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ミステリの祭典

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響の字改さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:10件

プロフィール| 書評

No.10 6点 この闇と光
服部まゆみ
(2017/06/04 20:34登録)
先程読了。

嗚呼、なるほどねwww(;>Д<)

先達諸兄の書評が如何に的確かを実感し申した次第で御座る(時代劇?)
確かにコレは書いちゃうと色々マズいっすわw

ここの書評を見て「何だよ皆このモヤモヤした書き方はー」と思ったのが手に取る理由だった珍しい一冊でした。

このモヤモヤ書評の山を見てしまった未読の貴方には是非一読をw


No.9 7点 蔵書まるごと消失事件
イアン・サンソム
(2017/05/31 19:39登録)
あ…ありのままこの本の感想を話すぜ!

『創元推理のレーベルでこの表紙とタイトルを見て"ほんわか系のライトミステリ" と思ったらミステリでも日常の謎でもほんわかでもなかったけどミステリだった』

な…何を言っているのかわからねーと思うが
おれも読後にどう纏めたら良いのかわからなかった…

催眠術だとか超スピードは全く出て来ませんし大半が探偵気取りの本オタクと田舎物のネジの飛んだ会話劇。そしてソレだけでぐいぐい進むストーリー。
読んでる方もぐいぐい引っ張られます。エンディングの〆もニヤリとできてええですな(*´ω`)


No.8 6点 白雪姫には死んでもらう
ネレ・ノイハウス
(2017/05/31 19:21登録)
閉鎖的な集落という舞台装置と昼ドラばりのドロドロした人間関係、
クセのありすぎる登場人物の建前と本音の陰湿さをものすごくネチネチと書いていて(褒めています)コレを邪魔と感じてしまうと読み辛いかもしれんですな。

邦作社会派のような感じで読めるスタンダードな真相究明型。ミステリ分はやや弱いんだけど紋切り型の警察捜査で一枚また一枚と裏事情と真相が明らかになって行く過程を非常に巧く書いていて
「海外物のイマイチ没入していけないあのもどかしさ」が殆ど感じられなかったのはいいですね。完成度高し。

ただ今作のオリヴァー氏のポンコツっ振りはいかがなものかw
家庭問題で懊悩しないでもうちょっと有能でいてもいいのよ(;´・ω・`)


No.7 5点 世界は密室でできている。
舞城王太郎
(2017/05/30 22:10登録)
全体の出来はどうでもいいとして(良くないけど)
タイトルに偽り有り、と感じたのでやや低評価。

「タイトルはコレだけど"密室が語られてない"」ぞ王太郎。

先ず密室のメソッドに先人が挑んできたリスペクトが足りない。
密室は自由だ、と言わんばかりの作中論はともかくとして
ストーリーの本筋と密室の持つ魅力がイマイチ噛み合って無いのがどーなのよと。

スピード感のあるエンタメとしてはアリなのかなぁ、と思ってしまうのは
良くも悪くも舞城王太郎だからか(;゚Д゚)


No.6 4点 死の命題
門前典之
(2017/05/29 22:43登録)
「雪の山荘」「連続殺人」「異形の影」「そして誰もいなくなった」「読者への挑戦」と
題材はソレっぽいんだけど煮詰め方が薄いと言うか
割と早い段階から『素材を王道には調理してませんよ』というサインがあちらこちらから感じられて物語に入って行けない感じですな。

この手のプロットはやっぱり一人また一人と幕間に消えて行く過程で極限さや焦燥、微かな手掛かりや違和感を丁寧に描写して読者をもっと没入させて欲しい、と思うんですよ。

世間でバカミスと評されてはおるんですがバカにもなり切れてなく
もう少し巧く纏めたら正統派として勝負できたのに、という感想。

・・・終盤で犯人が仮面を捨てて正体を現す例の下り、アレは例えバカミスだろうと度か過ぎると思ったのは私だけでしょうか(;´・ω・`)


No.5 9点 三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人
倉阪鬼一郎
(2017/05/28 15:07登録)
本格/新本格に始まり社会派に旅情に歴史物にメタにSF。
ミステリと言う「過去を振り返った瞬間に終わってしまうんで前に進むしかない」不毛の荒野を彷徨うようなジャンルで読書を続けているとたまに足を止めて一服したくなる。
そんな時にバカミスの読後感が心地良い。

