home

ミステリの祭典

login
kanamoriさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:2432件

プロフィール| 書評

No.432 5点 バルーン・タウンの手毬唄
松尾由美
(2010/06/05 16:03登録)
妊婦のみが住む街”バルーン・タウン”シリーズ第3弾。
今回も内外古典ミステリをパロッたタイトルでニヤニヤさせてくれます。
「バルーン・タウンの手毬唄」は手毬唄の見立て連続事件で真相もある意味お約束どおり、「幻の妊婦」は唯一のアリバイ証言者である妊婦の真相と叙述トリックが面白い。
「9か月では遅すぎる」は”まして雨の日では”という言葉の意味が見事に伏線となって生きています。


No.431 6点 魔海風雲録
都筑道夫
(2010/06/05 15:40登録)
初期の伝奇時代小説で「かがみ地獄」の改稿・改題版。
戦国時代末期を時代背景にして真田の若さまを主人公に魔鏡の争奪戦を描いたオーソドックスな冒険譚になっています。
忍者の佐助、密偵の才蔵や南蛮人など、取巻きの登場人物も個性豊かで、舞台も木曾の山中から駿河沖の大海原まで、スルリングに展開する物語は手慣れた創りになっていると思います。
ただ、岡本綺堂などの先行の伝奇物の範疇から抜け切ったものでないため、斬新さに欠ける気もしました。


No.430 4点 三幕の殺意
中町信
(2010/06/05 15:19登録)
中町信の久々の長編(といっても初期の中編「湖畔に死す」の長編化)ですが、ちょっとガッカリな出来でした。
尾瀬沼の雪の山荘を舞台にした読者への挑戦付きのオーソドックスな犯人当てで、トリックの絡みで原型と同じ昭和40年を時代背景にせざるを得ないというのは分かりますが、現代では読むに堪えない内容でしょう。
新しい趣向を考える気力が、もはや喪失したということでしょうか。


No.429 4点 最後の自白
高木彬光
(2010/06/04 22:19登録)
近松検事シリーズの第4短編集。
引き続き神戸地検編で6編収録されています。
「影の男」は密室トリックが平凡で、「最後の自白」は容疑者たちが次々と犯行を自白するプロットのみが面白い。
「かまきりの情熱」が倒叙ミステリの力作で編中のベストですが、前作と比べて全体的に出来がよろしくないです。


No.428 5点 偽装工作
高木彬光
(2010/06/04 22:10登録)
近松検事シリーズの第3短編集。
神戸地検編の2作目で、前作に比べてトリック重視の本格ミステリが多い。
「寒帯魚」はクーラーを使ったアリバイトリックに捻りがあり、「完全の限界」は変形倒叙もの。
マイベストは「弾道の迷路」で、オーソドックスな不可能犯罪ものの力作。


No.427 5点 罠のなかの八人
海渡英祐
(2010/06/04 21:51登録)
ミステリ短編集。
表題通り色々な登場人物に思わぬ落し穴や罠が仕掛けられています。
風俗描写に時代性が感じられたり、ほとんど男女関係がらみであったりで痛い点もありますが、罠の標的が反転する意外性が楽しめる各種のヒネリが面白かった。
なかでは、読者の先入観を逆手に取った「見知らぬ恋人」が個人的ベストです。


No.426 5点 海を渡る牙
佐野洋
(2010/06/04 21:18登録)
動物写真家を主人公にした連作ミステリ。
前半の収録作は、壱岐の島や北海道山中など撮影現場での骨のある事件を扱っていて完成度が高いと思います。とくに、表題作の「海を渡る牙」は伏線の張り方やトリックが素晴らしい。
ただ後半の作品は、日常の謎系ミステリになってしまい凡作が並んでいます。


No.425 6点 葬式神士
結城昌治
(2010/06/04 21:09登録)
ミステリ短編集(角川文庫版)。
軽妙でシニカルなオチの作品が多く収録されていて、今でも充分楽しめる。
「葬式神士」「絶対反対」「替玉計画」がとくに面白かった。


No.424 7点 男は旗
稲見一良
(2010/06/04 19:02登録)
男の浪漫あふれる海洋冒険小説。
かつての豪華船で今は海上ホテルとなっている老朽船を宝探しのため大海原に出航させるというストーリー。
子供の心を捨てきれない男たちの冒険物語で、最後はなんとファンタジーに昇華します。
小説としては構成の甘さがあったり、後半は文章もひどいことになっていますが、作者が小説を書き始めた動機や本書執筆時の体調を思うと、物語の男たちと作者が二重写しに見えて、思わず感動を覚えました。


No.423 5点 明日という過去に
連城三紀彦
(2010/06/04 18:33登録)
女性同士で交わされる手紙文のみで構成された長編ミステリ。
お互いに嘘と嘘のせめぎ合いで、告白者と告発者がめまぐるしく入れ替る。物語の人物が騙されるくらいなので、読者が翻弄されるのは当然のことですが、反転が技巧に走り過ぎていて、最後は真相はどうでもいいやという気分になりました。


