皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] グレイシー・アレン殺人事件 別題『グレイシイ・アレン殺人事件』 |
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S・S・ヴァン・ダイン | 出版月: 1957年01月 | 平均: 3.71点 | 書評数: 7件 |
早川書房 1957年01月 |
1961年02月 |
東京創元社 1961年02月 |
仙仁堂 2016年11月 |
No.7 | 6点 | 虫暮部 | 2023/01/26 13:04 |
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被害者の身許……ヴァン・ダインがこんな形で読者を引っ掛けに来るとは想定外だ。グレイシーの喋り方は赤毛のアンみたい。ヴァンスもマーカムも少し遠巻きに、背伸びする姪っ子をあしらうように対応しているでしょ。実は彼女が14歳であった、と言う叙述トリックかも? “瀕死の狂人” のキャラクターもかなり美味しいけれど、あまり生かされていないなぁ。 |
No.6 | 2点 | レッドキング | 2020/11/15 18:21 |
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二人の登場人物・・妖精にして天然詩人のヒロインと虚無的哲学者のラスボス・・が魅力的。特にヴァンスとラスボスの「哲学対話」章は実に素晴らしく、知識人:W・H・ライトの面目躍如。 あんな場面、クリスティ、カーは無論、クィーンにも書けないだろう。 |
No.5 | 3点 | ボナンザ | 2019/03/09 18:05 |
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ヴァンダインの12作の中でも最低の一作。評価すべき個所がない。 |
No.4 | 3点 | クリスティ再読 | 2018/01/02 18:56 |
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ヴァン・ダインの駄作で有名な本作なんだけど、さすがにグレイシー・アレンがどういう女優か知らずに読むのはいかがなものか?と評者は思って、パブリックドメインDVDを探していたら、アステア映画に1作だけ出てるんだよね。「踊る騎士」で、これはアステア映画を集めた9枚組1800円の「フレッド・アステア セカンドステージ」に収録されている。アステア好きなら買って損はなし。
で問題のグレイシー・アレンだが、小柄な美人で、素っ頓狂なアニメ声でトンチンカンな話をペラペラしゃべる女優さん。ミスマッチ感が面白い。「踊る騎士」の中盤に遊園地でアステアと相方のバーンズと一緒に踊るけど、これがなかなか達者で、しかも歌える。「踊る騎士」のメインヒロインであるジョーン・フォンティン(ヒッチの「断崖」の人)が踊れない・歌えないでお荷物だったのと比較すると、完全に主演ヒロイン(まあ香盤も上だし)。ヴァン・ダインなかなかお目が高い..といいたくなるくらい。難は小男のアステアと並んでもさらに小さく、正規のダンスパートナーはきついくらいに小柄なことと、アニメ声、お笑い芸風なあたりがある。ダンナのジョージ・バーンズは長らく映画に出続けた人だけど、グレイシーの出演作品は意外に少ない(黎明期のTVで夫婦の番組があったらしいが)。アメリカではかなり有名な女優さんのようんだけども、もう少し映画で活躍してたら、日本ではヴァン・ダインの本作に名を留めるだけな女優に終わらなかっただろうなあ。 肝心のヴァン・ダインのミステリの方はどうか、というと、とにもかくにも小説として退屈すぎる。内容も薄いから、短編でもよかったんじゃないか、と思うくらい。まあそれでも、グレイシー・アレンの芸風を意外に忠実に記録している印象はある。「踊る騎士」では出ないのだが、「兄さん」はグレイシーの有名な持ちネタだそうだ。映画史では埋もれちゃった多芸な女優、グレイシー・アレンの名を忘れ去らせなかったのが、本作の唯一の取柄というものか。 (内容1点+グレイシーアレンの芸風の忠実な記録1点+オマケのヴァンス伝がなかなかいいので1点=3点、でいかが?) |
No.3 | 4点 | 青い車 | 2017/02/24 18:56 |
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ヴァン・ダイン12長篇の中で一番の失敗作はこれだと思います。作風とミスマッチな人物がいるだけでなく、その人物を十分活かせず散漫な印象の話になってしまっているのが大きな減点要素です。完全に映画化目的で書いたということもあってか、作者の気合が感じられない、やっつけ仕事的な出来に終わってしまった感があります。 |
No.2 | 4点 | 空 | 2015/09/10 22:35 |
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映画化されたミステリはずいぶんありますが、実在の女優の名前を、その女優の出演を念頭においてタイトルに入れた小説なんて、めったにないでしょう。前作までだけでなく、次作『ウィンター殺人事件』でも踏襲している6文字単語のタイトル・パターンを唯一崩しているのが、作者自身の本作に対する態度を示しているようにも思えます。「[登場人物名]殺人事件」で、その登場人物が犯人でも被害者でもないのもまた、珍しいでしょう。
悪党の脱獄に始まる第1章でのヴァンスのセリフには、お前はマイク・ハマーかと言いたくなります。謎解き的には、ある勘違いが真相の意外性を支えていますが、その勘違いが起こる顛末は冗談みたいなものです。その真相も含め軽いタッチは、本サイトでジャンルをコージーにしている人がいるのも、なるほどと思える内容でした。ヴァン・ダインって、なんとコージー最初期の作家でもあったんですね。 |
No.1 | 4点 | nukkam | 2012/01/13 18:47 |
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(ネタバレなしです) 前作の「誘拐殺人事件」(1936年)がセールス的に失敗し、出版社からの要求を丸呑み(?)して実在の喜劇女優グレイシー・アレン(1902-1964)とその夫のジョージ・バーンズまでも作品に登場させた1938年発表のファイロ・ヴァンスシリーズ第11作の本格派推理小説です。ユーモア・ミステリーを狙ったのであったらやはりヴァン・ダインの作風にはミスマッチだったとしか言いようがありません(映画化もされてますがこれも失敗だったそうです)。どたばた展開もぎごちなく、第16章から第17章の展開ではここで笑うべきなのかシリアスに読むべきなのか私は途方にくれました。むしろ暗く重苦しい雰囲気のカフェ描写などの方が印象に残りました。 |