頭からケツまでネタで構築されたプロット。
トリックがわかった瞬間に台無しになる舞台装置(と会話劇)
オチがこれだから許される投げ遣りな文体

まさにバカミスの金字塔。これを一読する事で
「よし、次の本は少々分厚くても文体が重くても真面目に読もう」となってしまう

素晴らしい。オススメです(´・ω・`) ← 本当ですよ


No.4 7点 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上春樹
(2017/05/19 19:08登録)
概念世界モノといつものびっみょーな男女関係モノの中間点をふよふよしてる今作ですが

ミステリと見て読むとかなり面白かったんで一筆。
てかミステリファンが読むとこれはミステリです。

過去の人間関係の縺れから分かち難い友人を失いそのうちの一人は不可解な死を遂げる。主人公は恋人の一言から十数年ぶりに故郷に戻り彼等と再会する事で真相を探る。

まあいつもの春樹節バリバリで(褒め言葉)情報が韜晦されてたり
相変わらずオカルティックなサイドストーリーが挟まったり
ストーリーの主軸が主人公の喪失からの再生とかだったりするんだけど
物語が進む度確実に亡くなった友人の一人(被害者、と定義しても良い)に関わる情報、容疑者、動機、事件の背景が明らかになって行き

水面に広がった波紋が突然収縮して一点に絞り込まれ・・・る直前に物語が終わってしまうw
解決編の直前で幕が力任せに落ちる感じ(;゚Д゚)

でもトリックも告発も解決編も無いけどこれは確かにミステリ。
ミステリ作家では決してできないアプローチでのフーダニットとでも評するべきか。難解だけどフェアな謎の開示と主人公の行動が真実を解明して行く前進感を「探偵役が犯人探しは二の次で真実が横を通っても気付かないまま」で台無しにしてるのが逆に素晴らしい。凄いよハルキ先生豪腕だぜw

「真相に至る情報は示されている、でも筆者は読者に挑戦しないから真相は各自にお任せするけどね」と言う困った最後なんだけど祭典の皆様には食わず嫌い無しに是非とも読んで頂きたい(;´・ω・`)


No.3 6点 アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
フィリップ・K・ディック
(2017/05/19 18:15登録)
ミステリなのかコレはwww(;゚Д゚)

哲学色を織り込んだ人工知能モノのパイオニアではあるんだけど
原作本を絶妙に切り貼りしたブレードランナーの方が背景設定を上手にオミット出来てて面白い。鳩、湯気、うどん、そして折り紙w
短編集読まないと原作の痒い所がわかんないよね。

人間社会に擬態する機械→舞台装置としての登場人物に擬態する犯人
と位置付けるなら同じプロットでミステリたりえるのかしら。


No.2 4点 星籠の海
島田荘司
(2017/05/19 17:24登録)
・・・多分御大は「冒険小説にシフトした中後期ホームズ物」のバスティーシュをやろうとしてプロットを固め切れないまま書き出したんだ。
そう思う事にしよう(落胆)

上下巻で出して映画化までされたんだからさぞ!と思い読み進めたんだけど
完璧超人と化し「内調の友人が」とか言っちゃったり
そのくせ変人色は殆ど出さず
中盤にお色直しの衒学のひとつも語ってくれず
冷静に考えれば後手で分析はすれど推理らしい推理はしない体たらく

昔のおもしろ御手洗さん帰ってきて(´;ω;`)

重要人物のキャラクターを掘り下げず割にどうでもいい人物のパートに尺を使う。○○艦の下りとかもっと初期長編ばりのオカルト奇想で盛り上げればもっと面白いのに、とか全編に漂うモヤモヤ感。

あとラノベばりの手を抜いた会話パートも気になりました。
ページ下部が白いよ御大。もっとワクワクさせて頂きたい(切実)


No.1 7点 鍵の掛かった男
有栖川有栖
(2017/05/19 17:00登録)
うーんロジカル(褒め言葉)

いつものとはかなり違う導入から始まって序盤は有栖川刑事が被害者の過去を(中之島をうろうろ寄り道しながら)辿る様は中期清張の如し。
これは中弛みするパターンかと思いきや中盤の調査パートからどんどんテンポが良くなって終盤の火村先生登場からは丁寧に散りばめた情報と伏線をスパッと気持ち良く消化。エピローグもハッピーエンド感と言うか
「真相を解明することで関係者が救われたカタルシス」もあって読後感も良い。ただチョコレートの下りは不備があったんで-1点。
いつものシリーズとは違った切り口を上手に纏めていて本格とはいい難いかもしれないけど物語として面白かった。

シリーズ屈指の飲食シーンと小ネタで笑わせにかかる処はズルイけど
アリス先生は年を重ねる毎にじわじわと文章巧くなって行ってるから凄いですね(*´ω`)

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