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ミステリの祭典

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バードさんの登録情報
平均点:6.13点 書評数:321件

プロフィール| 書評

No.81 5点 地獄の奇術師
二階堂黎人
(2014/02/17 18:53登録)
カトリックで裏のある一族、隻腕の怪しい男、現場に残されるトランプ、数々の密室、偶然事件に巻き込まれる素人探偵、本格ミステリ好きなら涎を流しそうなてんこ盛りなんだが・・・、どうも少し料理の仕方が悪かった気がするなぁ。

不満点が結構あるけど一言にまとめるとプロットが甘い、この書き方じゃそう簡単に読者は騙されてくれないと思う。真犯人は割と最初から怪しいし事件の裏も隠しきれてない。最後の十戒のくだりもページがいたずらに増えるだけで不要だと思う。


デビュー作というのと舞台が懐かしい場所でほっこりしたので甘めに採点してこの点数。


No.80 7点 ABC殺人事件
アガサ・クリスティー
(2014/01/29 10:12登録)
海外ミステリは多少読みにくくなりがちだがクリスティ作品は比較的読みやすい方だと思う。
この作品については自分は結構楽しめた、ただいくら暗示をかけても人間を操作するのには限界があるだろうと感じる人も多いと思う。そこは個人の感性ということになるから低評価の人の意見もわかる。


No.79 7点 二銭銅貨
江戸川乱歩
(2014/01/29 10:03登録)
読んだのは短編集だが表題作が二銭銅貨なのでここに感想を書かせていただく。点数は短編9本の平均だが二銭銅貨自体もちょうどこの点数。

暗号というのは大概こじつけになってしまうから長編で暗号がメインになると謎解きの説得力が弱い気はする、しかし短編だとさくっと読めるし乱歩さん特有の軽い文体とも相性が良かったと思う。
明智もいいけど松村というキャラももう少し見たくなった。


No.78 6点 幽霊刑事
有栖川有栖
(2014/01/20 06:20登録)
ミステリというよりはメロドラマな気もするがそれはそれで良かったと思う。なんというか最後のシーンではすっかり感情移入しててもの寂しかったなぁ。

ものすごく漠然とした感想になってしまったがこんな感想、小説のタイプとしては島田さんの「異邦の騎士」に似てるかな?


No.77 8点 葉桜の季節に君を想うということ
歌野晶午
(2014/01/20 06:08登録)
歌野さんの作品の中では1、2を争う高評価を受けている作品なのでハードルはけっこう高めに設定した、しかしそんな高いハードルもこの作品は悠々と越えていった。

なぜおもしろいと思えたかと言われれば自分が典型的な中途半端に考えようとするミステリ読者だったからだろう。2章で古木節子がの話がでて以降中々本編とリンクしてこない、そこで麻宮さくら=古木節子かなと考える人が多数で自分もそのように考えたがさくらの登場するシーンで妹より若いとある。てことは違うかと思わせてからのラスト手前でのタネあかし、きれいに騙されたね。

元々話自体も面白く特に謎のない序盤から中盤にかけても退屈せずに読めた、それにくわえて肝のトリックが良く思えたからかなりの高評価につながった。ぱっと思いついた点数は9点だったがミステリとしては叙述一本だのみなところが唯一残念なところ、その分の1点を引かせていただいた。


No.76 7点 鳴風荘事件
綾辻行人
(2013/12/25 16:02登録)
殺人方定式の2冊目にあたる今作品、1冊目よりも自分好みだった。このシリーズはいかにロジカルに犯人当てをさせるかという点が重要なのでロジックで上手いと思わせてくれたこちらは前作より1点高くした。(個人的にはペンキの化学薬品アレルギーの隠し方と事件での利用のされ方が上手いと思う。)


No.75 6点 水晶のピラミッド
島田荘司
(2013/12/25 14:45登録)
事件が始まってからは一気に読ませられた。糸をとおす隙間さえないドアや空中回廊の高さなどでピラミッド側から水攻めしたんだろうな~、とは思っていたがまさかピラミッドが〇〇〇とくるとは想像もしてなかった。
まぁ結局斜め屋敷も真っ青なそんなトンデモトリックは使われてなかったのだが、真の謎解きも含めて事件発生~解決までは楽しめた。(ただ今回は真相を途中で当てさせる気は全く無いようだが。)

