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ミステリの祭典

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白雪姫には死んでもらう
オリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン&ピア・キルヒホフ

作家 ネレ・ノイハウス
出版日2013年05月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 7点 HORNET
(2022/04/30 11:12登録)
 トビアス・ザルトリウスは、10代の少女2人を殺害したかどで10年間の服役を終え、生まれ故郷のアルテンハイン村に戻ってきた。事件当時トビアスは泥酔していて記憶がなく、本当に自分が犯した罪なのか未だに分からない。しかし殺人者の烙印を押されたトビアスとその家族に当然村人の目は厳しく、嫌がらせを受ける毎日が続く。そんな折、トビアスの母親が駅の歩道橋から何者かに突き落とされる事件が起きた。殺人未遂事件として捜査にあたったのはオリヴァー&ピアのコンビ。捜査はやがて、10年前の少女殺害事件に隠された真相に迫っていく。

 550ページを超える厚みだが、停滞することのない展開で楽しみ続けることができる。事件捜査とは別に、妻コージマとの間に起きた問題に悩むオリヴァーの話も展開し、物語りに幅を持たせている(にしてもオリヴァーも節操がないな…)
 それにしても人は本当に、犯した罪に口をつぐんで、しかも知人にその咎を負わせたままで生きていけるのだろうか。ずっと心に重石を載せ、心から笑える日などない人生になってしまうと思うのだが・・・
 物語当初から怪しさを感じる人物がやっぱりそうだったので、それほど意外性はない。だが、複雑に入り組んだ事件の様相を一つずつ解きほぐす過程は見ごたえがあり、世間でおおむね好評価なのもうなずけた。

No.3 6点 響の字改
(2017/05/31 19:21登録)
閉鎖的な集落という舞台装置と昼ドラばりのドロドロした人間関係、
クセのありすぎる登場人物の建前と本音の陰湿さをものすごくネチネチと書いていて(褒めています)コレを邪魔と感じてしまうと読み辛いかもしれんですな。

邦作社会派のような感じで読めるスタンダードな真相究明型。ミステリ分はやや弱いんだけど紋切り型の警察捜査で一枚また一枚と裏事情と真相が明らかになって行く過程を非常に巧く書いていて
「海外物のイマイチ没入していけないあのもどかしさ」が殆ど感じられなかったのはいいですね。完成度高し。

ただ今作のオリヴァー氏のポンコツっ振りはいかがなものかw
家庭問題で懊悩しないでもうちょっと有能でいてもいいのよ(;´・ω・`)

No.2 7点 蟷螂の斧
(2015/09/11 20:58登録)
ワンカットが短く、話が飛ぶのが作風ですね。本作は「深い疵」より読みやすかった。相変わらず、登場人物は多い(苦笑)。事件が複雑なので、主席警部オリヴァ―の家庭事情の話はない方がすっきりしていたかも・・・。とは言っても、非常に面白かったですね。題名の「白雪姫には死んでもらう」ということが中盤で判明するのですが、ゾッとしました。シリアスな展開なのですが、ところどころに笑いが挟まれています。

No.1 7点 kanamori
(2013/07/06 16:18登録)
村祭りの夜に起きた2人の少女失踪事件の秘密を抱える閉鎖的な村に、刑期を終えて犯人と目された男が11年ぶりに帰ってきた。折しも若い女性の白骨死体が発見されたことから、オリヴァー首席警部と女性警部ピアのコンビは過去の事件の真相に迫っていくが-------。

「深い疵」につづくオリヴァー&ピア・シリーズの4作目(邦訳は2作目)。”ドイツ版横溝ミステリ”とか”ドイツ版「八つ墓村」”というコピーもありますが、舞台設定がそういう感じなだけで、おどろおどろしさや伝奇的な雰囲気はそれほどありません。
一人の男の帰郷とある少女の好奇心が触媒となって、多数の村民と関係者たちのおぞましい秘密が少しづつ明らかになっていく。捜査小説としてのスリリングな展開の面白さと、オリヴァー自身を含めた様々な登場人物の人間ドラマが融合した構成が非常に巧みだと思います。
捜査側と村社会側の両サイドとも、最終的に女性が主導的な役割になるのは、いかにも女性作家の作品という感がある。

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