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[ 本格 ]
ビーコン街の殺人
ノートン・ケイン警部
ロジャー・スカーレット 出版月: 2007年12月 平均: 4.00点 書評数: 2件

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論創社
2007年12月

No.2 6点 nukkam 2015/08/16 22:26
(ネタバレなしです) ロジャー・スカーレットは男性名ながらその正体はドロシー・ブレア(1903-没年不詳)とイヴリン・ペイジ(1902-1977)の2人の米国人女性によるコンビ作家です。活躍時期は大変短く、1930年代にケイン警視を名探偵役にした本格派推理小説を5作発表したきりです。余談ですがInspectorは米国では警視、英国では警部だというのを本書の論創社版で初めて知りました。道理で海外ミステリーの肩書き表記にばらつきがあるわけです。1930年発表のデビュー作である本書ですが、人物の心理描写がそれほど上手い作者でないのでケイン警視による犯人の性格分析がなるほどと感じにくいのが弱いですが全体としては手堅くまとめられています。第一の事件の密室トリックを早い段階で明かしていますが、大したトリックでないのでなまじ終盤まで謎のままにするよりはよかったと思います。それから些細な点ですが論創社版の最終章で「非常」と「非情」を取り違えているような翻訳があったのが気になりました。翻訳といえば本書は1940年に日本で翻訳出版されたことがあるそうですが、何と原書の四分の一程度に切り刻まれた抄訳だったとか。それはもはや短編ミステリーですね(笑)。

No.1 2点 mini 2009/04/15 10:49
本国アメリカですら忘れ去られてるのに、世界中でも日本だけで不思議な人気がある作家が何人か居るが、ロジャー・スカーレットはその筆頭に挙げられる存在だろう
お屋敷もの館もの中心で、物語性を膨らませるわけでもなくストレートに謎解きだけ、しかも館もの愛好家が期待するイメージ通りのサスペンスを散りばめてと、まさに日本の読者がいかにも好みそうな作家である
私はCCや館ものには全く興味のない読者で、何で容疑者達がそれぞれの自宅に住んでいて探偵側が尋ね歩く設定じゃだめなんじゃ、といつも疑問に思っている
今の日本でハードボイルド私立探偵小説が人気がないのは、暴力シーンがどうのこうのは後付けの理屈で、私立探偵小説の多くは登場人物が1ヶ所に集合しておらず、各々の自宅を探偵側が訪問するという形式が嫌われるからが理由ではないかと密かに類推しているのである・・多少冗談も入ってますが
「ビーコン街」は作者のデビュー作だが、まるでアマチュアが書いたかのような感じで、物語に膨らみがなく正直言って味気ないという感想しか持てない
真犯人も中途でこの書き方ならこいつしかないだろ、という予想通りだった、というか容疑者自体がかなり限られてるし
これが論創社から出るにあたって二階堂の強い働きかけがあったらしいが、うむたしかに二階堂みたいなのがこういうの好みそうだよな


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