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ミステリの祭典

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nukkamさんの登録情報
平均点:5.44点 書評数:2929件

プロフィール| 書評

No.1449 6点 女郎ぐも
パトリック・クェンティン
(2016/07/15 12:16登録)
(ネタバレなしです) 1952年発表のダルース夫妻シリーズ第8作でシリーズ最終作(トラント警部も登場します)、ウェッブとホイーラーのコンビ作品としても最後の作品らしいです。本書以降のクェンティン作品はホイーラー単独執筆によるサスペンス小説路線になるのですが本書でも本格派推理小説としての謎解きはあるけれどピーター・ダルースの危機また危機の描写の方にに力点を置いており、後年の代表作「二人の妻をもつ男」(1955年)を彷彿させます。もっともピーターの行動は時に思慮を欠いていて身から出た錆ではないかと思いましたけど(笑)。


No.1448 5点 ロンジン・ティーと天使のいる庭
ローラ・チャイルズ
(2016/07/15 12:10登録)
(ネタバレなしです) 2007年発表の「お茶と探偵」シリーズ第8作で、18章や終盤ではアクションシーンがやや目立っているもののコージー派の気楽に読める雰囲気は損なわれていません。前ぶれ的な推理もなく犯人の正体が唐突に判明してそこからばたばたと真相が明らかになる展開は謎解き好き読者には不満も多いでしょうが、このシリーズはどの作品も解決パターンが似たり寄ったりなのでそこはあきらめましょう(笑)。


No.1447 5点 一瞬の光
アーロン・エルキンズ
(2016/07/14 16:26登録)
(ネタバレなしです) 1991年発表の美術館員クリス・ノーグレンシリーズ第2作です。殺人事件もありますが盗難事件での巻き添えに過ぎません。前作「偽りの名画」(1987年)と同じく手先を使っての(しかも今回はマフィアがらみ)犯罪があるのではせっかく20章でクリスが推理を披露して犯人を指摘していても本格派推理小説としての魅力を落としていると思います。美術好きなら美術及び美術界に関する知識をたっぷり堪能できますし、美術に無関心の読者でもイタリア描写は(料理も美味しそう)楽しめると思います。


No.1446 6点 カウント9
A・A・フェア
(2016/07/14 14:50登録)
(ネタバレなしです) 1958年発表のドナルド・ラム&バーサ・クールシリーズ第18作で、ハヤカワポケットブック版の巻末解説で紹介されているように本格派推理小説要素がかなり強い作品です。しかも密室風の謎というのが珍しいです。但し不可能犯罪的な演出は弱いのですが。ハウダニットに重きを置きすぎて犯人当てとしては推理らしい推理もなく解決してしまったようなところがあります。また密室トリックについてもある大事なところが(ネタバレ防止のため詳しく書けませんが)説明されていないような気がします。むしろ前半の盗難品探しに関する切れ味抜群の推理の方が印象的でした。


No.1445 5点 トム・ブラウンの死体
グラディス・ミッチェル
(2016/07/14 14:13登録)
(ネタバレなしです) 1949年発表のミセス・ブラッドリーシリーズ(本書のハヤカワポケットブック版ではブラッドリイ夫人)の第22作です。解説によればこのタイトルはトマス・ヒューズ(1822-1896)の「トム・ブラウンの学校生活」(1857年)をもじっているらしいです。ちなみに本書にはトム・ブラウンという名の人物は登場しませんし、私はヒューズの作品を読んでいないので本書との関連性があるのかどうかはわかりません。中盤のビネ=シモン式知能検査法の場面は江戸川乱歩の短編「心理試験」(1925年)を読んだ人なら思わずニヤリとしそうです。ミッチェルの作品としては「おとなしい」という評価が多いようですが最終章の衝撃は「ソルトマーシュの殺人」(1932年)や「タナスグ湖の怪物」(1974年)にも劣らないと思います。推理説明が物足りなくて真相に唐突感があるのがちょっと不満です。


No.1444 6点 シャドー牧場の秘密
キャロリン・キーン
(2016/07/14 14:02登録)
(ネタバレなしです) 1931年発表のナンシー・ドルーシリーズ第5作で、以降のシリーズ作品でレギュラー出演することになるナンシーの親友ベスとジョージ(この名前で女の子だったのにはびっくり!)が初登場する作品です。事件は次々起きますがプロットはシンプルで読みやすく(そのため犯人の目的も早々と予想がつきますが)、冒険心くすぐる展開が魅力的です。西部劇的な雰囲気漂う舞台も特徴の1つです(少女読者向けミステリーですから銃撃戦なんかはありませんけど)。


No.1443 6点 猫は鳥を見つめる
リリアン・J・ブラウン
(2016/07/14 12:55登録)
(ネタバレなしです) 1991年発表のシャム猫ココシリーズ第12作です。結構早い段階で犯罪が起きるのですが死体発見者でもあるクィラランもココも捜査には積極的に参加せず、随分と回り道した挙句に唐突に解決されてしまったかのような感じを受けました。でも一応は謎解き伏線を張ってありましたね。


