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[ サスペンス ] 滅びの笛 |
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西村寿行 | 出版月: 1976年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
光文社 1976年01月 |
光文社 1979年12月 |
KADOKAWA 1980年04月 |
光文社 1987年08月 |
廣済堂出版 1997年09月 |
徳間書店 1999年05月 |
No.1 | 6点 | E-BANKER | 2019/12/04 21:59 |
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比較的初期の作品。文庫帯には「長編サスペンス小説」とあるが、ウィキペディアでは「パニック小説」に分類されている。
なんと直木賞候補にもなった作品とのこと。 1976年の発表。 ~南アルプス山麓を登山中のハイカーが人間の白骨死体を発見した。死体は鼠に喰われたものと推論された。70年に一度というクマザサの大量開花で、鼠が異常繁殖の兆候を見せているという。関係官庁の対策は後手に回り、犠牲者が続出、事件はただならぬ様相を深めた。数十億の鼠の大群と人間の壮絶な闘いを描く壮大なサスペンス~ とにかく「ネズミ」「ねずみ」「鼠」・・・はたまた「鼠」である。 何と20億匹を超える鼠の大群(!)。甲府市は鼠の大群で壊滅させられます。(甲府市の皆さんご愁傷様です) 鼠にあっという間に骨にされる人間。鼠が民家のガスホースを齧ったために起こる大火災で焼け死ぬ人間。そしてあろうことかペスト=黒死病までもが流行してしまう! 人知を超えた考えられない阿鼻叫喚の世界が描かれる。 鼠の大群は東へ東へ向かう・・・当然行き着く先は「東京」と思われた矢先。 政府、東京都は自衛隊のあらゆる兵器を準備して対抗しようとする。火炎放射器、重装甲車、ナパーム弾を搭載した軍用ヘリまで・・・ それでも鼠の大群は防衛網を突き破るのではないか・・・そんな悲壮感すら漂ってきた終章。 唐突な形で幕切れが訪れる。 いやいや・・・何とも言えないパワーというか熱量のこもった作品。 ありえない設定なのだが、作者の得体の知れない筆力によって、最後まで飽きることなく読まされたという感が強い。 ただ、「有り得ない」「有り得ない」と思っていたけど、よくよく考えてみれば、今年発生した台風19号による大水害も人知を超えた想定外の事件だったよなぁー。もちろん鼠と水では比べようがないけど、自然をコントロールするなんていうことは人間のエゴでしかないということなのだろう。そんなことを何十年も前に予知していたのかもしれない。 そして、寿行ファン(?)の皆さん、ご安心ください。本作、ノン・エロスではありません。 ただ、初期作品なので、あまり期待しすぎるとがっかりするかもしれないのでご留意ください。 |