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[ サスペンス ]
煙で描いた肖像画
別邦題『煙の中の肖像画』
ビル・S・バリンジャー 出版月: 2002年05月 平均: 5.60点 書評数: 5件

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小学館
2002年05月

東京創元社
2002年07月

東京創元社
2002年07月

No.5 5点 ROM大臣 2023/11/30 13:17
主人公はシカゴに住む取り立て代行業者の青年。彼は祖父の遺産を元にある取り立て代理店を買収するが、引き継いだ未収金のファイルの中に気になる女を見つける。ファイルには女が美人コンテストに優勝した時の新聞の記事の切り抜きがあって、その写真を見た時、彼は驚いた。それは彼がハイティーンの頃、一目惚れした美少女だったのだ。
舞台は第二次大戦後のシカゴ。一つはその後の彼女を時間ごとに追っていく青年のストーリー、もう一つは男を利用して上流階級へと階段をのぼっていく女のストーリー。交互に語られる二つのストーリーが最後に合流した時、思いもよらぬ結末が待っていた。時代設定ほど古臭く感じないし、ほどほどにレトロな雰囲気が好ましい。

No.4 5点 E-BANKER 2014/04/27 20:54
1950年に発表された作者の代表作のひとつ。
同録の解説には、本作と「歯と爪」、「消された時間」が作者の三大名作と紹介されているが・・・

~古い資料の中から出てきた新聞の切り抜き。それは、ダニー・エイプリルの記憶を刺激した。そこに写っていたのは十年前に出会った思い出の少女だった。彼女は今どうしているのか? ちょっとした好奇心はいつしか憑かれたような思いに変わり、ダニーは僅かな手掛かりを追って彼女の足跡を辿り始める。この青年の物語と交互に語られていくのは、ある悪女の物語。二人の軌跡が交わった時、どんな運命が待ち受けているのか・・・?~

ひとことで言うなら「龍頭蛇尾」かな。
序盤から、二人の運命が交わる終盤までの盛り上げ方はさすがにウマさを感じさせる。
サスペンス性も見事で、いったいどういう結末が待ち構えているのだろうという期待感を抱かせてくれる。
その分だけ、ラストの捻りのなさが残念なのだ。
まぁ最近のドンデン返しにつぐドンデン返し・・・という作品ばかりの風潮もどうかなと思うのだが、やはりそういう手のジェットコースター・サスペンスを読み馴れた身にとっては、どうしても物足りなさが残ってしまう。

ただ、時代背景を考えれば十分だし、先駆性も勘案すべきだろう。
二つの物語を並行して描き、カットバックを多用して読者の興味を徐々に引き付ける手法もさすが。
何より、50年代のシカゴという舞台設定が魅力的。
男たちを踏み台にしながら、この大都会の中でのし上がっていく美貌の悪女と、その女を盲目的に追っていく平凡なひとりの男・・・何ともセピア色でノスタルジックな気分になる(?!)

ミステリーとしては評点はそれほど高くならないけど、読んで損する作品ではない。
何とも雰囲気のある名作という評価でもよいのではないか。

No.3 6点 2013/11/22 10:02
10年前に出会った少女(クラッシー)の記憶が古新聞の記事により呼び戻され、ダニーはそのわずかな手掛かりをもとに彼女の足跡を過去から現代へと辿りながら、彼女を探し求めていく。
一方のクラッシーは、生まれ育ちの悪さにも負けず、容姿を売り物に色仕掛けで、男たちを手玉に取りながら、要領よく賢く成り上がっていく。
ダニーの話は現在、クラッシーの話は回想。この2つの話が交互に展開する。
二人はいったい、どんな形で結ばれるのだろうか。

クラッシーの居場所を突き止めたかと思ったら数年前に姿を消していた、とやきもきさせられっぱなしだが、その次のページからは、姿を消すまでのその地でのクラッシーの暮らしぶりが語られる。読者を惹きつけるこのテクニックは、バリンジャーの得意とするところなのだろう。
中途では、ダニーとクラッシーの出会いがラブ・ストーリーとしての終着点になるのか、ミステリーとしての終着点になるのか、と想像しながら読み進んだが、出会いは意外に早く訪れた。
出会い後の一波乱が凄かった。想像以上のミステリー的な捻りもあった。でもラストのラストはパンチ力がやや弱い。

軽いタッチでさらっと読めるからイイ話なのかと勘違いしそうだが、ブラック・ユーモア以上に怖い話だった。とくに男にとっては。

No.2 7点 りんちゃみ先輩 2009/05/16 16:38
女を武器にどんどんエスカレートしていく手口、それにまんまと騙される何人もの男たち、時を追って話は進んでいく。サスペンスタッチの怖いお話でした。男はどこまで馬鹿なのでしょう。おもしろく読ませてもらった。

No.1 5点 こう 2008/07/06 23:06
 主要登場人物はわずか2人で事務所を引き継いだ私立探偵ダニーがファイルの中の写真の女性を気に入り、追跡してゆく章とその女性クラッシーの半生の章が交互にくるカットバック方式のサスペンスです。
 この2人が交錯する最後までのストーリーは面白いですが、謎があるわけではなくサスペンスとしての盛り上がりがメインと思われます。ラストは腰砕けな感じでした。 


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ビル・S・バリンジャー
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