ただ全体を通して長い、特に前半の300ページくらいは本当に必要だったのか?という感じ。ギザの昔話はともかくタイタニックは真剣に退屈だった、結局怪物のミスリード(それもそんなに上手いやり方じゃない)にしかなってないことを踏まえると長すぎた。それらを考慮すると前半3~4点、後半7点くらいで間をとって6点くらいという印象。御手洗というシリーズ補正もかけてこの点数、ミステリとしては評価に困る作品だった。


No.74 6点 予知夢
東野圭吾
(2013/12/16 07:39登録)
基本的には同シリーズ1冊目の「探偵ガリレオ」と同じよみごたえだったが2話の霊視ると4話の絞殺るが上手いと思わせてくれたので「探偵ガリレオ」より1点アップの6点で。


No.73 5点 探偵ガリレオ
東野圭吾
(2013/12/15 07:43登録)
湯川助教授初登場のこの作品、科学、物理的見地から事件をときほどくのが今作品のテーマだがそれをふまえてこの感想、科学とミステリはやはり相性が悪いと思う。

よく科学捜査が発展した昨今では探偵は活躍させづらいといのは聞くがこの本読んで痛感した。新しい挑戦ではあったかもしれないが短編集としては並程度か平均やや下くらいの満足度。


No.72 6点 ロートレック荘事件
筒井康隆
(2013/12/13 03:52登録)
約二ヶ月ぶりの読書だったのでリハビリ目的もかねてあまり贔屓にしてない作家のミステリを、ということで筒井さんのロートレック荘に白羽の矢がたった。だから実はそこまで期待はしていなかったのだが(失礼)面白かった、というより自分の好みのトリックで正直リハビリなんかに使って後悔した。ぜひ記憶をなくしてもう一度読みたくなった。

ただ自分の好みではあるがこのやり方はかなりアンフェアだと思うのと、こういうジャンルは騙された後自分で引っ掛け部分を探していくのも醍醐味なのだから解決部分の解説は正直蛇足。そこの点は減点させていただいた。何度も言うが個人的にはこういうのはかなり好き。


No.71 8点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2013/11/15 17:08登録)
今までのガリレオシリーズは小難しい物理トリックのよせ集めという感じで実はそれほど評価してなかった、しかしそれもあってかこの作品には完全にやられた。
メイントリックの種類をがらりと変えるというシリーズものとしてはある意味イレギュラーなやり方で、これまでの作品をよく読んでいた読者ほどびっくりさせられたと思う。

湯川の友人石神のキャラは素晴らしいかった、極端なキャラというものをしっかり堪能させていただいた。


No.70 8点 死者が飲む水
島田荘司
(2013/11/07 00:38登録)
御手洗シリーズを含む2つのシリーズに出てくる普段はわき役の男が奮闘したアリバイトリック、鮎川さんの「黒いトランク」がモデルなのは明らかだがこちらを先に読んだ。
自信満々の推理をするも犯人に論破されかけるあたりが御手洗のような超人キャラとの差で言葉につまりながらもなんとか解決に近づいていく様子は読者も探偵役と一体感を覚えられた。探偵役のキャラが凡人タイプなので雰囲気は渋いがそういった味以外にも実はアリバイトリックが堅実でかつ島田さんのオリジナル要素も組み込まれていてアリバイものとしてはかなりの良作といった印象。


No.69 5点 スタイルズ荘の怪事件
アガサ・クリスティー
(2013/10/28 13:09登録)
読んでから結構たってからの感想なのでざっくりと、クリスティの中では普通というかビックリ箱要素が低いというかで印象に残りにくい。というか比べられる作品が凄すぎる。