No.422 7点 蒼ざめた街
藤田宜永
(2010/06/04 18:11登録)
昭和初期の帝都・東京を時代背景にした異色のハードボイルド、モダン東京シリーズ第1作。
主人公のアメリカ帰りの私立探偵・的矢健太郎をはじめ、カフェの女給などの下層階級、男爵などの上流階級の人々が不況で倦怠感あふれる都会の情景に融け合って、ノスタルジックな気分を堪能できる。
ハードボイルドというには甘めですが、物語世界がキッチリ構築された秀作だと思いました。


No.421 6点 燃えつきる日々
海渡英祐
(2010/06/03 21:25登録)
太平洋戦争前夜の日本を時代背景にした長編ミステリ。
77年の第1回週刊文春年末ベストテンの第2位ということでちょっと期待して読みました(当時は内外ミステリ統一で、第1位は「シャドー81」なので国内ものでは第1位)。
端的にいうと謀略系の戦争秘話に恋愛ミステリを加味した構成で、力作ではあるけれど本格ミステリとしては薄味です。当時のベストテン選者の年齢層・嗜好が影響した第2位だと思いました。


No.420 5点 バルーン・タウンの手品師
松尾由美
(2010/06/03 21:07登録)
妊婦のみが住む街”バルーン・タウン”シリーズ第2弾。
内外古典ミステリをパロッた作品が多かった前作に比べ、今作はちょっとおとなしめですが、主人公の暮林美央を中心にした推理合戦が目立ちます。
私的ベストは「オリエント急行十五時四十分の謎」で、人間消失のバカトリックと本家の趣向を取り入れた稚気を評価。


No.419 6点 墓標なき墓場
高城高
(2010/06/03 20:38登録)
初期の長編ハードボイルド小説。
北海道根室沖の海難事故の謎を支局の記者が追いかけるというストーリー。
簡潔で乾いた文体は確かにハードボイルドですが、地方支局の生活状況や海霧の中の釧路・根室地方の情景描写などに文芸的な香りが漂い、読み心地がよかった。結末がやや通俗的な感じがして惜しいと思いました。


No.418 4点 義経幻殺録
井沢元彦
(2010/06/03 19:03登録)
芥川龍之介が探偵役を務める歴史ミステリ、シリーズ第2弾。
義経=成吉思汗説ではなくて、義経の子孫=清国の始祖説が今作のテーマで、例によって現在の殺人事件が絡みます。
謎の青年ミン・ヂイ(明智)やロシア皇女アナスタジアなど読者サービス志向の登場人物はともかくとして、歴史の謎の究明があれでは欲求不満が残ります。


No.417 3点 水野先生と三百年密室
村瀬継弥
(2010/06/03 18:43登録)
新任の女子高校教師が過去の殺人と伝説の人喰い蔵の謎を解くという長編ミステリ。
作者の第2作ですが、長編となると物語の構成力のなさが如実に出ていて残念な出来です。とってつけたような蔵の謎は本筋と全く関連しませんし、過去の殺人の真相も凡庸でした。


No.416 5点 全戸冷暖房バス死体つき
都筑道夫
(2010/06/02 22:26登録)
「退職刑事」の娘・滝沢紅子やライター猿紘一らミステリ好きの仲間が、豪華マンション・メゾン多摩由良周辺で発生した事件を解決する連作ミステリ、シリーズ第1弾。
不可解なシチュエーションの死体や事件をロジックをこねくり廻して解決しますが、往年のキレは見られず、軽めの本格という感じでした。


No.415 5点 江戸川乱歩の推理教室
アンソロジー(ミステリー文学資料館編)
(2010/06/02 21:59登録)
約50年前の昭和34年に編まれた犯人当てアンソロジー「推理教室」からのセレクト第1弾。
推理クイズレベルの作品が多いですが、当時の本格ミステリ作家の珍品が収録されていて資料的価値はあるかもしれません。
飛鳥高3編のうち、「飯場の殺人」「無口な車掌」は共に叙述トリックを使ったオチが目を引く。
楠田匡介「影なき射手」の凶器消失トリック、大河内常平「サーカス殺人事件」の大量絞殺トリックはバカミスとして読める。
死体消失とアリバイ誤認トリックで完成度が高い宮原龍雄「消えた井原老人」がマイベスト。
仁木悦子、鮎川哲也、佐野洋のビックネームの作品はいまいちでした。


No.414 6点 大東京三十五区 冥都七事件
物集高音
(2010/06/02 18:51登録)
昭和初期を舞台に明治時代に発生した怪奇な事件を安楽椅子探偵風に解いていく連作ミステリ、シリーズ第1弾。
探偵役の玄翁老人と聞き手の下宿人大学生のコンビがいい味を出していて、昭和初期のレトロな雰囲気創りに寄与する文体も絶妙です。
最後がまたかアレというのは微妙なところですが、語り口が気に入りました。


No.413 6点 藤田先生のミステリアスな一年
村瀬継弥
(2010/06/02 18:35登録)
小学生時代に担任の藤田先生が見せた「魔法」の数々を30年後に同窓生たちが解くという連作形式のミステリ。
正直、「藤田先生と人間消失」以外はミステリのネタ的に大した出来ではありませんが、田舎の小学生時代のほんわかした雰囲気はよかったです。

2432中の書評を表示しています 2001 - 2020