No.1442 5点 無実はさいなむ
アガサ・クリスティー
(2016/07/13 14:19登録)
(ネタバレなしです) 1958年発表のシリーズ探偵の登場しない本格派推理小説です。クリスティー文庫版の(濱中利信による)巻末解説でも指摘されている通り、登場人物の個性がないわけではないのですが主人公不在の物語のためかクリスティーにしてはだらだらしたプロットに感じられます(あくまでもクリスティーとしてはですが)。部分的には優れたところもありますけど謎解きも粗いです。


No.1441 5点 水時計
ジム・ケリー
(2016/07/13 13:44登録)
(ネタバレなしです) 英国のジム・ケリー(1957年生まれ)がジャーナリストから作家に転向して2003年に発表したのがフィリップ・ドライデンシリーズ第1作となる本書です。創元推理文庫版の巻末解説でも紹介されていますがドロシー・L・セイヤーズの名作「ナイン・テイラーズ」(1934年)の影響が見られる本格派推理小説です。もっともセイヤーズ作品に時折見られるのどかな雰囲気やユーモアは本書では皆無に近く、ドライデンの不幸な境遇の描写もあって重苦しさとシリアスさに満ちています。ただドライデンが妻以外の女性とベッドインしたりしているのでどこまで読者の共感を得られるかは未知数ですけど。プロットは予想以上に複雑で後期のアガサ・クリスティーが得意とした「回想の殺人」的な展開を見せるのも興味深いところです。


No.1440 6点 白夜に惑う夏
アン・クリーヴス
(2016/07/13 13:37登録)
(ネタバレなしです) 2008年発表のシェトランド四重奏シリーズの第2作で白夜の季節を背景にしていますが観光的な描写はほとんどなく、謎解きもかなりの部分が被害者の素性調査に費やされているのでとても地味です。それなりには意外性を持たせた真相だと思いますが淡々とした筋運びのため読者が驚きにくくなっているのが惜しまれます。まあ物語性を重視した結果と言えなくもありませんがもう少し盛り上げる演出がほしかったです。


No.1439 7点 エンジェル家の殺人
ロジャー・スカーレット
(2016/07/13 13:29登録)
(ネタバレなしです) 1932年発表のケイン警視シリーズ第4作でヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」(1929年)を連想させるプロットの本格派推理小説です。江戸川乱歩が大絶賛して本書を下敷き(というかほとんど模倣)にした作品を書いたことでも有名です。エレベーターの密室というのが大変珍しく(トリックは可もなく不可もなくといった程度ですが)、ぎりぎりまで犯人の正体を明かさないなど謎解きの面白さは黄金時代の作品ならではです。


No.1438 7点 災厄の紳士
D・M・ディヴァイン
(2016/07/13 13:27登録)
(ネタバレなしです) 1971年発表の第10作となる本格派推理小説です。創元推理文庫版の巻末解説では過去作品との類似性が指摘されていますが小説としてもしっかり作られているだけあって単なる二番煎じには感じません。初期の作品に比べると人物関係がやや整理不十分に感じるところもありますが大きな欠点というほどではなく、過去の出来事にまでさかのぼっていく複雑なプロットですが読みやすいです。


No.1437 4点 正義
P・D・ジェイムズ
(2016/07/12 20:12登録)
(ネタバレなしです) 1997年発表のアダム・ダルグリッシュシリーズ第11作です。被害者とその人間関係を描いた第一部など前半はまあまあ快調ですが、ある手紙でかなりの謎が解ける終盤の展開は推理の要素が薄くて本格派推理小説好きには受けにくいと思います。最後にあるどんでん返しが用意してあるのですが過去作品の焼き直し感が強く、作者もそろそろ息切れ気味ではと私は下衆の勘繰りをしてしまいました。


No.1436 5点 背教者カドフェル
エリス・ピーターズ
(2016/07/12 20:06登録)
(ネタバレなしです) 1994年発表の修道士カドフェルシリーズ第20作はエリス・ピーターズ(1913-1995)の遺作となりました。このシリーズは年代記的な要素もあるのですが特に本書は過去作品を読んでいないと面白さが激減すると思います。少なくとも「氷のなかの処女」(1982年)は事前に読んでおくべきでしょう。スティーブン王とモード女帝が登場するのも大変貴重ですし(私の記憶違いでなければ後者はシリーズ初の直接描写かと思います)、小規模ながら戦闘場面まであります。本格派推理小説としては弱くて推理がほとんどないまま場当たり的に解決していますが(でも容疑者がとても少ないので犯人は結構当てやすい)、起伏のある冒険要素の強い物語として(もちろん人間ドラマとしても)楽しめます。


