭文及び結末がブロックの追記によるもので、これによって物語としては一クラス上に行った感がある。

筆を進めるに連れ、ここいらの始まりと終わりのアレンジはやはりブロックの作家としての矜持を覗かせる心憎い演出で、この二つの、云わば物語にとって最も肝心要の部分において最高の仕事をした、それだけでブロックの手腕は評価に値するのである。


キーワードから探す
コーネル・ウールリッチ
2003年07月
非常階段
2003年06月
耳飾り
2003年03月
マネキンさん今晩は
平均:6.00 / 書評数:1
2003年01月
シンデレラとギャング
平均:6.00 / 書評数:1
2002年11月
踊り子探偵
平均:5.00 / 書評数:1
2002年09月
砂糖とダイヤモンド
平均:6.00 / 書評数:2
2001年03月
マンハッタン・ラブソング
平均:4.00 / 書評数:1
1988年07月
夜の闇の中へ
平均:7.50 / 書評数:2
1983年11月
今夜の私は危険よ
1980年12月
運命の宝石
平均:6.00 / 書評数:2
1979年12月
自殺室
平均:6.00 / 書評数:1
1971年08月
もう探偵はごめん
平均:6.00 / 書評数:1
1963年01月
913号室の謎
平均:5.00 / 書評数:1
1961年01月
野性の花嫁
平均:6.00 / 書評数:2
ぎろちん
平均:6.50 / 書評数:2
1959年01月
死はわが踊り手
平均:5.00 / 書評数:2
聖アンセルム923号室
平均:6.00 / 書評数:5
1957年01月
恐怖
平均:6.50 / 書評数:2
喪服のランデヴー
平均:6.78 / 書評数:9
1953年09月
黒衣の花嫁
平均:6.70 / 書評数:10
1950年01月
恐怖の冥路
平均:6.00 / 書評数:3
黒い天使
平均:6.88 / 書評数:8
不明
タイムズ・スクェア
平均:6.00 / 書評数:1