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ミステリの祭典

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貴族探偵
貴族探偵シリーズ

作家 麻耶雄嵩
出版日2010年05月
平均点6.66点
書評数29人

No.9 7点 メルカトル
(2013/11/05 22:40登録)
「推理などという雑用は使用人に任せておけばいいんだよ」と公言してはばからない貴族探偵。当の本人は何をしているかというと、もっぱら美しい女性を口説くのに精を出しているという始末。
この特異な探偵をどう捉えるかで、作品そのものの評価もかなり変わってくるだろう。安楽椅子探偵を気取って、何もしないどころか推理すらしない、こんな馬鹿げた探偵など評価に値しない、と思えば必然的に採点は低くなるし、いや、これは今までにない新ジャンルなんだと考えればそれなりの点数は入れるだろう。
個人的にはあまり魅力を感じないが、逆に執事やメイド、運転手兼用心棒らの推理力は確かなものがあり、彼らに対しては好印象を受ける。しかし、貴族探偵の存在感はやはり絶大で、何もしなくてもそこにいるだけで許されてしまう感覚は、この作者ならではだと思う。
作品自体は短編集だが、それぞれのトリックもロジックもしっかりしていて、私としては高評価。
特に第三話の首と両手首を切断した理由は奮っている。

No.8 5点 mozart
(2013/01/01 08:48登録)
それぞれの話のロジックがしっかり構成されていて、謎解きと言う意味では十分楽しめるのですが、この「貴族探偵」のキャラクターはちょっとどうかと。
同じ「奇人」探偵でも、銘探偵メルカトルの方が何百倍も魅力的だと感じるのは、単に慣れの問題なのでしょうかね。

No.7 6点 touko
(2012/01/13 22:40登録)
これ、「富豪刑事」とか「謎解きはディナーはあとで」みたいなキャッチャーで売れ線の設定のはずなのに、どうしてこの作者が書くとこうも寒いと感じてしまうんだろう。。

同じようなネタをやってても、売れない芸人がすべってるみたいに個人的に感じられてしまって ^^;

ロジックだけしか積極的に楽しめる部分がないとはいえ、それだけでも読ませはします。

No.6 8点 黒い夢
(2011/09/13 07:55登録)
ひとつひとつの話のロジックがしっかりしていて、すべて高水準の短編集だったと思います。「貴族探偵」という存在も最初は驚きましたが、作者にしか思い浮かばないであろう魅力的なキャラクターだと思います。

No.5 6点 まさむね
(2011/07/01 21:59登録)
 「どうしてこの私が推理などという面倒なことをしなければならないんだ。雑事は使用人に任せておけばいいんだよ」
 斬新というか,むしろ清々しさすら感じるセリフです。で,その名も「貴族探偵」。安楽椅子探偵モノに一石を投じる(?)ニューヒーローの誕生ですね。
 尋常じゃないお金持ち・凄いキャラ立ち・使用人がご活躍・短編集・安楽椅子探偵…などなど,ベストセラー「謎解きはディナーのあとで」と設定はかぶりますが,それぞれ微妙に異なる面白さがあります。両作品を読み比べることをオススメします。

No.4 6点 3880403
(2011/04/11 19:04登録)
貴族のキャラが或る意味徹底していて良い感じ。
短編集なので仕方がないかもしれないが個々の作品としては普通。

No.3 7点 VOLKS
(2011/01/06 16:00登録)
これまた凄いキャラを作った作品(笑)
主人公のみならず、その取り巻き(執事、メイド、運転手)も見事なキャラで素晴らしい。
記憶に残るショートショート。

No.2 10点 monya
(2010/07/25 00:26登録)
麻耶雄嵩はよくふざけているとか言われがちだ。
メルカトル、木更津、そしてこの貴族探偵などの探偵役の滅茶苦茶な設定、長編ならラストに全てを粉々にする叙述やらなんやら
しかし、そうやって本格ミステリを弄ぶだけならどっかのメフィスト賞魚蘊蓄作家でもできる
麻耶がここまで評価されているのはやはり、芯にあるロジックがしっかりしているからだろう
(その魚蘊蓄作家がなんかの例えで言っていたが)ピカソのデッサン力は物凄い、ということだ
この貴族探偵はその麻耶の芯の部分がしっかりと成されている短編集だと私は思う
この書評でロジックを中心にしすぎて地味だとか何とか言っている人をよく見かけるが、私はそのロジックを中心にしているのはマイナスだとは決して思わない
ここまで徹底的なロジック・トリックを一冊の中で魅せてくれる作家が麻耶以外にいるだろうか?
新本格の歴史においてベスト3に入るくらいの短編集だと私は思う

No.1 6点 kanamori
(2010/06/21 18:33登録)
主人公の貴族探偵は、事件の証拠集めどころか推理や真相の開陳まで使用人たちに委ね、自分は女性を口説く事に専念、という人を食った設定で、究極の安楽椅子探偵ものです(笑)。
収録作品自体は、些細なことから真相に到達するというパターンで、案外まともなロジック中心のものが多かった。
なかでは「こうもり」が、既読感のあるトリックながら著者らしさが一番出た作品だと思います。

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