No.1435 6点 沙蘭の迷路
ロバート・ファン・ヒューリック
(2016/07/12 20:00登録)
(ネタバレなしです) 歴史本格派推理小説のシリーズ探偵というとメルヴィル・D・ポースト(1869-1930)のアブナー伯父あたりがパイオニア的存在だと思いますが短編作品のみの主人公なので、長編ミステリーならばオランダのロバート・ファン・ヒューリック(1910-1967)のディー・レンチェ(狄仁傑)が先駆者ではないでしょうか。このシリーズは舞台が唐代の中国で風俗描写が丁寧なこと、作者が描いたイラストがいくつも挿入されていること、巻末には作者による自作解説が付くなど個性が一杯です。本書は1956年発表のシリーズ第1作だけあってディー判事の4人の副官がそれぞれに活躍しているし、密室殺人や迷路などの派手な謎に加えてイラストにも手掛かりが隠されていたり悪党一味との戦闘場面もあるなど内容は充実しています。処刑シーンの克明な描写はやり過ぎかなとも思いますが入門編としてお勧めです。なお英語原題は「The Chinese Maze Mureders」なので最初の翻訳版の「中国迷路殺人事件」というタイトルの方が通りがいいと思います。


No.1434 5点 チェリー・チーズケーキが演じている
ジョアン・フルーク
(2016/07/12 19:50登録)
(ネタバレなしです) 2006年発表のハンナ・スウェンセンシリーズ第8作です。冒頭(プロローグ)でいきなり事件が起きていますが第1章からは事件の2週間前にさかのぼって事件に至るまでの過程を描くという、アガサ・クリスティーの「ゼロ時間へ」(1944年)やパット・マガー的な手法を採っています。しかし内容的には益々ややこしいことになっていくハンナのロマンス描写が中心で、ミステリーとしての盛り上がりを欠いた物語が長く続くので少々冗長に感じます。事件がようやく起きてからはハンナとその仲間たちによるおなじみのにぎやか捜査が楽しめますがわかりやすい証言や証拠に巡り合って犯人の正体が場当たり的かつ容易に見当がついてしまうという、推理要素の少ない謎解きは物足りなかったです。


No.1433 6点 マダム・タッソーがお待ちかね
ピーター・ラヴゼイ
(2016/07/12 19:43登録)
(ネタバレなしです) 1978年発表の本書はクリッブ部長刑事&サッカレイ巡査シリーズの第8作でシリーズ最終作となった本格派推理小説です(但し本書はサッカレイは登場せずクリッブ単独の物語です)。エラリー・クイーンの「Zの悲劇」(1933年)やウィリアム・アイリッシュの「幻の女」(1942年)のようなタイムリミットが設定されていますがりゅうさんのご講評でも紹介されていますがサスペンスはそれほど強くなく、クリッブの地道な捜査を丁寧に描いてテンポはむしろ遅めです。アガサ・クリスティーの某作品を連想させるトリックが使われていますがトリックそのものよりもクリッブが真相を掴むことによって事件関係者たちが動揺するシーンの方が印象に残る作品でした。


No.1432 5点 キルトは楽しい
アリサ・クレイグ
(2016/07/11 01:52登録)
(ネタバレなしです) 1985年発表のディタニー・ヘンビットシリーズ第2作です。このシリーズの面白いところはグラブ&ステークス園芸ローヴィング・クラブの面々の会話や行動だと思います。本書の場合は序盤はなかなか快調ですが中盤からはそれが控えめになり、普通のミステリーになったのがちょっと物足りませんでした。屋根裏部屋の窓から墜落死したかに思えたがその窓は人が通り抜けるには小さすぎたという事件が起こり、フーダニットよりもハウダニットの謎の方に焦点を当てているのが珍しいですが、トリックは拍子抜けでした。ちゃんと鑑識していれば最初からばれてしまうと思います。


No.1431 4点 愛は売るもの
ジル・チャーチル
(2016/07/11 01:44登録)
(ネタバレなしです) 2003年発表のグレイス&フェイヴァーシリーズ第4作ですがシリーズとしての方向性を見失っているのではと心配になりました。前作「闇を見つめて」(2001年)に比べると歴史描写が物足りなく、さりとて第1作や第2作のユーモアが戻ってきたわけでもありません。リリーはまだしもロバートの存在感が希薄なのも気になります。謎解きも中だるみ気味でした。


No.1430 4点 淑女の肖像
ダイアン・A・S・スタカート
(2016/07/11 01:34登録)
(ネタバレないです) 2009年発表の本書はレオナルド・ダ・ヴィンチシリーズ第2作ではありますが主人公が語り手のディノ(デルフィーナ)なのはいいとしても今回のレオナルドは登場場面が少なく、最後の場面でも格好よく締めくくったとはいえません。ストーリーの盛り上げ方は巧妙ですが謎解き要素は前作よりもますます希薄になりロマンチック・サスペンス風に流れていきます。もともとこの作者はロマンス小説家だったのでこうなってもおかしくはありませんけど。

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