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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2517件

プロフィール| 書評

No.517 7点 オリエント急行の殺人
アガサ・クリスティー
(2010/06/21 23:19登録)
「アクロイド殺し」もそうですが、本書のような大仕掛けがある作品は、物語の中盤が間延びしているように感じられます。
浮かんだアイデアに作者自身が舞い上がってしまい物語性が疎かになった訳ではないでしょうが、同じトラベル・ミステリの「ナイルに死す」などと比べると旅情性とか人物の書き込みが弱いという印象です。まあ、人物描写に関しては主役級が多いという事情があったかもしれませんが。


No.516 7点 アクロイド殺し
アガサ・クリスティー
(2010/06/21 19:03登録)
この作品の仕掛けは読む前から知っていましたが、作者の技巧の数々をニヤニヤしながら読めました。物語中盤ちょっとダレるところもありますが、結構楽しめたように思います。
語り手をヘイスティングズにしていれば大傑作になっていたんじゃあないでしょうか(笑)。


No.515 6点 貴族探偵
麻耶雄嵩
(2010/06/21 18:33登録)
主人公の貴族探偵は、事件の証拠集めどころか推理や真相の開陳まで使用人たちに委ね、自分は女性を口説く事に専念、という人を食った設定で、究極の安楽椅子探偵ものです(笑)。
収録作品自体は、些細なことから真相に到達するというパターンで、案外まともなロジック中心のものが多かった。
なかでは「こうもり」が、既読感のあるトリックながら著者らしさが一番出た作品だと思います。


No.514 5点 明日の空
貫井徳郎
(2010/06/21 18:06登録)
帰国子女を主人公にした青春ミステリ風の物語に、短編向きの××ネタを織り込んだミステリ。
読みやすいのはいいんですが、最近流行りの同じようなミステリに食傷ぎみなので、あまり楽しめなかったですね。


No.513 7点 ABC殺人事件
アガサ・クリスティー
(2010/06/21 00:13登録)
連続殺人の動機はどう見ても無茶ですが、ミステリのアイデアは最初に書いたもの勝ちという所があるので、後続の作家がいくらすばらしい改良作を書いても、やはり本書の価値は変わらないと思います。
最後のほうで、カスト氏の頭痛の原因についてポアロが示唆するシーンとか、作者が細かい点に気を配っている所が妙に印象に残っています。


No.512 7点 五匹の子豚
アガサ・クリスティー
(2010/06/20 18:58登録)
物語としては地味ですが、なぜか非常に印象に残っている作品です。
いわゆる「回想の殺人」テーマのミステリで、ポアロが16年前の殺人事件の裏の真実を突きとめるために、当時の5人の関係者から次々と証言を得ていく話で、のちに女史の中期以降の作品でたびたび書かれたお得意のプロットです。
大仕掛けだけがミステリの魅力ではないことを証明する逸品だと思います。


No.511 5点 カーテン ポアロ最後の事件
アガサ・クリスティー
(2010/06/20 18:28登録)
本書が早川書房から単行本で出るときに、新聞各紙が大々的にある人物の訃報記事を載せていました。帯の惹句にも堂々と掲げていましたから問題ないとはいえ、ミステリ史上唯一の発売前に世界中にネタバレされた作品です(笑)。
ミステリとしてはその趣向以外とくに読みどころのない作品でした。


No.510 6点 鏡は横にひび割れて
アガサ・クリスティー
(2010/06/20 17:47登録)
映画は見ていないけれど、伏線のアレが出てきた段階で「何故?」がなんとなく分かってしまいました。
ホワイダニット一本勝負の作品ですが、それでも結構面白く読めた記憶があります。
ミス・マープルものでは比較的好きな作品です。


No.509 7点 苦い林檎酒
ピーター・ラヴゼイ
(2010/06/20 17:15登録)
ラヴゼイのこれまでの作家活動を見てみると、ほぼ10年単位で作風とキャラ設定が変遷しているのが分かり興味深い。
70年代はクリップ巡査部長のヴィクトリア朝歴史ミステリ、90年代以降はダイヤモンド警視の現代ものミステリ。
で、その間の80年代がノンシリーズの歴史ものを多く書いていて、この時期の作品に本書を含むサスペンスの傑作が多いと思います。
本書はクックの記憶シリーズを思わせるプロットで、主人公の一人称形式で戦時中の少年時代に関わった殺人事件の真相を、回想し紐解いていくというもの。
地味ですが読み心地の良い、上質のサスペンス小説だと思います。


No.508 7点 自殺の殺人
エリザベス・フェラーズ
(2010/06/20 16:39登録)
素人探偵コンビ・トビー&ジョージ、シリーズ第3弾。
ふたりが一旦助けた身投げ自殺未遂男の死の謎を巡って推論を重ねていく本格編。
自殺か、他殺か、他殺に見せかけた自殺か、自殺に見せかけた他殺か、三転四転していくプロットがなかなか面白かった。


