ウインター殺人事件 別題『ウィンター殺人事件』 |
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作家 | S・S・ヴァン・ダイン |
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出版日 | 1958年01月 |
平均点 | 4.25点 |
書評数 | 8人 |
No.8 | 5点 | 虫暮部 | |
(2023/01/26 13:06登録) 月下のスケーターとか背骨を傷めた少女とか、絵になるキャラクターなのに、その設定が事件には殆ど絡んで来ないなぁ。 鍵を盗んだ時、犯人は鍵束から目当ての一本を見分けられたのか。何故鍵束ごと持ち去らなかったのか。伏線だと思ったんだけどなぁ。 ヴァン・ダインの末期作品は期待値が低いので相対的に意外と楽しめた。 ところで、ジョン・F・X・マーカムの X ってなんだろう。Xavier ? |
No.7 | 3点 | レッドキング | |
(2020/11/29 20:52登録) ヴァン・ダインの記念すべき遺作。 これで全12作・・短編集除く・・採点したんで、わが私的ヴァン・ダインベスト5。 第一位:「ベンスン殺人事件」 第二位:「グリーン家殺人事件」 同二位:「ケンネル殺人事件」 第四位:「カブト虫殺人事件」 第五位:「ドラゴン殺人事件」 なんだかんだ言ってもいつまでも記憶されるべき作家の偉大な業績に追悼! |
No.6 | 4点 | ボナンザ | |
(2019/04/20 23:46登録) 結果としてこれがヴァンダインの最後の作品になってしまったのは残念。 |
No.5 | 4点 | クリスティ再読 | |
(2018/07/30 00:30登録) 暑中お見舞い申し上げます。納涼3連発、第2弾「ウィンター殺人事件」 「別名S.S.ヴァン・ダイン」によると、最後の2作あたりは「映画の原作」に名前をつける、という本当にカネのための仕事だったようだ。本作は美人スケーターのソニア・ヘニー主演映画ありき、で書かれたアイドル映画のシナリオみたいなもの。だからエラ・ガンサー(ソニア)が2回もフィギュアを披露する場面があって、素直に映画になっていればこれが見せ場で、特にあとの方はヴァンスの真犯人指名とカットバックになって...とかいう場面だったろうな。というわけで「映画の原作」(というか原作のための原作だし)の役割はちゃんと果たしている。それでもママならぬ世の中で、ちゃんとは映画化されなかったようだ。 冬の雰囲気はちゃんと出ているので、「サムい」という意味ではなくて、納涼の目的は果たせる。よかった。けど、ミステリとしては...どうだろう、謎は小粒だし、推理も恣意的。けど何かヴァンスがイイ奴に思えてくる(ソニアのアイスショーの司会をするんだよ)。書き込みがなくて短いし「グレイシー・アレン」みたいに混乱してないから、結構読みやすい。 で、本作はオマケで「推理小説作法の二十則」と「推理小説論」がついてくる。とくに「推理小説論」はヴァン・ダインの理論とミステリの歴史を簡潔にまとめたなかなか読み応えのある評論。ミステリと「現実性」を扱った箇所など、なかなか興味深い。やはりヴァン・ダインのセミ・ドキュメンタリタッチは、いろいろ読んだ末の結論だったようだ。オマケに+1点。 |
No.4 | 5点 | 青い車 | |
(2017/02/24 19:13登録) まだストーリーの肉付け前で、梗概のような状態のまま発表されたヴァン・ダインの最終作。トリックらしいトリックがなく、今の読者が満足できるレベルには残念ながら達していません。完成形でないために情景描写に浸れないのも寂しいです。これまで時として疎ましく思う場面もあったヴァンスの皮肉な薀蓄やセリフ回しがないのも、それはそれで味気なく感じました。せめて完全に出来上がるまで作者には頑張ってもらいたかった、と思うと心残りです。 図書館で借りるなどしてヴァン・ダイン全作をコンプリートしましたが、有名な『僧正』『グリーン家』だけの作家ではないことがわかりました。『ベンスン』や『カナリヤ』などはファイロ・ヴァンスのキャラが楽しめ、『カブト虫』『ケンネル』『ガーデン』ではテクニックが冴え、『ドラゴン』『カシノ』『誘拐』でもそれぞれ他にはない趣向を凝らしています。傑作ぞろいではないにしても時間と興味がある人にはぜひ体験してほしい作品がそろっています。 |
No.3 | 6点 | nukkam | |
(2015/10/11 22:35登録) (ネタバレなしです) ヴァン・ダイン(1888-1939)の最後の作品となったファイロ・ヴァンスシリーズ第12作の本格派推理小説です(1939年出版)。中編小説に近いぐらいの短いヴォリュームですが実はまだ完成形でなく、もっと物語を肉付けしていく予定だったのが作者の死去によって最終稿の一歩手前で終わったそうです。確かにヴォリュームの割には登場人物が多過ぎで整理しきれていない感がありますが、エンディングをきちんと迎えていて謎解き小説として一応成立しています。まだ未完成ゆえかヴァンスがそれほど無駄話していないのはむしろプラス評価かも(笑)。 |
No.2 | 4点 | 空 | |
(2014/05/14 23:49登録) ヴァン・ダインの第12作は創元推理文庫版で150ページぐらいですが、「まえがき」にも書かれているように、小説としての体裁だけは整えているものの完成形ではなく、登場人物の性格付けや情景雰囲気を描きこむ前の段階です。 今回久々に再読してみると、犯人の意外性とか全体的な事件構造は悪くないと思いました。ただしこの段階では、小説としての盛り上げ等の面白さに欠けるのはともかく、ミスディレクション用登場人物の扱いも、本来の目的を達成できていません。まだ小説としての体裁もできていない梗概段階だったクイーンの『間違いの悲劇』がそのような効果をすでに意識した作りだったのと比較してみると、ヴァン・ダイン流の小説作法が窺えます。 有名な20則と、本名で1927年に発表された「推理小説論」が付いていますので、これらの主張と上述の小説作法を考え合わせてみるのも、一興でしょう。 |
No.1 | 3点 | 文生 | |
(2012/04/03 01:19登録) ヴァン・ダインの遺作となった12作目の長編作品。 著者の死により未完成のダイジェスト版での出版となったため、内容はかなり薄い。 それを差し引いてもプロット、トリック、事件の概要といったミステリー的要素に特筆するものが何もなく、印象に残らない作品になってしまっている。 |