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ミステリの祭典

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沙蘭の迷路
ディー判事 別題『迷路の殺人』『中国迷路殺人事件』『中国迷宮殺人事件』

作家 ロバート・ファン・ヒューリック
出版日1951年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2016/07/12 20:00登録)
(ネタバレなしです) 歴史本格派推理小説のシリーズ探偵というとメルヴィル・D・ポースト(1869-1930)のアブナー伯父あたりがパイオニア的存在だと思いますが短編作品のみの主人公なので、長編ミステリーならばオランダのロバート・ファン・ヒューリック(1910-1967)のディー・レンチェ(狄仁傑)が先駆者ではないでしょうか。このシリーズは舞台が唐代の中国で風俗描写が丁寧なこと、作者が描いたイラストがいくつも挿入されていること、巻末には作者による自作解説が付くなど個性が一杯です。本書は1956年発表のシリーズ第1作だけあってディー判事の4人の副官がそれぞれに活躍しているし、密室殺人や迷路などの派手な謎に加えてイラストにも手掛かりが隠されていたり悪党一味との戦闘場面もあるなど内容は充実しています。処刑シーンの克明な描写はやり過ぎかなとも思いますが入門編としてお勧めです。なお英語原題は「The Chinese Maze Mureders」なので最初の翻訳版の「中国迷路殺人事件」というタイトルの方が通りがいいと思います。

No.1 7点 kanamori
(2010/07/01 18:01登録)
中国唐代を時代背景にした歴史ミステリ、ディー判事シリーズの第1作。ちくま文庫版「中国迷路殺人事件」で読みました。
このシリーズは色々な面で非常にユニーク。
一つはオランダ人作家が書いた中国歴史もののミステリという点で、しかも挿絵を作家自身が書いている。
二つ目は、ほとんどの作品で3つの事件が並行して進行する点で、モジュラー型の本格ミステリになっている。
本書は、中でも秀逸な迷路の秘密などミステリ趣向が好みに合い、シリーズの代表作といえる作品だと思います。

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