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ミステリの祭典

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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

作家 村上春樹
出版日2013年04月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 響の字改
(2017/05/19 19:08登録)
概念世界モノといつものびっみょーな男女関係モノの中間点をふよふよしてる今作ですが

ミステリと見て読むとかなり面白かったんで一筆。
てかミステリファンが読むとこれはミステリです。

過去の人間関係の縺れから分かち難い友人を失いそのうちの一人は不可解な死を遂げる。主人公は恋人の一言から十数年ぶりに故郷に戻り彼等と再会する事で真相を探る。

まあいつもの春樹節バリバリで(褒め言葉)情報が韜晦されてたり
相変わらずオカルティックなサイドストーリーが挟まったり
ストーリーの主軸が主人公の喪失からの再生とかだったりするんだけど
物語が進む度確実に亡くなった友人の一人(被害者、と定義しても良い)に関わる情報、容疑者、動機、事件の背景が明らかになって行き

水面に広がった波紋が突然収縮して一点に絞り込まれ・・・る直前に物語が終わってしまうw
解決編の直前で幕が力任せに落ちる感じ(;゚Д゚)

でもトリックも告発も解決編も無いけどこれは確かにミステリ。
ミステリ作家では決してできないアプローチでのフーダニットとでも評するべきか。難解だけどフェアな謎の開示と主人公の行動が真実を解明して行く前進感を「探偵役が犯人探しは二の次で真実が横を通っても気付かないまま」で台無しにしてるのが逆に素晴らしい。凄いよハルキ先生豪腕だぜw

「真相に至る情報は示されている、でも筆者は読者に挑戦しないから真相は各自にお任せするけどね」と言う困った最後なんだけど祭典の皆様には食わず嫌い無しに是非とも読んで頂きたい(;´・ω・`)

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