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[ 本格 ]
ローリング邸の殺人
ノートン・ケイン警部
ロジャー・スカーレット 出版月: 2005年12月 平均: 5.33点 書評数: 3件

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論創社
2005年12月

No.3 5点 nukkam 2016/08/03 07:28
(ネタバレなしです) 本格派推理小説のケイン警視シリーズ第5作にしてスカーレットの最終作となったのが1933年発表の本書です。登場人物がみんないわくありげな態度をとり、どこかつかみどころのないような展開が続くので中盤のサスペンスは不足気味ですが主要登場人物を6人に絞り込んでいるためか意外と読みやすいです。結末のどんでん返しが見事で、(強引な仕掛けではあるので)読者によってはあまりにも非現実的な真相だとお気に召さないかもしれませんがアイデアとしては非常に秀逸で個人的には十分に楽しめました。

No.2 5点 mini 2015/10/04 10:43
先日に論創社からマーガレット・ミラー「雪の墓標」とロジャー・スカーレット「白魔」が刊行された
某超有名掲示板では以前から「白魔」はいつ出るの的な投稿が多く、今年の論創の予定の中でも一番人気だったのが笑える

本国アメリカでも忘れ去られているのに、世界中でも日本だけで異常な人気のある作家が何人か居るが、ロジャー・スカーレットはその代表格だろう
海外で選ばれた名作表や里程標は昔からわが国にも紹介されてきたが、その中にこの作家名を見た記憶が殆どない、とにかく日本だけでの人気作家なのだ
日本の読者ってよくよく”館もの”が好きなんだな
”館もの”という舞台設定が大嫌いな私としては、ロジャー・スカーレットなんて全く興味の無いどうでもいい作家の1人である

某有名掲示板なのでも全作出せという要望が絶えないスカーレットだが、実は長編がたった5作しかなく、その最後の作が「ローリング邸」である
この「ローリング邸」は、あのクソつまらなかった第1作「ビーコン街」に比べたらかなりマシな出来だと思う
と言うのも、アマチュア書きみたいないかにもな”館もの”だった「ビーコン街」と違い、「ローリング邸」は”邸”という語句が付いている割にはいわゆる”館もの”っぽくないんだよね
どちらかと言えば外部の人間との接触が重要なトリックで、館自体の存在があまり重要な意味を持っておらず、”館もの”らしい雰囲気も希薄だ
典型的な”館もの”というスタイルを求めるような読者には肩透かしかも知れないが、気の利いたトリックが仕掛けられており、むしろ私のような”館もの”というシチュエーションに何の愛着も無い読者の方がかえって楽しめる作かも

No.1 6点 kanamori 2012/04/18 18:40
”館もの”の本格ミステリのみを5作書いたスカーレットの最終第5作。
”ロジャー・スカーレット”は女性2人の合作ペンネームで、いわば筆名で二人一役と性別誤認トリックをやっている訳ですが(笑)、本書でもそれに匹敵する非常に大胆なトリックが用いられており、途中でそれに気付くかどうかで大きく評価が分かれそうな作品です。
多少無理があるようには思いますが、登場人物が限られている中で、意外な犯人像を設定した手腕は認めたい。また、病気療養のため休職中のケイン警視が身分を隠している状況をはじめとして、最後に明かされる数々の伏線も見事です。


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ロジャー・スカーレット
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