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[ サスペンス ]
消された時間
ビル・S・バリンジャー 出版月: 1959年01月 平均: 4.75点 書評数: 4件

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早川書房
1959年01月

早川書房
1978年08月

No.4 5点 斎藤警部 2016/05/30 12:11
最後の瞬間、昔のコント風に ♪チャン・チャン! と本当にジングルが鳴っちゃいそうなレベルの「チャンチャン終わり」には唖然もいい所ですw たしかに「事件捜査の章」の合いの手が有るからこそ「自分捜しの章」のスリルも際立つわけですが。。
読んでる間はサスペンスと不可解性の鬩ぎ合いも強く、決して詰まらない本では無いのですがね、だからこそ4点にはどうしても落とせないのであるがァ~
しばらく前のこと、実家に行ったら、ここしばらくミステリに興味無かった我が老父が(私が実家に置いて来た)この本読んでましてね、老い先そう長くなかろう父が、よりによって。。! と軽いショックを受けたものですw どうせなら「歯と爪」(これも置いて来た)にしなよ~ って。せっかくの読書習慣復活に水を差したくないので、言いませんでしたけど。

No.3 5点 2014/12/28 22:13
『歯と爪』の後に発表された作品で、同じように章ごとにカットバックしていく手法を使っています。ただ、前作が全く関係なさそうに思える2つの話を交互に配していたのに対して、今回は明らかに関係がある話で、しかもカットバックによって不可解な状況を生み出しているというところが、新たな工夫と言えるでしょう。ただしその2つの話には分量的に、miniさんも指摘されているとおり(1:9というほどではありませんが)大差があります。なお、その不可解な状況は話が進むにつれて次第に見えてくる構成なので、作品紹介で何が不可解なのかを明かしてしまっているのはネタばらしとも言えます。
で、奇数章のメインとなる記憶喪失の男の話なのですが、これが今ひとつ物足らない感じで、しかも偶数章の死体遺棄の必然性が弱いという点、どうしても『歯と爪』に比べると点数は低くなってしまいます。

No.2 5点 mini 2012/04/16 10:02
* 1912年生まれ、つまり今年が生誕100周年にあたる作家は意外と多い、今年の私的読書テーマ、”生誕100周年作家を漁る”、第3弾はビル・S・バリンジャーだ

私が思うに、バリンジャーという作家は日本ではとても愛好されながら誤解されてる作家だと思う
いや、愛好されるが故にと言うか、つまりですねえ、普段から本格しか読まないような読者が手を出しがちで、しかも悪い意味で本格としてどうかという、ジャプリゾやカサック等と同様の読まれ方をされてしまう典型的な作家の1人というイメージだ
だからラストのサプライズがどうだとか仕掛けがどうだとか、そういう面だけに焦点が絞られがちだ
大体さぁ、本格しか読まない読者に共通する風潮はさ、やれ地道な捜査場面が退屈だの、尋問シーンにうんざりだとかさぁ、物語の途中経過に興味が無い傾向が有るんだよな
終盤の解決編とオチや捻りだけを求めるようなね
バリンジャーはどう見たって本格じゃなくてサスペンス小説の作家だし、やはり途中経過こそが読ませどころだと思うんだよなぁ

「歯と爪」と並ぶもう1つの代表作「消された時間」にしても、どうしても叙述トリックばかりに目が行きがちだが、途中経過を抜きにして見たら魅力半減、いや1/10だろう
この叙述トリックはたしかに現代の観点から見れば使い古された手法である
しかしだ、カットバック的に2つの話が並行して語られるが、分量的に見てもその扱われ方の比重は1:9位の違いがある
一方の警察側の捜査場面は本当に僅かで大した内容は無い
つまりこの叙述トリックなんて、最後のオチを効果的に演出する為の伏線の意味位しか持っていない
この作品の持ち味は並行して語られるもう一方、必ずしも善良な市民なのかも疑問な記憶を失った謎の男の自分探しだと思う
人生の哀愁みたいな漂う雰囲気、このペーソスこそがバリンジャーという作家の持ち味なんだろう

No.1 4点 こう 2008/05/25 01:41
 同じ場所、同じ時間に倒れていた男が一章目は重体(記憶喪失)で二章目は死体で発見されその後カットバック方式で記憶を取り戻そうとする男の章と死体の身元を探る警察の章が交互に語られる話です。一章目、二章目が最後に重なり合うカットバック自体は有効ですがエンディングも歯と爪程の衝撃はなく尻すぼみ感が強いです。ミステリとしては平凡でした。


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ビル・S・バリンジャー
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