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[ SF/ファンタジー ]
あらゆる薔薇のために
潮谷験 出版月: 2022年09月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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講談社
2022年09月

講談社
2024年01月

No.2 6点 猫サーカス 2024/09/23 18:21
物語の鍵となるのは、オスロ昏睡病という架空の病気。これは幼少期に限って発症する難病で、罹ると完全な昏睡状態に陥った後、目覚めた時に以前の記憶を一切持ち合わせていない状態になる。だが、開本周大問いう医学博士が特効薬を開発し、患者の意識を取り戻せるようになったのだ。しかしこの治療法には、快復した患者の表皮に薔薇に似た腫瘍が現れる不思議な副作用があった。京都府警の八嶋要警部補は部下の阿城はづみとともに、オスロ昏睡病患者とその家族らの交流の場である「はなの会」を訪れる。昏睡病治療の功労者である開本博士と元患者の高校生が立て続けに殺害される事件が発生し、その手掛かりを掴むために「はなの会」に探りを入れることになったのだ。現実にはない奇病が絡む事件に刑事が挑む、という部分を読む限りでは特殊な設定を使いつつ、直線的な警察捜査もののプロットで読ませる作品の印象を抱くが、第二章に入ると、殺人事件とは別の謎が浮かび上がり、物語は思わぬ方向に転調する。ロジックの積み重ねによる真相の絞り込みが美しい。加えてその過程に意外性をもたらすための面白い工夫も盛り込まれている。

No.1 5点 八二一 2023/11/26 20:25
難病治療の後遺症として薔薇形の腫瘍を持つ人々が襲われる事件の謎を探るミステリ。
腫瘍の性質をロジカルに突き詰めてゆく謎解きも面白いが、終盤にSFとして思わぬ飛躍を見せる。


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潮谷験
2024年07月
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