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[ SF/ファンタジー ]
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
ハリー・ポッター
J・K・ローリング 出版月: 2001年07月 平均: 7.00点 書評数: 2件

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静山社
2001年07月

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No.2 7点 Tetchy 2025/04/05 00:30
ハリー・ポッターシリーズの最大の特徴は何といっても最後の対決シーンで明かされる真相である。それらは常に驚きを与えてくれていた。
1作のハリーを襲った犯人、2作目の怪事件の犯人しかり。
しかもそれらがかなりショッキングな驚きを持っていたために印象強く残っているのだが、今回は題名にもあるアズカバンの脱走囚こと、シリウス・ブラックのハリーへの襲撃とシリウスがアズカバンに収容されることになった過去の事件の内容に焦点が置かれている。

シリウス・ブラックがヴォルデモートの手先であり、ハリーの父親を殺害するのに手を貸したという過去の事件の真相は、またも英国本格ミステリらしいミスディレクションで今回も堪能できた。特に今回はロジックがひっくり返るというところに力点があったように思う。

この作者が巧いなぁと感じさせられるのは、巧みに事実の断片を散りばめていること。読者の思考を勘違いさせる方向へ持っていくその手腕は今回も健在。
恐らく世の少年少女、ファンタジー好きの大人は作品に出てくる面白い道具、授業、空想の動物などに興味を持っているのだろうが、私はこの作者のミステリ・マインドに大いに興味があるのだ。

ロジックに力点があった点、最後の対決、クライマックスシーンはなんとも薄味だという気がするのは、やはり映画で観たとき同様であった。
そして難問をタイムスリップして過去に戻ってから解決するのは非常にアンフェア、いやミステリ作品ではないので非常に浅慮だ。
これだと何でもありになってしまうからだ。
作者はタイムスリップ中は誰ともあってはならないなんて制約を持たせることで一応常用性が低いことを訴えているようだが、それもまた空しい響きである。

とまあ、やはり今までのクオリティ、特に第2作の複雑さに比べるとご都合主義が散見されて、評価自体も低くなってしまうのだが、本作には1つ特徴があることも忘れてはならない。

1・2作で設定していたキャラクターを大いに活用し、しかもその1つを敵役にしている点。これはシリーズ小説の強みだが、よほど注意して書かないと矛盾を起こす恐れ大なのでかなりの技巧がいる。ハリー・ポッター世界を彩るだけの設定で設けていたであろうキャラクターが今回は実に有機的に働く。この辺のカタルシスは堪らなかった。

暴れ柳の理由、スネイプがハリーを目の敵にする理由も今回明らかになるのだが、しかし何といってもやはりロンのペット、スキャバーズの正体が白眉。
この設定は実に天晴だと思う。ウィーズリー一家がこのネズミを飼いだして12年かどうかは1・2作を読み返さないと判らないが、これに持ってくるのがすごい。
今回の隠れテーマである『動物もどき』を思いついた時点での創作かもしれないが、素直にびっくりした。
こういう過去の設定の消化が始まると、物語も1作ずつではなくシリーズとしての動きを感じる。

No.1 7点 クリスティ再読 2025/04/04 11:52
さてハリポタ3作目。この頃にはブームが到来していたことになる。
前2作は確か漫喫で読んだのだが、これは買った記憶がある。当時に買ったハリポタ単行本は場所塞ぎなので、全部図書館に寄贈してしまった。お役に立っていることだろう。

当時はあまり印象がよくなかったな。やはり終盤の大逆転を可能したグッズがチート過ぎてアンフェアに感じたのと、スネイプ視点だと「いじめ」と呼ばれても仕方のないくらいのことを親世代がしていたせいだろう。まあだからこの印象がどこまで再読で変わるか?というのが興味深かった。あのチートグッズは確かに「矛盾がでざるを得ないし、ゲームバランスを崩す」と皆がツッコむものであることは否定できない。

再読の印象としては、なかなか緻密に組み立てられていて、矛盾の悪印象は薄れた。この話のキーワードは「保護者」なんだ。「エクスペクト・パトローナム」ってまさにそういう意味であり、だからこそ「賢者の石」で「みぞの鏡」にハリーがハマりかけたことも一種の伏線みたいに機能しているんだと思うよ。そういう情感をいいところで仕込んであるのが、児童文学にも謎解きにも収まらない「作品の幅」みたいなものになっていると思う。

(「忍びの地図」のチート度もすさまじいことにも気づく(苦笑)がこのチートグッズっぷりは次の「炎のゴブレット」で真価を発揮するんだ。そういえば過去の事件の真相って「テ〇〇〇〇のパ〇〇〇」だよね...)


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