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[ パスティッシュ/パロディ/ユーモア ]
名探偵再び
潮谷験 出版月: 2025年04月 平均: 6.00点 書評数: 2件

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講談社
2025年04月

No.2 7点 人並由真 2025/08/29 12:22
(ネタバレなし)
「私」こと、貧乏な元・私立探偵を親に持つ女子中学生・時夜翔は、<学校に相応に貢献した者の親族や関係者には、優待的な措置をとる>という条件に惹かれ、私立「雷辺」女学園に入学する。翔の大叔母にあたる同校の30年前の在学生・時谷遊は校外にも名を轟かせた少女探偵だったが、大犯罪者「M」と相討ちになりわずか16歳で夭逝した伝説的な人物だった。その遊の血筋ということでさまざまな優待を受ける翔だが、同時に周囲は<伝説の少女名探偵の再来>として翔の推理力に期待を込めた。自分が名探偵でもなんでもないと自覚する翔は周囲の期待を裏切らないように(現状の厚遇を維持できるように)「名探偵」役を演じようとするが、そんな彼女には意外な出会いが待っていた。

 「雷辺(らいへん)」だの「M」だののキーワードからわかる通り、かの大名探偵の一大イベントにちなんだパロディ風味の強いパズラーで、連作事件の積み重ねが長編作品となるタイプのもの。
 なお目次にはあえてこの事件は何ページから、とノンブル数を記載しておらず、つまり各編(各事件)が短めなのか長めなのか一本一本を読み終えるまでわからない趣向なのも、妙にスリリングでいい。
 日常系(?)の謎パズラーとしては、個人的には第1話の解法がいちばん面白かった。

 で、全体のナニについては、ある程度まで読めていたが、自己採点すれば100点満点で40点くらいか(←私の先読みの的中度が)。なるほど、実際の作中のサプライズは、予想のやや斜め上で、しかもキレイに決まっていた。

 遊び心としゃれっ気を感じさせながら、ちょっと甘苦い青春ミステリの持ち味も備えた作品。 
 他愛ない、と切って捨てる人もいそうな感じでもあるが、その辺のどっか一流半的な感覚も含めて、なかなか愛おしい一冊だった。

No.1 5点 虫暮部 2025/07/18 11:58
 第三章までの事件はポイントが摑みづらく、イマイチ気持が奮い立たなかった。読み返せば理屈としては納得出来るけれど。伝聞で語られるせいかな?
 と言う分析を裏付けるかのように、事件に直接遭遇する第四章で一気に面白くなり、最後のサプライズには脱帽。
 前半もっと上手く書ければ、とは思うが、一人称記述も伝聞も、設定上の必然だろう。どうしたものか……。


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