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ミステリの祭典

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文生さんの登録情報
平均点:5.86点 書評数:500件

プロフィール| 書評

No.80 9点 星を継ぐもの
ジェイムズ・P・ホーガン
(2012/04/03 10:40登録)
月面で発見された死後5万年が経過した死体。
彼は一体何者なのか?
ハードSFの論理と本格ミステリーとしてのロジック。
本作はそのふたつの要件を極めて高いレベルで併せ持つ、稀有の傑作である。


No.79 5点 レイクサイド
東野圭吾
(2012/04/03 10:27登録)
それなりに読ませるが、本格ミステリとしては可もなく不可もない凡作。


No.78 7点 皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー
(2012/04/03 01:44登録)
極めて巧妙な作品だと思いますが、misty2さんと同じく真相に気づいてしまったのがなんとも残念。
小説自体はカーにしてはケレンに乏しく、これを物足りないと感じるか、読みやすいととるかで評価が分かれそう。


No.77 7点 首無の如き祟るもの
三津田信三
(2012/04/03 01:34登録)
本格ミステリーのロジックとホラー小説としての恐怖が見事に融合した傑作。
ただ、警察の指紋照合の仕方がきわめて杜撰に感じられる所があり、これが個人的に大きなマイナス点になっている。


No.76 3点 ウインター殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2012/04/03 01:19登録)
ヴァン・ダインの遺作となった12作目の長編作品。
著者の死により未完成のダイジェスト版での出版となったため、内容はかなり薄い。
それを差し引いてもプロット、トリック、事件の概要といったミステリー的要素に特筆するものが何もなく、印象に残らない作品になってしまっている。


No.75 7点 密閉教室
法月綸太郎
(2012/04/03 01:05登録)
他の新本格作家のデビュー作と同じく全体に青臭さが鼻につく。
だが、本作の場合はその青臭さが作品のテーマと妙にマッチし、結果として本格ミステリーのロジックと並行して描かれる青春のほろ苦さを効果的に演出するのに成功している。
後の代表作と比べるとまだ甘さが目立つが、その独特の雰囲気が忘れ難い。


No.74 6点 隻眼の少女
麻耶雄嵩
(2012/04/02 20:14登録)
≪ネタばれあり≫

意外な高評価にびっくりです。
確かにこの作品は本格ミステリーとして高いレベルにあると思います。
メタっぽい趣向もいかにも麻耶雄嵩らしく嫌いじゃないです。
おどろおどろしい設定の割に探偵の口から語られる多重推理の数々はいささか地味な気もしますが、しょせん捨てネタなので大きな欠点とは言えないでしょう。
だがしかし、終盤語られる本当の真相。実は「ふく×××つ」でしたって、あれはどうなんだ?
あれですべてはぶち壊しだと思うのだが。
仮にも緻密なロジックが売りの作品であれはないでしょう。


No.73 8点 儚い羊たちの祝宴
米澤穂信
(2012/04/02 19:51登録)
散りばめられた愛書趣味と作品全体のブラックな味わいが非常に自分好みの作品だった。
ただ、帯の惹句から本格ミステリーのどんでん返しなどを期待するとちょっと肩透かしを覚えるのではないかと思う。
真相自体はむしろ予想の範囲内。
最後の一行の衝撃とは意外な真相などではなく、作品のグロテスさを引き立たせるスパイスの一滴なのだ。
そいう意味で、
「あらゆる予想は、最後の最後で覆される」
の一文は出版社側の勇み足と言わざるをえないだろう。


No.72 7点 初秋
ロバート・B・パーカー
(2010/04/27 09:19登録)
少年の成長物語を軸に非常にシャープにまとめられた
ハードボイル小説の佳作。


No.71 7点 探偵映画
我孫子武丸
(2010/01/31 11:00登録)
地味な小品だが、映画の結末を推理するという趣向が面白い。
結末もきれいに決まっていてよくまとまった佳品という感じ。


