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[ ハードボイルド ]
背いて故郷
志水辰夫 出版月: 1985年10月 平均: 4.33点 書評数: 3件

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講談社
1985年10月

講談社
1988年08月

双葉社
2000年11月

新潮社
2005年01月

No.3 5点 クリスティ再読 2021/04/02 16:36
協会賞受賞作。北の海が常に背景にある。自分が譲った船長職を得た友人が、船内で殺された件を追求する中で、元部下の船員たちの間を回って主人公がいろいろ危ない目にあう話。一言で印象をまとめたら「ウェットで陰鬱」。主人公に自責の念が強いというよりも、そもそも破滅型。だから極めて日本化されていて、ハードボイルドと言っていいのか、評者は微妙だと思う。「弱い男の強がりの話」を主観的な思い入れたっぷりに...って、強烈に日本的な解釈だと思うんだよ。やはり現実の客観性としっかり切り結ぶ部分がないと、評者はハードボイルドとは思いたくないなあ....
まあだから、ディック・フランシスのヒーローあたりに近いような印象を受ける。冒険小説の方にニュアンスが近いと思うんだよ。で、この作家の特徴というか、話の進行がゆっくりで、意外に出来事が少ない。それを主観的思い入れでたっぷりと語るタイプだ。
「裂けて海峡」ほどヘンではないけど、最後のどんでん返しは前半で描かれた人物像から見ると、強い違和感がある。なんか最後でシラケた...
本作読むなら、たとえば「拳銃は俺のパスポート」とか、ハードボイルドに寄った日活アクションを見た方が満足感があるような気もするんだよ。要するに、小説だから、主観ダダ洩れになる部分が、どうも気に入らない。文句多いな、すまぬ。

No.2 3点 ZAto 2009/11/02 22:34
おしなべてハードボイルドの主人公たちは確固たる信念に基づいて行動する。
それが馬鹿げたこだわりやナルシズムに思えても、そこに孤高のダンディズムを見出して読み手はカタルシスを得る。
本書での柏木斉も例外ではないのだろうが、それにしては行動の稚拙さに少々呆れてしまった。
文体に合わせて主人公の行動もスタイリッシュである必要はないが、東京、横浜、千葉、横須賀、北海道、東北と、柏木の単独行が目まぐるしく舞台を変えながらも常に独りよがりであるために周囲に不幸を撒き散らしていくのでは、さすがに苛立ちを覚えてしまう。

No.1 5点 Tetchy 2008/01/04 19:10
確か日本推理作家協会賞受賞作だったように思うが、初期の中で一番印象に残っていないのがこれ。
とにかく終始陰鬱な感じで物語が流れていく印象だけが残っている。


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志水辰夫
2011年07月
夜去り川
平均:7.00 / 書評数:1
2007年02月
青に候
平均:5.50 / 書評数:2
1996年02月
あした蜉蝣の旅
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1991年08月
夜の分水嶺
平均:4.00 / 書評数:1
1991年04月
花ならアザミ
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1990年12月
行きずりの街
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1990年04月
帰りなん、いざ
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1989年05月
深夜ふたたび
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1988年06月
こっちは渤海
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1987年12月
オンリィ・イエスタデイ
平均:5.00 / 書評数:1
1986年12月
狼でもなく
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1985年10月
背いて故郷
平均:4.33 / 書評数:3
1984年11月
尋ねて雪か
平均:7.00 / 書評数:1
1984年05月
散る花もあり
平均:9.00 / 書評数:1
1984年02月
あっちが上海
平均:6.00 / 書評数:1
1983年01月
裂けて海峡
平均:6.00 / 書評数:4
1981年08月
飢えて狼
平均:7.17 / 書評数:6