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ミステリの祭典

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明日という過去に

作家 連城三紀彦
出版日1993年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 E-BANKER
(2014/12/27 21:02登録)
1993年発表の長編。
一周忌を迎え、「このミス」への二作ランクインなど、死後ますます評価が高まる作者・・・さすがです。

~矢部綾子、野口弓絵。二十年あまり姉妹のように信頼し合っていたが、弓絵の夫がガンで死んだのを契機に二人は愛憎をあらわにする。互いの夫との深い交わりと心の惨劇をつづる手紙のやり取り。そこに書かれた酷いまでの嘘と感情が恐るべき愛の正体を伝える。ひとりの男の死を突破口に人間の存在そのものの謎を描ききった感動の傑作長編作品~

このネチネチ感!
これこそが「連城節」とも言える、氏の真骨頂だろう。
綾子と弓絵、そしてそれぞれの夫。
それぞれがそれぞれの夫と不倫を重ねるという凄まじい関係。
しかもそれだけで終わらず、何と娘までも絡んで愛憎劇を繰り広げていく。
これでは昼ドラ(フジTVの13時30分からの奴ね)も真っ青だ!

本作のもうひとつの特徴が「手紙」。
綾子と弓絵の手紙のやり取りだけでラストまで進んでいく。
そこには当然「仕掛け」があるのだけど・・・
最初から最後までとにかく「嘘」だらけ!
嘘につぐ嘘で、一体何が真実なのか分からなくなってくるのは必至。

人間、特に女性って何て業が深いんだろう!
愛する対象をまるで鏡のようにして、結局自分自身を愛してるんだろうなぁ・・・
などということを考えさせられた・・・ってこれじゃミステリーの書評じゃないね。
毎回書いてるけど、これも連城にしか書けない作品。

No.1 5点 kanamori
(2010/06/04 18:33登録)
女性同士で交わされる手紙文のみで構成された長編ミステリ。
お互いに嘘と嘘のせめぎ合いで、告白者と告発者がめまぐるしく入れ替る。物語の人物が騙されるくらいなので、読者が翻弄されるのは当然のことですが、反転が技巧に走り過ぎていて、最後は真相はどうでもいいやという気分になりました。

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