No.70 5点 魍魎の匣
京極夏彦
(2010/01/29 04:10登録)
京極夏彦の最高傑作であり、ミステリー史上に残る名作という位置づけになっているが、個人的にはイマイチな作品だった。
大ボリュームの中に色々な要素を詰め込み、その壮大さがウリになっているが、核となっているミステリーの部分が弱すぎる。
消失トリックはすぐに分かったし、犯人の正体は意外性のカケラもないし、複数の事件はそれぞれ×××だし、何というか単純な事件をわざわざ複雑に書いているような印象を受けるのだ。
ミステリー以外の部分は評価できるが、本格ミステリーの形を取っている以上、ミステリーとしての弱さで全体の評価を下げざるを得ない。


No.69 8点 姑獲鳥の夏
京極夏彦
(2010/01/28 04:13登録)
事件を妖怪の仕業、推理を憑き物落としに見立てたストーリーが興味深く、一気に引き込まれた。
反則気味の人間消失トリックも榎木津の特殊能力や京極堂の薀蓄を伏線としてからませ、そのうまさに思わず納得させられてしまった。
個人的には本作品がシリーズのピークで以後巻を重ねるごとにボリュームの増加が冗長に感じられ、ミステリーとしての質も低下しているように思えるのが残念。


No.68 8点 白光
連城三紀彦
(2010/01/27 14:41登録)
典型的な本格ミステリーのように終盤でどんでん返しの快感を味わえるようなタイプの作品ではないです。
語り手が代わる度に事件の違う側面が明らかになり、事件の根深さが露出する。
そして単純と思われた事件に隠されたとんでもない構図が名探偵の推理ではなく、文学的な香りともに徐々に徐々につまびらかにされていきます。
その過程が実に味わいがあって読んでいてゾクゾクしました。
トリックやロジックは皆無なので本格ファンには受けが悪いかもしれませんが、個人的には連城三紀彦ミステリーの中で一番気に入っている作品です。


No.67 7点 はじまりの島
柳広司
(2010/01/27 14:18登録)
本格ミステリとしてはやや小粒ですが、若き日のダーウィンを主人公に、進化論とうまく絡めた事件やトリックが興味深い。
プロットのうまさが光る佳作です。


No.66 6点 アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂幸太郎
(2010/01/25 12:28登録)
伊坂幸太郎の文章はよく村上春樹に似ているといわれますが、本作はその中でも特に村上春樹っぽい作品に仕上がっています。
おしゃれかつ文学っぽい語りで展開する謎の顛末は、それなりに面白くはあるけれど、インパクト不足で物足りなさが残りました。


No.65 3点 プリズン・トリック
遠藤武文
(2010/01/25 12:14登録)
江戸川乱歩賞お得意のちょっと変わった職業や設定についての詳細を語りつつミステリーを展開していくタイプの作品。
そういう意味では、交通刑務所の内情はよく書けていると思う。
ただ、受賞理由になった本格ミステリーとしての魅力があまり感じられなかった。
いろいろ謎やトリックはあるのだが、どれも無理があったり、投げっぱなしだったりでいかにも練り込み不足という感じがする。


No.64 5点 僧正殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2010/01/24 12:53登録)
童謡殺人というジャンルを確立したという意味において偉大な作品ですが、本格ミステリとしての面白みがほとんどない点が評価が分かれるところです。
サスペンスものとしても話が冗長でテンポの悪さが目立ちます。
格調高い作品なので、古き良き時代の探偵小説をじっくり読みたいという人にはおすすめですが。


No.63 5点 グリーン家殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2010/01/24 12:38登録)
良く言えば王道、悪く言えばありきたりな推理小説で現代の目から見れば突出した所は何ひとつないのですが、洋館の中での連続殺人というひとつの定型を作り出したという点では『そして誰もいなくなった』と双璧をなす金字塔的作品です。


No.62 5点 超・殺人事件―推理作家の苦悩
東野圭吾
(2010/01/24 12:32登録)
「超読書機械殺人事件」とか結構面白いけれどミステリーのパロディとしてはベタで特筆するものはない。
マニアとしてはもっと凝ったものが読みたかったというのが正直な所。


No.61 5点 スタイルズ荘の怪事件
アガサ・クリスティー
(2010/01/23 14:48登録)
クリスティーのデビュー作で、ある有名なトリックが使われている。
ただ、このころのクリスティにはまだ作家としての超絶技巧なテクニックを持ち合わせておらず、中期以降の作品に比べると面白みに欠ける。

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