愚か者死すべし 沢崎シリーズ |
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作家 | 原尞 |
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出版日 | 2004年11月 |
平均点 | 6.33点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 7点 | zuso | |
(2022/05/29 22:17登録) ハードボイルドならではの自嘲思索的なモノローグ、洒落ていながら無駄のない、それでいて皮肉に満ちた会話。そして意外性たっぷりの複雑なプロットと期待通りに優れたミステリを堪能。 |
No.5 | 6点 | 雪 | |
(2021/07/24 07:07登録) その年最後に〈渡辺探偵事務所〉を訪れた女性は、伊吹啓子と名乗った。拘留されて新宿署にいる彼女の父親を助けてほしいのだという。当時不良だった父・哲哉は、死んだ渡辺に諭されて九年前に縁故の暴力団〈安積組〉を抜けていたが、妻の弟が横浜で起こした銃撃事件から彼を庇うため、義弟の身代わりとして警察に自首したのだった。おとといの午後〈神奈川銀行〉蓬莱支店で起きた事件では、行員含む二名が撃たれており、そのうちの一人である暴力団〈鏑木組〉組長は銃弾を胸部と腹部に受け、かなりの重症だった。 弁護士・漆原の懇請でとりあえず啓子を新宿署に送り届ける沢崎。だが新たな事件はその直後に起こる。横浜の伊勢崎署に護送される途中の哲哉が、地下駐車場でランドローバーに搭乗した男たちに襲撃されたのだ。黒いニット帽を被った男が放った二発の銃弾は、伊吹哲哉と被疑者を庇おうとした若い刑事とを貫いた―― 十年近くの沈黙を破り2004年に発表された、私立探偵・沢崎第二シリーズのスタートを告げる長篇第四作。大作『さらば長き眠り』の後記には、〈本格とハードボイルドの融合という点では、これ以上のものはもう書けないかもしれない〉旨の発言があったのだが、それは杞憂に終わった。齢九十二歳の政界フィクサー・設楽盈彦(しだらみつひこ)誘拐事件と、新宿署内での被疑者襲撃事件とを巧みに絡ませ解きほぐす手際は、本書を読む限り全く衰えていない(偶然の多用や現実味の欠如など、ストーリー重視の荒さには異論もあろうが)。いつも以上に錯綜を極めたプロットが、僅かな指摘によってガラリと相貌を変える所など手慣れたもので、タイトルに繋がる仕掛けや誘拐事件の顛末もややあざといが充実している。 ただし全般に対象が特殊なせいか、一期に比べイマイチ切実さというか普遍性に欠けるのは困りもの。ICAの事務員・宗方毬子と「さらば~」に登場した車椅子の女性弁護士・佐久間との、男を挟んだ三角関係の解消を入れて補強しているが、各種描写や味わいは前シリーズに劣る。加えて今回〈清和会〉の相良はチョイ役なものの、兄貴分の橋爪や錦織警部の出番はナシ。後者はなんとパリの〈インターポール〉国際会議に出席中だそうな。 |
No.4 | 6点 | E-BANKER | |
(2016/02/07 22:42登録) 発表当初私立探偵沢崎の新シリーズ第一弾と称されたのだが、今となっては“最終譚”となってしまった感のある本作。 約九年もの歳月をかけて完成したというのはそれだけ苦心したということなのか・・・ ~大晦日の朝、私立探偵沢崎のもとを見知らぬ若い女性・伊吹啓子が訪ねてきた。銀行強盗を自首した父親の無実を証明して欲しいという。彼女を父親が拘束されている新宿署に送り届けた沢崎は、狙撃事件に遭遇してしまう。二発の銃声が轟き、一発は護送されていた啓子の父親に、もう一発は彼を庇おうとした刑事に命中した! 九年もの歳月をかけて完成した、新・沢崎シリーズ第一弾~ 年明け早々に読了したシリーズ前作「さらば長き眠り」にあまりに興奮したため、時間を置かずにとった次作。 なのだが・・・本作のプロットは作者の九年間の苦悩を表すかのような錯綜ぶり。 冒頭に起こるのは、紹介文のとおりの銃撃事件。 しかしながら、事件は次から次へと発生&展開し、沢崎も複数の事件を同時に追いかけている状態に。 一応、最後にはすべての伏線が回収され、「さすがは原尞」「さすがは本シリーズ」ということには落ち着く。 結局、「愚か者」とは誰のことを言っているのか? これが本作のメインテーマということでいいのだろう。 確かにこの人物=愚か者というのは、序盤では想像できないサプライズだしミステリーとしてのツボを押さえているのだが、如何せんこれまでの作品のような何とも言えない気品と寂寥感は感じられなかったというのが本音。 それもやはり錯綜というか、詰め込みすぎということが原因なのだろうと思う。 まぁでもそれは本シリーズに対するハードルの高さの裏返し。 普通のレベルの面白さは楽々とクリアしている。 相変わらず魅力的なキャラ(特に女性)は出てくるし、錦織警部や相良などお馴染みの脇役も登場する。(今回出番は少ないが) さあ次作が楽しみだと言いたいところなのだけど・・・ もう無理なのかな・・・。 これほどのシリーズにはなかなかお目にかかれないのになぁ・・・ (強盗に入られる銀行が実在の銀行名なのはどうなのか・・・・・・) |
No.3 | 6点 | いけお | |
(2012/05/27 00:04登録) 事件の内容は不自然だが、良くも悪くも安定したシリーズにだと感じた。 |
No.2 | 7点 | frontsan | |
(2008/12/08 11:50登録) 沢崎シリーズは、常に別々の犯罪が同時進行するが、この作品では少し無理があったような・・・。とにかく、次作を期待します。 |
No.1 | 6点 | itokin | |
(2008/10/07 15:19登録) ユーモア、皮肉の入った文体でそれなりに楽しめたが、あり得ない犯罪で最後までついて行くことが出来なかった。 |