海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 青春ミステリ ]
教室が、ひとりになるまで
浅倉秋成 出版月: 2019年03月 平均: 6.50点 書評数: 6件

書評を見る | 採点するジャンル投票


KADOKAWA
2019年03月

KADOKAWA
2021年01月

No.6 6点 ぷちレコード 2024/03/16 22:13
三人の死を自殺だと信じていた垣内友弘は、クラスメイトの白瀬美月から、三人を殺したのは正体不明の「死神」であり、自分も命を狙われていると打ち明けられる。その後、友弘のもとに謎の手紙が届いて間もなく、他人の嘘を見破る能力が彼に備わる。特殊な能力を授けられた生徒は、彼以外に三人いるらしい。
主人公が自分以外の能力の持ち主を知らず、しかも他人の三人の能力の中身も知らないという設定であり、誰がどうやって三人もの生徒を自殺としか思えないやり方で死に至らしめたのかをロジカルに推定する過程は、異能バトルと頭脳バトルが有機的に統合していて極めてスリリング。悲痛な感情のぶつけ合いの中で動機が明らかになるクライマックスも鮮烈。

No.5 6点 まさむね 2023/06/26 21:26
 高校で立て続けに発生した生徒の自殺。遺書には同じ文章が書かれていたらしい…。
 一般的な学園ミステリかと思っていた矢先、突然ぶち込まれるSF要素。何の事前知識なく読み始めた者としては「そっち系だったかぁ」といった軽い驚きがございました。で、心も新たに?特殊設定ミステリとして読み進めますと、隠された能力の謎を含めてなかなかに興味深く、グイグイ読まされました。達者な作家さんだなぁ、と思います。
 一方でモヤモヤする点も。学園青春ミステリ的な要素も十分に備えていて、その時期特有の悩みも分からないではないのだけれども、だからといって何人も殺していいわけではないし、有耶無耶にしていいわけでもないような…。どうしても、犠牲となった生徒の家族に思いを巡らせてしまう自分がいたりします。

No.4 6点 パメル 2022/07/03 08:10
私立高校で三人の生徒が立て続けに自殺した。死ぬ動機もなく、後追い自殺の理由もないにもかかわらず、三人とも同じ文面の遺書を残して死んだのだ。クラスメイトの白瀬美月から「死神」に命を狙われていると聞いた垣内友弘は、その直後、人の噓を見抜く不思議な力を与えられ、連続死の謎に挑むことになった。
校内には特殊な能力を持つ人間が四人いるが、本人がその秘密を他人に明かすと能力は失われてしまう。しかも、一人一人に与えられた能力は異なっているので、友弘は誰がどんな能力を持っているのかもわからぬまま真相に迫らなければならない。
三人の連続死には誰かの能力が関係しているのか。書きようによっては何でもありになりそうな設定だが、異能バトルをロジカルに組み合わせた展開はとても興奮させられるし、登場人物たちが自らの置かれた環境への違和感をぶつけ合うクライマックスの重苦しい絶望とわずかな希望が交錯する悲痛さは、学校という独特の閉塞感や居心地の悪さを感じたことのある人には突き刺さるのではないだろうか。

No.3 6点 makomako 2021/06/05 13:13
こういった現実にはあり得ない設定をあらかじめしておいて、その中での理論的推理?を楽しむといった小説は最近時折見かけます。確かに本格物においてそのロジックとオリジナリティーが重んじられると、ネタ切れとなってしまうことは明らかです。
 こういった条件設定をしておけばある意味いくらでも小説が書けることとなりましょう。
 ただしきちんとした魅力のある設定でないと、誰も入りえない密室に超能力で瞬間移動したなんてことになってしまう。なかなか難しいのかもしれません。
 本書はそう言った面では超能力が極めて制限されており、その中での推理といった設定がきちんと守られているのでまずまず。

No.2 7点 HORNET 2020/08/29 13:49
 私立北楓高校で、1カ月の間に2年生の生徒3人が続けて自殺した。不幸な偶然かと思いきや、3人の遺書には「私は教室で大きな声を出しすぎました。調律される必要があります。」という同じ言葉が書かれていたという。学校に不穏な空気が流れる中、2年生の垣内友弘のもとに一通の手紙が。そこには「北楓高校には代々、4つの特殊能力が受け継がれており、その一つ『嘘を見抜く能力』を今回、友弘に引き継ぐことにした」との内容が。信じられない内容だったが、翌日それが本当であることを体感する。では、他の3つの能力を受け継いだのは誰なのか?連続自殺はその能力を使った「殺人」なのか?同級生に探りを入れながら、事件の真相に迫ろうとする―

 友弘以外の3つの能力がどんな能力なのか、そして誰がもっているのか、さらには3人を自殺に追い込んだのは誰か、と、謎が幾重にも重なっており、それを一つずつ解きほぐしていくストーリーは展開に退屈さがなく、非常に面白かった。
 特殊能力の内容も、主人公の「嘘を見抜く力」のように、強大過ぎない加減で、それが謎解きによく作用していたと思う。

No.1 8点 sophia 2020/02/16 00:03
あらすじからは予測できないSFミステリー。設定がとても面白いです。この設定で引き込まれない人はいないでしょう。最初は「デスノート」かと思いましたが、「ジョジョの奇妙な冒険」の「スタンド」や「HUNTER×HUNTER」の「念能力」に着想を得ているのかもしれません。調べたらこういうSF的な作品が得意な作家さんのようですね。能力のヒントを自伝にさりげなくちりばめているところがとても上手い。主人公が何か隠している風な描写だったのもやはり意味がありましたし、バイト先の先輩や路上ミュージシャンなどサブキャラクターたちに最後世界をひっくり返される構成も効いています。ただ、文章がところどころ軽くて変なんですよね。もっと硬質な筆致でいいと思うんですけど。あと、〇〇〇〇〇の自殺の理由が遺書を読んでもよく分かりませんでした。


キーワードから探す
浅倉秋成
2024年10月
まず良識をみじん切りにします
2024年03月
家族解散まで千キロメートル
平均:5.67 / 書評数:3
2022年05月
俺ではない炎上
平均:7.10 / 書評数:10
2021年03月
六人の嘘つきな大学生
平均:7.47 / 書評数:19
2019年06月
九度目の十八歳を迎えた君と
平均:6.22 / 書評数:9
2019年03月
教室が、ひとりになるまで
平均:6.50 / 書評数:6
2016年07月
失恋覚悟のラウンドアバウト
2013年03月
フラッガーの方程式
2012年12月
ノワール・レヴナント