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[ サスペンス ]
検屍官
ケイ・スカーペッタ検屍官
パトリシア・コーンウェル 出版月: 1992年01月 平均: 5.20点 書評数: 5件

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講談社
1992年01月

No.5 6点 人並由真 2020/06/07 02:19
(ネタバレなし)
 私的に90年代と00年代の東西ミステリの素養が薄いので、タマにはその辺の話題作も読もうと思い、部屋の本の山の中から出てきた未読のこれを手に取った。
 奥付を見ると初版からほぼ一年目に刊行された第13刷。250円との古本屋の値段鉛筆書きがあるので、たぶん100円均一にならない20世紀のうちにいずこかの古書店で買っていたのだろう。もう、どこで入手したかの記憶は、全くないが。

 でもって感想としてはフツーにまあまあ面白かったけれど、人物一覧の某キャラの「容疑者性格分析官」って今でいうプロファイラーのこと? プロファイリングが一般用語化する直前の時代の作品だったのだな。さらにそれ以上に1990年前後のコンピューター環境の描写が当時はこんなもんだったのか、と、今となっては、ちょっと新鮮であった。

 リーダビリティーはおそろしく高いが、中盤であるキャラに傾けられた疑惑の着地点についてはやや微妙。まあある意味では、かなりリアルかもしれない。
 連続レイプ殺人において「なぜ彼女たちが選別されて狙われたのか」の謎を、一種のミッシングリンク的な興味に掲げてくるのは悪くなかった。その真相に向かう布石の張り方もなかなかウマイかとも思う。
 しかしこれ、シリーズが全部で24冊もあるのか(汗)。シリーズ途中の作品のつまみ食いは、やりにくそうな感じだなあ。どうしましょう(大汗)。

No.4 5点 2014/05/16 18:57
検屍官シリーズの第1作。
本作は連続殺人モノで、被害者は若い女性たち。
捜査するのは、刑事マリーノ。主人公の検屍官ケイ・スカーペッタがこれに加わる。

本格モノと信じて読み始めたら、しだいにケイの周辺の雲行きが怪しくなり、サスペンスフルなストーリーになっていく。
本格モノと思っていたから、ケイの一人称で語られるのに違和感があったが、こういうミステリーだったからなのかと納得した。
まあでも本格モノとも言えるのだが。

主人公の職業柄、医学的なものはもちろんだが、データベースへの侵入など、専門的な事柄も絡んでくる。本来なら一部の読者にしか受け入れられそうにないタイプなのに、広範囲な読者層に読まれるように、きわめて読みやすく書いてあるのがすごいところだ。
ケイの揺れ動く内面の描写も面白い。突飛なたとえだが、「隠蔽捜査」の竜崎のようだ。こういうところが受ける理由なのだろう。ケイの私生活部分のサイドストーリーも好まれる理由だろうか。まるでパーカーのスペンサーシリーズのようだ。

ただ、どうしてこんなに売れたのだろうという疑問がわく。当時としては新しいタイプのミステリーだったからなのか。でも、そんなにすごいとは思えない。読みやすいわりには、ストーリーにとりとめのなさもある。
さらに、ブックオフで大量に売れ残っているのも不思議だ。時代性がある内容だが、そんなに飽きられる小説だとも思えない。バカ売れしたという証明なのか。
う~ん、けなしているのか、擁護しているのか、自分でもさっぱりわからない。

No.3 4点 E-BANKER 2011/09/06 22:35
検屍官シリーズの第1弾。
いわゆる人気シリーズ(?)ということでちょっと期待して読み始めましたが・・・
~襲われた女性たちはみな、残虐な姿で辱められ、絞め殺されていた。バージニアの州都・リッチモンドに荒れ狂った連続殺人に街中が震えあがっていた。犯人検挙どころか警察は振り回されっぱなしなのだ。最新の技術を駆使して捜査に加わっている美人検屍官・ケイにもついに魔の手が・・・~

正直期待はずれ。
何より筆致のリズムが悪い。
これも処女作のせいでしょうか?
殺人事件そのものよりも、主人公であるケイ・スカーペッタ周辺の人物描写に終始している感があって、何とももどかしい感じ。
(もちろん、「意外な犯人」へのミスリードの狙いは分かるが・・・)
結局、盛り上げといてオチ(真相)もショボイので、中盤の冗長さが目立つ結果になっている。
まぁ、シリーズ中には面白い作品もあるそうなので、機会があれば今後も読んでみるかもね。
(ブックオフで売れ残っているのも分かる気がする・・・)

No.2 7点 itokin 2009/03/20 21:31
翻訳物は読みづらいとの先入観があるのだがこの作品は原作がよいのか、訳者がよいのか解らないが非常に読みやすい。
物語の起伏も入れ込みすぎず好きだが終盤の盛り上げが少し物足りない。検屍官という特異な分野もよく説明されていて興味深く読んだ。

No.1 4点 mini 2008/12/06 11:30
日本でも人気があったのに、今ではブックオフで売れ残ったまま並んでいるのが検屍官シリーズ
売れた時期もあったのはなるほどで、ベストセラーはこう書けばいいんだという教科書通りのお手本に則った作法
もうパソコンが広く普及した時代に書かれているので、そういう知識も取り入れ、というか作者が結構パソコン操作が得意だったりして
事件の合い間にはヒロインの私生活や家族の問題も取り入れ、さらに終盤にはこうした女性探偵もののお約束のヒロイン危機一髪もあるし、全体の完成度は高い
実はこうした完成度の高さがマイナスになっていて、文章も読み易いのに、それでいてなにか魅力を感じないんだな


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