海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
裂けて海峡
志水辰夫 出版月: 1983年01月 平均: 6.00点 書評数: 4件

書評を見る | 採点するジャンル投票


講談社
1983年01月

講談社
1986年02月

新潮社
2004年08月

No.4 6点 zuso 2022/08/29 22:39
作者ならではの感傷や抒情といった面はもちろんのこと、日本の小説ではあまりお目にかからない上質なユーモアが作品に散りばめられており、キャラクター造型や見事な文章と相まって、痛快かつ感動的な物語を創り出している。

No.3 5点 クリスティ再読 2020/10/11 22:21
ヤクザとのトラブルで刑務所に入ったカタギの主人公が出所してみると、自分の海運会社の唯一の持ち船が大隅海峡で沈没し、弟と苦労を共にした仲間は絶望視されていた。鎮魂のために沈没地点の間近の内之浦町中浦に赴いた主人公は、そこで沈没事件が事故ではなくて、何者かに撃沈されたのではないか、という疑惑を抱く...落とし前を付けるために主人公を追ってきたヤクザと、掴んだ手掛かりの証人を消していく謎の組織の両方に追われる主人公の逃避行の末は?

というようなバイオレンスの話。ヤクザと謎の組織は両方ともプロで、アマチュアの主人公が追われるのだけど、この主人公、積極的に反撃するタイプ。暴力は、使う側は他人をダマらせるために行使するのだけども、中には逆上して反撃して、とんでもない結果を引き起こすことだってあるわけだ。「一人だけの軍隊(ランボー)」みたいな話といえば、そう。
主人公にしてみたら、ヤクザの理不尽な暴力も、国家の「安保上の云々」による暴力も同じことで、カタギが捨て身で反撃する気合と能力がある時には、暴力なんてそもそも逆効果でしかない、という逆説が露になってしまっているわけだ。秘密や弱みがある側の方が、実は弱いんである。暴力を使ってしまえば、「暴力を使った」ということ自体がマイナスにしかならないんだよ...というアカラサマで「小説にならない」興ざめな舞台裏を気づかせてしまう、というのは、やはり小説としては?と思わないわけでもない。
主人公とヒロインに、評者は全然共感できない...ドツボな方向をわざと選んでいるようにしか、見えないんだよね。状況判断が悪くて逃げ切れるときにも、余計なことして捕まりかけるわけだし。主人公とヒロインの会話も気取りすぎ。
だから、たいへん後味の悪い話。ロマンティシズムってそういうことじゃないと思うんだよ。

No.2 7点 kanamori 2010/07/31 21:19
主人公の「わたし」が、弟の海難事故の謎を追ううちに、ある謀略が判明し危難に巻き込まれるというストーリー。
れっきとした冒険小説なんですが、一人称記述で、遺族のもとを次々訪問していくプロットは、まさにハードボイルド小説。ウイットに富んだ会話、強い女性などシミタツ節が随所に読みとれます。
そして、あの最後の一文、キザ過ぎて鳥肌が・・・。

No.1 6点 Tetchy 2008/01/03 18:18
この作品からあのシミタツ節が出てきます。
最後の3行(だったよな?)、キザなんだけど、当時はメチャ惚れました!


キーワードから探す
志水辰夫
2011年07月
夜去り川
平均:7.00 / 書評数:1
2007年02月
青に候
平均:5.50 / 書評数:2
1996年02月
あした蜉蝣の旅
平均:7.00 / 書評数:1
1991年08月
夜の分水嶺
平均:4.00 / 書評数:1
1991年04月
花ならアザミ
平均:3.00 / 書評数:2
1990年12月
行きずりの街
平均:4.50 / 書評数:10
1990年04月
帰りなん、いざ
平均:7.00 / 書評数:2
1989年05月
深夜ふたたび
平均:8.50 / 書評数:2
1988年06月
こっちは渤海
平均:6.00 / 書評数:1
1987年12月
オンリィ・イエスタデイ
平均:5.00 / 書評数:1
1986年12月
狼でもなく
平均:7.00 / 書評数:1
1985年10月
背いて故郷
平均:4.33 / 書評数:3
1984年11月
尋ねて雪か
平均:7.00 / 書評数:1
1984年05月
散る花もあり
平均:9.00 / 書評数:1
1984年02月
あっちが上海
平均:6.00 / 書評数:1
1983年01月
裂けて海峡
平均:6.00 / 書評数:4
1981年08月
飢えて狼
平均:7.17 / 書評数:6