皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 思い通りにエンドマーク 思い三部作 |
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斎藤肇 | 出版月: 1988年06月 | 平均: 4.67点 | 書評数: 6件 |
講談社 1988年06月 |
講談社 1993年08月 |
No.6 | 5点 | nukkam | 2022/09/16 01:39 |
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(ネタバレなしです) ショート・ショート作家として1980年代前半にデビューした斎藤肇(さいとうはじめ)(1960年生まれ)の初の長編作品が1988年発表の本書です。当時は「十角館の殺人」(1987年)の綾辻行人を皮切りに次々と新本格派推理小説の書き手が登場していますが、ユーモア本格派を意識したものとしては我孫子武丸の「8の殺人」(1989年)と並ぶ作品ではないでしょうか。もっとも肩の力を抜いたかのような雰囲気はあるものの派手などたばたとか丁々発止のやり取りはほとんどなく、主人公の空回り気味の捜査もやや単調な感じがします。「読者への挑戦状」ならぬ「作者への挑戦状」を挿入しているのが作者の工夫ではあるのですが推理は結構強引で、よくあれで犯人が反論しなかったなあと思いました。しかし31章で図解付きで説明されるトリックはなかなかよく考えられていると思います(某ミステリー漫画で流用されてましたね)。余談ですが13章の「普通の生活の上では、ワープロを使う必要はほとんどないと言える」という文章は、ワープロ機能搭載のPCが普及している現代とは隔世の感がありますね。 |
No.5 | 5点 | 人並由真 | 2017/08/03 08:50 |
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(ネタバレなし)
うーん……。なんというか、みなさんのツッコミや不満はわかるんだけど、良い意味ですんごく可愛げがあり、嫌いになれない作品だった。 嬉し恥ずかしのミステリギミック的な茶目っ気のつるべ打ちも、世間にこれが大きく評価されていたら怒ってしまうんだろうけど、近代国産新本格の草創期? に書かれて時代のなかに消えていった短期シリーズの一冊と思えば許せてしまう。 特に後半の真・名探偵が、事件の構造に不審を抱くあたりの説得力は個人的にツボ(どっかで似たようなのを読んだような気もするが)。 シリーズの残りもそのうち読んでみようと思います。 |
No.4 | 5点 | メルカトル | 2013/01/16 20:20 |
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再読です。
本棚から溢れた本を整理していて、たまたま目に付いた一冊。 今ひとつ覚えていなかったので、読み直してみようかと思い立ったのが運の尽き。 主人公である学生の僕が名探偵よろしく、いわゆる嵐の山荘状態での連続殺人を解決して凱旋するのだが、そこに待ち受けていた陣内先輩に一刀両断される。 曰く「お前の推理は滅茶苦茶だ」。というわけで、一旦解決を見たかに思われた密室絡みの連続殺人事件の真相を暴きに、陣内先輩と僕は再び惨劇の館へ向かう。 その前に「作者への挑戦状」(読者への挑戦)が挿入されるが、正直、真犯人はボンクラの私にも丸分かりであったし、動機も予想通り。 これだけ分かり易い謎も珍しい。 アリバイトリックはなかなかよく考えられているものの、密室トリックには大きな疵がある。 よく読めばいくつかの疑問点やアラが見えてくる、とても高得点は望めない凡作であろう。 |
No.3 | 4点 | 江守森江 | 2009/12/14 10:05 |
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新本格ムーブメント初期にデビューした作家の一人でデビュー作。
舞台設定、提示される謎、変種な読者挑戦「作者への挑戦状」等、コード型本格の体裁で、そのままロジック一本で直球勝負なら嗜好のド真ん中だったが・・・・・。 挑戦状を挟む事で前半の探偵役の推理を否定しドンデン返しをしている。 しかし、論理的に前半のダミー推理は否定されない。 アンチ・ミステリ的でスッキリした論理的帰結を得られず好きになれない。 本来なら3点だが、名探偵?な下宿のおばさんに+1点。 |
No.2 | 5点 | 測量ボ-イ | 2009/05/23 18:48 |
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著者のデビュ-作で力作だとは思いますが、トリックも
ありきたりで、登場人物のキャラ立ちもあまり印象に残 らなかった感じでした。 |
No.1 | 4点 | Tetchy | 2008/05/03 00:22 |
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新本格ブームの最中、雨後の筍のようにデビューした作家の1人で、これがデビュー作。
もうあの頃のコード型本格ど真ん中で、舞台も断崖に建つ洞窟を利用した館で、お約束のように唯一の外部との連絡手段である吊り橋が切れ、密室殺人、連続殺人が発生します。 一応の解決の後、さらにどんでん返しが待っているが、定型を脱していないという印象。 でも本格に対する根源的な問い掛けを作中でしており、求道的な作品でもあると云えるが、文体といい、内容といい、その軽さがその作者の思いを減じているのは否めない。 ま、こういうのが好きな人はどうぞ。 |