海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!


思いあがりのエピローグ
思い三部作
斎藤肇 出版月: 1989年06月 平均: 6.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


講談社
1989年06月

No.1 6点 メルカトル 2025/05/28 22:18
まず文章について。時折一瞬の煌きを捉えた清冽な表現力にハッとさせられました。シリーズ二作に関してはかなりの酷評を受けて、本作に至っては今まで長きに亘って誰も書評していません。既に見切られたと考えても良いでしょう。しかし、これに限っては悪くないと思いました。全体を通して名探偵の存在意義を読者に問いかけている様に感じます。その為、結果的に衝撃のエピローグが冒頭に配置されているのです。

トリック自体はショボいし、解決編があっさりし過ぎていて物足りません。斎藤肇と云う人はもっとデキる人だと思っていましたが、結局いつも裏切られて非常に残念でなりません。ただ本格ミステリ愛は十分伝わってきました。欠点ばかり目立つような物言いになってしまいましたが、決して凡作ではないと思います。目を瞠るような文章力や的確な人物造形、凝った構成に謎めいた連続殺人事件は新本格マニアにとっては注目すべき点も多いです。又最後に配された名探偵論はなかなかのものだと思いました。ちょっと洒落たオマケもついていますし、愛すべき本格ミステリと言わざるを得ません。


キーワードから探す
斎藤肇
2001年09月
たったひとつの 浦川氏の事件簿
平均:5.00 / 書評数:2
2000年01月
廃流
平均:6.00 / 書評数:2
1991年08月
あいまいな遺書
平均:4.00 / 書評数:1
1989年06月
思いあがりのエピローグ
平均:6.00 / 書評数:1
1989年03月
思いがけないアンコール
平均:3.50 / 書評数:4
1988年06月
思い通りにエンドマーク
平均:4.67 / 書評数:6