皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 死を奏でるギター 「死を運ぶギター」改訂 |
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大谷羊太郎 | 出版月: 1977年07月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
広済堂出版 1977年07月 |
新潮社 1986年01月 |
アドレナライズ 2016年09月 |
No.1 | 5点 | nukkam | 2017/02/20 01:06 |
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(ネタバレなしです) 大谷羊太郎の出世作は乱歩賞を獲得した「殺意の演奏」(1970年)ですが、それよりも前に書かれて乱歩賞に挑戦した(そして受賞を逃した)本格派推理小説が3作もあります。その1作「美談の報酬」(1967年)に陽の目を見させたいと考えたのか、改訂して「死を運ぶギター」(1968年)として雑誌掲載しました。それをさらにまた改訂して1986年に「死を奏でるギター」として発表しています(私が読んだのはこれです)。作中時代は1985年、主人公の若杉は殺人事件の容疑者となっただけでなく34年前の学生時代に起きたギターの盗難事件の謎解きもしなくてはなりません。ミュージシャン出身の作家だけあって音楽界描写には非常に力がこもっています。謎解きは1960年に起きた密室殺人まで追加される複雑な展開を見せ、盗難トリックに密室トリックさらには通信トリックまで登場します。若杉が自分の無実を証明しようと推理に推理を重ね、その推理が次々に否定される(とまではいかないまでも容疑は晴れない)プロットは独特のサスペンスを生み出しています。粗い印象も受けますが初期作品ならではの力作であることを確かに感じさせます。 |