No.507 6点 この町の誰かが
ヒラリー・ウォー
(2010/06/20 16:20登録)
田舎町の少女惨殺事件を町の人々へのインタビュー形式による会話体だけで描いています。
著者晩年の作品なのに、このような実験作を試みる創作姿勢に感心しますが、ドキュメントタッチの構成が物語に緊迫感を与えていてサスペンスを盛り上げていると思います。


No.506 7点 ビロードの悪魔
ジョン・ディクスン・カー
(2010/06/20 15:57登録)
ディクスン・カーの歴史ものはあまり楽しめないけれど、本書の趣向には感心しました。
悪魔との契約によって魂だけが17世紀にタイムスリップし貴族に乗り移るという特殊な設定自体が、意外な真相に直結するとは思いませんでした。
非常によく考えられたフーダニットです。


No.505 6点 髑髏島の惨劇
マイケル・スレイド
(2010/06/20 15:23登録)
カナダ騎馬警察”スペシャルX”シリーズの第4弾。
警察小説+スプラッタ・ホラーに、今回は孤島での推理ゲームがらみの館ミステリの要素が加わった怒涛の展開になっています。
密室講義や殺人機械などの本格ミステリ趣向はチープ感漂い、真犯人もバレバレなのでフーダニットとしてはイマイチですが、ごった煮のB級サイコミステリとして面白く読めました。


No.504 6点 ベヴァリー・クラブ
ピーター・アントニイ
(2010/06/19 18:26登録)
双子の兄弟による合作ミステリ、「衣装戸棚の女」に続く素人探偵ヴェリティものの第2作。
設定は、館ものの古典本格ミステリそのものですが、文章が意外と新しく読んでいてまったく退屈しません。最後のオチは後の「探偵スルース」に通じるブラック・ユーモアが光っています。


No.503 4点 死への落下
ヘンリー・ウエイド
(2010/06/19 16:43登録)
ミステリ・ボックス(現代教養文庫)から地味に出たウェイドの最後期の作品。
年上の富豪女と結婚した男の視点で、その妻の不審な転落死の捜査が描かれていますが、初期作にも増して地味なミステリとなっています。英国の田舎の雰囲気など悪くはないですが、著者の本邦初紹介がこの作品というのはちょっと不幸な気がします。


No.502 6点 死の鉄路
F・W・クロフツ
(2010/06/19 16:14登録)
クロフツが専業作家になってすぐの作品で、題材も鉄道関係者が絡む列車礫殺事件ということで、相当気合の入った重厚なフーダニットになっています。
作者の前職が鉄道技師なので専門的な用語が頻繁に出てきたり、フレンチの捜査が相変わらず地味ですが、後半のプロットが起伏に富み退屈感はありませんでした。まずまずの力作だと思います。


No.501 5点 死の周辺
ヒラリー・ウォー
(2010/06/19 14:33登録)
フェローズ署長シリーズの第6作。
これは異色作でした。脱獄囚二人が、匿ったある女によって凶悪な犯罪に手を染めていく過程を描いていて、捜査状況はほとんど見られません。シリーズ作でありながら警察小説とは言えず、一種のクライム小説になっています。
つまらなくはないですが、作者の持ち味が出ていないので、ちょっと期待はずれの感じです。


No.500 7点 摩天楼の身代金
リチャード・ジェサップ
(2010/06/19 14:08登録)
今思うと、80年代前半に続々と出た文春文庫の翻訳ミステリは充実していました。
「超音速漂流」「サンドラー迷路」「フィッシャーを殺せ」「復讐法廷」など、その後復刊された本もありますが、埋もれた傑作のひとつが本書です。
超高層豪華マンションの爆破脅迫もので、この手のクライムサスペンスでは「シャドー81」に比肩する徹夜本でした。
ベトナム戦争が絡む点も似ていますが、特筆すべきは前代未聞の身代金奪取方法で、これだけでも読む価値ありです。主人公の犯行動機がナイーブな人物造形と併せて共感を呼ぶ設定も巧いと思います。


No.499 5点 割れたひづめ
ヘレン・マクロイ
(2010/06/18 21:24登録)
ベイジル・ウィリング博士シリーズの第12作目。
吹雪で道に迷ったウィリング博士夫婦が辿りついた屋敷での怪奇趣向の殺人事件を描いています。
サスペンス小説に軸足を移していた作者が久々に書いた本格編ですが、「人を殺す部屋」テーマとしては、少年少女の造形がサスペンスに水を差し緊迫感に欠ける展開で、真相も意外なものとは言えませんでした。


No.498 7点 皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー
(2010/06/18 21:01登録)
作者の代名詞である怪奇趣味がまったくないスマートな本格編です。
有名な心理トリックについてはある程度途中で察することができましたが、トリックを隠蔽するための小道具の使い方や叙述の巧妙さなど、カーのテクニックを存分に味わう事ができました。
小道具の煙草入れについてはトリック成立に寄与すると同時に、その形状によりトリックを暴露するための小道具でもある訳で、そこに一番感心しました。

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