魔法使いは完全犯罪の夢を見るか? 「魔法使いマリィ」シリーズ |
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作家 | 東川篤哉 |
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出版日 | 2012年09月 |
平均点 | 5.22点 |
書評数 | 9人 |
No.9 | 3点 | mediocrity | |
(2020/03/05 05:02登録) 設定の特殊さゆえに楽しめはしたが、ミステリとしては4作ともつまらなかった。 『魔法使いと逆さまの部屋』 このトリックは100人中99人が見破ると思う。 『魔法使いと失くしたボタン』 これは逆に、読者が推理するには情報不足でしょう。 『魔法使いと二つの署名』 1時間ドラマでよくあるパターンの中でも最もつまらないと思うやつ。 『魔法使いと代打男のアリバイ』 このネタは1時間ドラマというより2時間ドラマぽい。十津川警部辺りがアリバイ崩しの過程で指摘しそうだ。 |
No.8 | 6点 | 青い車 | |
(2016/11/20 00:25登録) 倒叙スタイルと聞くとコロンボ、古畑、最近でいうと福家警部補などが挙げられますが、それらと比べると本作はちょっと物足りません。じわじわとした状況証拠の積み重ね、それに伴う犯人との対決感、そして意外な決め手によるカタルシス、そういったものを期待していた身としてはややがっかり。むしろコロンボのようなスタイルの倒叙の方が少ないし、そもそも対決の緊張感など東川さんの作風とは相性が悪いのは知っていますが。 ワン・アイディア頼みの作品が多いですが、三話目ではいわゆる逆トリックが痛快で、評価できるポイントだと思います。あと、四話目の小さなアイテムからアリバイが崩れる発想はなかなか悪くありません。 |
No.7 | 6点 | makomako | |
(2015/10/24 15:09登録) 推理小説に魔法使いが出てきては反則でしょう。なんせどんな密室でも魔法でとおりぬけ、瞬間移動でアリバイができたではお話にならないのですから。 まあ本作品はこんなとんでもないことはやっていません(あたりまえか) 倒叙型推理小説といった分類となるのでしょうか。なんせ犯人は分かっているし犯罪方法もはじめに述べてあるのですから。これをさえない刑事がマリィが魔法で解決?させたものを、現実に合わせての解決へ持ち込むといった推理小説としてあまり見たことがない筋書きとなったいます。 第1作の魔法使いといかさまの部屋を読んだときは、大分がっかり。いつものギャグも大して面白くないし。さらに読んでいくとこの設定になれたのかまあ面白くは読めました。 東川氏のファンとしては「謎解きはディナーの後で」がヒットする前の作品のほうが好みです。作者も売れっ子となり忙しいのか、作品の質がやや低下してきたように思われるのは残念です。 |
No.6 | 6点 | 名探偵ジャパン | |
(2014/12/20 11:25登録) いつテレビ朝日で金曜夜にドラマ化してもおかしくない、ライトな短編集。 魔法で犯人に自白させ、そこから証拠固めというほぼ一貫したスタイル。犯人特定に至るプロセスを大幅に短縮できるこのシステムはいいのだが、ひとつ問題がある。それは「その魔法による自白は常に100%不可謬なのか?」という点だ。 魔法も万能ではなく、万が一の確率で犯人でない人物に自白をさせてしまったのだとしたら。主人公たちは冤罪を作るために一生懸命証拠捜しをするという、笑えないある意味現実的(?)な事態になってしまう。 これを防ぐために作者が取った小説としてのシステムがいわゆる「倒叙もの」である。冒頭で犯人が犯行を行っている場面を読者に見せて、「間違いなくこの人が犯人ですよ」と宣言しているのだ。 だから、読者は後に魔法使いが指摘する犯人が、間違っていないと認識でき、安心して読み進めることができるのだ。 しかしこれは作品世界の外にいる我々読者だけが知りうること。作中人物の主人公刑事が、魔法使いの魔法をまったく鵜呑みにしてしまっているのは少し問題だと思うが、そんな重箱の隅をつつくような作品ではない。作者特有の7割笑って3割すべるギャグとともに気軽な気持ちで楽しみたい。 |
No.5 | 4点 | mozart | |
(2014/12/19 06:54登録) 魔法使いの少女と被虐嗜好の刑事という一風変わった「コンビ」という設定は目新しさはあるものの、二人のキャラクターが今一つ内容にフィットできていないような気がします。ミステリーとしてはこの著者の他の短編作品と同様、小粒ですがそれなりに「本格」になっており、要は登場人物の魅力の差が作品に対する好き嫌いを左右していると言えるのでしょう。 |
No.4 | 6点 | まっち | |
(2014/03/09 12:21登録) 魔法使いという設定がうまく使われていたと思います。 ギャグ満載で楽しかったです。 |
No.3 | 5点 | まさむね | |
(2012/12/10 23:35登録) 魔法使いと本格ミステリという突っ込みどころ満載の設定(笑)を,逆に上手く使ってまとめていますねぇ。そこは流石人気作家。 ただし,ネタとしてもギャグとしても小粒だったという印象。(1時間ドラマには,キャラ設定を含めて丁度良い塩梅かもしれません。むしろ狙っているのか?) 個人的には,烏賊川市シリーズか鯉ヶ窪学園シリーズの方が好みかな。 |
No.2 | 5点 | kanamori | |
(2012/10/31 19:56登録) 魔法使いの少女と被虐趣味?の若手刑事による連作ミステリ。 全4編とも倒叙形式のため、アリバイなどの犯人による偽装工作が如何にして暴かれるかという発覚の契機の面白さで読ませるものが多かった。そのなかで、”チャイナ橙”風の1話目「魔法使いとさかさまの部屋」だけは、ハウダニットのキモの部分を読者に明らかにしておらず、そのトリックがなかなかユニークです。ただ、本格ミステリと魔法という組み合わせのなかで、少女の役割がいまいち中途半端だったかなという印象。 ところで、巻末の定番の断り書き、「この物語はフィクションです」というのは本書に必要か?それともギャグなのか? |
No.1 | 6点 | こう | |
(2012/10/21 01:01登録) 個人的には烏賊川市シリーズが出るまでの箸休めの様な作品といった印象。 (変態?)青年刑事が探偵役、魔法使い少女がヒロインでお約束のギャグセンスの世界の中での本格作品でした。各作品は小振りですが本格の体裁は守られていますし烏賊川市シリーズファンなら楽しめそうな作品だと思います。個人的には早く烏賊川市シリーズの長編が読みたいですがこの作品もシリーズ化しそうな印象ですね。 |