No.68 6点 暗黒館の殺人
綾辻行人
(2013/10/28 13:02登録)
まぁとにかく長い、読み終わって達成感にかられたのはこの作品が初めて。
その長さをもってどのような壮大なトリックが待っているのかと思いきや中身の事件は割りと地味、それよりも浦戸家のおどろおどろしさの方が気になった。(少し幻想小説の気がある。)謎の数はいくらでもあるのでどこかで驚くことはできると思う、個人的にはメイントリックと中也の正体が良かったかな。特にメインの仕掛けは注意深く読めば気づけるはず。


総評すると館シリーズファンなら確実に読むべき大作、ただし一つのミステリとしては長さに耐えうる人のみ読むことをお勧め。


No.67 6点 黒猫館の殺人
綾辻行人
(2013/10/16 21:30登録)
館シリーズの中で人形館と並ぶスーパー変化球。今読んだらどうなるかわからんが当時は微妙な相違点に全く気付かない迂闊な読者だった。(今は少しは成長したと信じたい。)
「こんなアホみたいなのありか!?」と突っ込みたい人も多いと思うが自分はこういうのこそ館シリーズに求めるものだと思っているので問題なし、手記内の事件ははっきりいって大したことはない。


No.66 5点 学生街の殺人
東野圭吾
(2013/10/16 21:10登録)
自分は好みは派手なトリックとよく練られたロジック、この作品に関しては前者は無い。真犯人自体は消去法でわかるかもしれないが実は真犯人が殺人犯を操作していたということの証明は中々よく筋の通った説明で好みだった。
話のラストはいい感じで読み物としての雰囲気は〇、ただし事件自体は何となく盛り上がりも無くそれゆえ中盤あたりまではわりと退屈、それに少し長いかなとも思った。


No.65 8点 ある閉ざされた雪の山荘で
東野圭吾
(2013/10/12 10:28登録)
よく「仮面山荘殺人事件」と同じしかけと言われ比較されているので自分もそのように感想を書くとする。
自分が思うに仮面に比べ叙述トリックのレベルが1ランク上がっていると思える、仮面ではあくまで主人公だけが蚊帳の外ということだけを隠していたトリックだったが今回はその視点に本当の仕掛けがあり高度に感じた。その一方で登場人物たちはどうにも感情移入しにくいタイプが多く仮面ほどの物語性はない。
個人的には読み物の仮面に対し技の今作といった印象、ということで点数は仮面と同じで。


No.64 4点 向日葵の咲かない夏
道尾秀介
(2013/10/12 10:09登録)
どんでん返し系の話というのは聞いていたがこれは悪い意味で期待を裏切られてしまった。読んだ後からいろいろと違和感の理由に気づけるがそれが伏線として機能するレベルではなくひっくり返り方が唐突すぎる。
終始一定のペースでサクサク読めたがそれだけ、暗すぎる話でどうにも好きになれない世界観でもある。

実は序盤からs君を殺した真犯人は主人公で基本的に今回の話は主人公の都合のいいような妄想である、という落ちを念頭に置いていた。もしそんなありがちな話だったら更にマイナス1点だったがそれは回避してくれてそこは良かった。


No.63 6点 絶叫城殺人事件
有栖川有栖
(2013/10/06 23:07登録)
どういう本か知らずに有栖川さんの本を読みたかったので買ったら短編集だった(ほんとは長編が読みたかった)
すべてが妙な建物にまつわる話で雰囲気が好み、好きな話を挙げるとしたら1、2、4話目といったところ。


No.62 5点 赤い館の秘密
A・A・ミルン
(2013/10/06 22:55登録)
全体的に元々ユーモアを書いてた作者の良さがでていて物語が明るい調子なのはよかった、こういうミステリも嫌いじゃない。

しかしミステリの核であるトリックには不満がある。やはりマークの死体をロバートと誤認させるのには現代人から見れば無理があるすり替えである。さらにキリンガムが真相を見破る理由が弱いというか薄いというかで読者からしてみれば唐突な印象がある(相当にホームズを意識しているようなのでその影響も大きかったのかもしれない)
と、このように気になる点はあるが探偵・ワトスン役共にいいキャラでミステリの一定の水準は満たしていると思えるので総合的には中々面白かった。

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